コーンスープと教授
ダイニングテーブルに座ると、すぐにシェフが用意した朝食が運ばれてくる。まず最初に出されたのは、カップに注がれた温かいコーンスープ。滑らかな黄色のスープは、甘いトウモロコシの香りがほのかに漂い、一口飲むと口の中いっぱいに優しい甘さが広がる。少し温められたバターとともに焼きたてのパンが添えられており、マリアは小さくちぎってスープに浸しながらゆっくりと味わった。
次に運ばれてきたのは、卵を使ったシンプルでありながら見事なオムレツ。中にはとろけるようなチーズとハーブが詰まっており、カットするとふんわりと立ち上がる香りに心が躍る。マリアは小さなフォークで一口ずつ丁寧に食べ進め、その柔らかさと絶妙な塩加減に満足げな表情を浮かべる。
続いて、彩り豊かな野菜とフルーツのサラダが運ばれてくる。新鮮なトマト、きゅうり、レタスに加え、朝の光を受けて美しく輝くブルーベリーやラズベリーが散りばめられていた。ドレッシングには少しだけ酸味が効いており、フルーツの甘みと絶妙に絡み合って爽やかな味わいを引き立てている。
最後に、デザートとして出されたのは、季節の果物を贅沢に使ったタルト。サクサクのタルト生地に、みずみずしいいちごとブルーベリーがたっぷりと乗せられ、ほんのり甘いカスタードクリームがその下に隠れている。マリアはその一口を頬張り、フルーツの甘酸っぱさとクリームの濃厚な甘みが織りなすハーモニーに、思わず小さく幸せそうなため息をつく。
「今日の朝食も、とても美味しいわ」と微笑むマリアの姿に、家族も自然と微笑みを返す。この朝食のひとときこそが、彼女にとって何よりも大切な時間であり、この世界での幸せを実感する瞬間だった。
朝食を終え、マリアは執事キーフに案内されて勉強部屋へと向かう。優雅な家具で飾られたその部屋には、既にグレンタール教授が待っていた。彼は温かい微笑みを浮かべてマリアを迎え、「お嬢様、おはようございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします」と柔らかく声をかけてくれる。




