表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

95/200

第83回 バトル・フック 引っかけるだけ

初心者向けってやつですね。

バトル・フック


 13世紀頃~16世紀頃、ヨーロッパで時々登場してきた長物の武器です。

 槍のように長い柄の先端が刃物でもなく、メイスのような柄頭でもなく、ただのフック状の金具になっているというだけのシンプルな武器です。


 ヨーロッパの長物武器というと、ハルバードやランス、ポールアックスなどなど様々ありますが、このどれもが使うためにかなりの熟練を求められます。

 ランスなど馬上で使う武器は馬術と武器の訓練の両方が必要になりますし、馬の世話に武器の手入れと手間もお金もかかります。

 ポールアックスは重装歩兵を叩き潰すために使われる武器なので、徹底した筋トレと、思いっきり振り抜くスイングも練習しなければなりません。


 ハルバードは振り回すだけでも一苦労でありながら、突く・切る・叩く・引っかける・払うといった扱い方ができるため、素人が持つと持て余してしまいます。

 ところが、このバトル・フックは違います。例え初心者や戦場に出た経験が無い人でもそこそこに扱う事が出来る武器に仕上がっています。


 バトル・フックは背が高い馬に堂々と跨っている騎兵に対しても、プレートアーマーでガッチガチに固めた重装歩兵にも対抗する事ができるように作られていました。

 それどころかシンプルな形状のため、比較的低予算で作る事ができます。刃が付いていないため、お手入れを比較的容易にできるという強みも持っていました。


 今日は有名な武器に埋もれてしまった、相手にすると結構厄介な武器、バトル・フックを見て行きましょう。





~使い方~

 タイトルにもあるように、引っかけて転ばせるというシンプルな使い方をします。

「うわぁ、かっこ悪い」

 なんて声が聞こえてくるような気がしますが、勇敢にも前線に出てきて、やることが転ばせるだけって、確かに見た目的にはかっこ悪いですよね。


 もちろん、やられた方もかっこ悪い。

 前線に勇敢に出てきたにも関わらず、尖端がフックになっているだけのオモチャみたいな長物武器に敵も味方もいる中で転ばされるわけですから、そりゃあ、かっこ悪いです。


 フックを引っかける場所はどこでも構いません、出来れば足や頭部などが良いでしょう。引っかけて引きずり倒すもよし、足を払って転ばせるもよし、引っかかったら思いっきり力を込めて引っ張ってやるだけです。


 転んだだけと言われても、戦場では転倒というのは結構嫌な状態です。転んで立ち上がるという動作は疲労を溜めますし、一時的に無力化されている訳ですからね。

 バトル・フックだけでは決め手に欠けるので、メイスやハンマーなどを持った人とペアになって行動しておいて、相手を転ばせたら止めを刺してもらう戦法もありました。

 相手が転んでいれば、メイスの使い手が初心者でも振り下ろす所だけ練習しておけば十分止めを刺す事ができますからね。


 シンプルな使い方なので、農民や市民といった共同体や未熟な軍隊、新兵などがバトル・フックを使っていました。

 熟達した戦士達はもっと複雑な扱い方ができる長物や弓などの熟達が必要な武器を手にするようになりますが、それまでの間や、軍隊として整備がはじまった程度のコミュニティでは盛んに取り入れられていました。


 戦いの訓練を徹底して積んでいなければ、ガチガチに装備を固めて前線に出てくる兵士達には立ち向かう事ができないのが戦場です。

 そんな、歴戦の兵士達を相手にしても、転ばせるという成果を上げる事ができるのがバトル・フックなのです。

 

地面と口づけ!


 転倒やスタンといった一時的な行動不能状態が取り入れられているゲームもありますよね。

転んだだけともいいますが、転倒する場所や状況次第では致命傷までありえるのが怖い。


 工場とかでは転倒や転落が命にかかわる事も多いですからね。

 戦場ならもっと危ない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] ◎ 日本に、バトルフックのような武器がないかしらべてみました。 …… 鉤爪で馬上の相手を引っかけて落とす長柄武器は、日本では5世紀前半の古墳から出土して「鉤状武器」と呼称されている、と…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ