蜃気楼のような私達
即興劇の脚本として書いた物です。
簡単なシナリオの形になっていますが、形式としては漫画原作の作法に則っています。
『蜃気楼のような日々(仮原稿)』
<シーン1>
森で横になり空を眺める青年。
その傍らに座り込むミサキ。
ミサキ:「樋口君、いつまでこうしているつもり?」
その声が聞こえていないかのように空を眺め続ける樋口。
<シーン2>
~場面転換~
ミサキの一日が早回しで終わり夕暮れ
コンビニ袋を持ったミサキ。
樋口の横に座り込む。
ミサキ:「樋口君、お腹すかない?」
コンビニ袋から食べ物や飲み物。
お菓子などを取り出し樋口に差し出す。
樋口は空を見つめたまま。
ミサキ:「今日ね、みんなが樋口君の噂してた」
ストローでイチゴ牛乳を吸い込むミサキ。
ミサキ:「私、ちゃんと黙ってたよ」
ミサキ:「きっと樋口君がこうしているのには理由があるんだもんね」
<シーン3>
~場面転換~
ミサキの一日を早回し、そして夕暮れ
ミサキ:「樋口君、あのね、、、」
黙って空を見つめる樋口と押し黙るミサキ
ミサキ:「ううん、なんでもない。気にしないで」
照れたように笑い走り去るミサキ
<シーン4>
~場面転換~
ミサキの一日を早回し、そして夕暮れ
ミサキ:「樋口君、~色々な日常を語るミサキ~」
これを何度か繰り返し、ミサキの恋心を伝えようとする感じを出す(セリフ後で追加)
<シーン5>
~場面転換~
ミサキの一日を早回し、そして朝靄の中
「樋口君、やっぱり勇気を出さなくちゃいけないと思うの」
決心したようにミサキが口を結ぶ
「私、ずっと樋口君が好きでした」
その言葉と共に数人の男達の声がする
「見つけたぞぉー!」
樋口を取り囲む男達
「やっぱり手遅れだったか」
「これだから若いもんは」
「この時期に、こんな軽装で山に入るなんてな」
「自殺じゃないらしいぞ」
「ああ、恋人に帰る時間を告げていたらしいな」
真っ青で生気の無い樋口の遺体が横たわっている
ミサキの姿は見えない。
走り去るミサキの姿に男達は気付かなかった
<シーン6>
~場面転換~
ミサキの一日を早回し、そしてミサキの部屋
睡眠薬とミサキの遺体
ミサキの声だけが響く
「迷っていたら樋口君がいたの」
「樋口君がいる場所が光ってた」
「樋口君に好きな人がいるって知ってショックだった」
「でもね、この数日間だけは、樋口君と沢山お話し出来て嬉しかった」
「私、また樋口君に逢えるかなぁ?」
これは下北沢で実際にあった話です。
目の前で彼女をNTRされた時に、NTRが進行する現場で書いた作品です。
脳を焼かれながら、脳から有を生み出す。
地獄のような体験でした。
まず、役者連中と居酒屋で飲んでいて、一人が我々の職業を軽んじる発言をしました。
喧々囂々の言い争いの中。
曰く、役者と一緒にするなよ筋肉芸者がww
曰く、俺達は本物をやってるww
とか、とにかく酷い罵倒でした。
それを当時の恋人はポーっとなって見ていて。
レスラー代表として私が「はは、我々は今からだって芝居してお客さんを感動させるスキルがあるよ?」と言い放ちました。
脚本を書いて、演者がそれを覚えて、実際にすぐ物語を展開する。
リングでやってる事なので本当に簡単でした。
だから俺達だって「できらぁ!」と言ってしまったのです。
その時、10分で書いたのがこの作品です。
女の子の役は彼女を考えていたのですが、すでに心はNTRれていたので、私が演じました。
最終的に大部屋俳優にもなれていない弱小劇団の小僧はキャンと泣いて逃げ出しました。
逃げ出したんだと思いたい。
我々が即興劇を居酒屋の客に披露している時、彼女と二人で消えていたのですが逃げたと思いたい。
そうじゃなきゃ悲しすぎんだろうが!!!!!!!!!!!
今はサラリーマンやってる元小劇団の小僧とのセッはスタンディングオベーションだったか!?
どうなんだ玉子!!!!!!!!!!!!!!!!!!
俺の心はカーネギーホールみたいにポッカリさ!