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第80回 グレイブ 歴史を知る片刃の穂先

次回番外編やります!

グレイブ・グレイヴ


 長さ2~2.5メートル、重さ2~2.5キログラム。

 ヨーロッパで使われていた槍です。

 最大の特徴は穂先の形状で、片刃で中央が膨らみ、尖端に行くに従って細くなっています。


 出刃包丁のような穂先を持つタイプが紹介されている事が多くあります。

 由来や、発展してきた経過については、メソポタミア文明が使っていた農機具に端を発しているとか、フォルシオンというヨーロッパの肉厚な刀剣とか色々言われています。


 名前の由来はローマの代表的な剣、グラディウスから来ているようです。

 もしかしたら、形状についても影響があったかもしれませんね。


 穂先の形もいくつかあり、中華包丁のように先端が尖っていないタイプ、背の部分にフックのような鈎爪がついているタイプ、刃の部分が枝分かれして添え刃というか副刃が付けられているタイプもあります。

 先端の形状によってはグレイブとは違う名前で呼ばれたりします。


 日本の長巻や薙刀もグレイブの一種というヨーロッパ方面では扱われているとか、ないとか……

 確かに、片刃で大きな穂先という点は共通していますね。





 扱い方は槍ですが、穂先の形状によって大きく変わります。

 穂先が大きい事もあり、長さの割りに重い武器でしたから叩きつけるようにするだけでも十分な威力があります。

 包丁のような見た目ということもあり、薙刀のような使い方もできます。


 刃が分かれているタイプや鈎爪がついているタイプ、尖端が鋭くなっていれば思いっきり突いて使う事ができます。

 槍は深々と相手に突き刺さってしまうと抜けなくなる事がありますが、途中に突起があればそこより深く刺さる事がないため引き抜きやすくなります。


 肉厚な穂先が長い柄で高い所から振り下ろされたら、その一撃は斧と大差ありません。

 それどころか本体の重量と柄の長さを考えると、2階から大きな鉈が加速しながら振り下ろされるわけですから、兜などでで防いだとしても、メイスで殴られるくらいのダメージを叩きだす事ができたでしょう。


 鈎爪があれば、重鎧の騎士を転ばせ、騎兵を馬から引きずり落とすなどの複雑な使い方ができました。

 もちろん、集団戦法にて槍衾を作る事もグレイブならお手の物。重さがあるので、強引に突破する事も難しかったでしょう。


 戦場でも多く使われていたグレイブですが、後々ハルベルトやコルセスカなど、より軽量で複雑な使い方ができる槍を中心に戦場の立場をとられていきました。

 ですが、儀礼用として見栄えが良くなるように大きな刃と豪華な装飾のグレイブは作られていました。

 パレードの時とかに衛兵が高く掲げて行進していたりしていたようです。





 17世紀を終える頃になると、儀礼的としても使われる事は減っていったグレイブですが、18世紀末に再び同様の物が登場します。


 1789年のフランス革命の時に庶民が包丁に長い柄をつけて、まさにグレイブにしたものを手にとって革命に参加していきました。

 後に正規軍となる、義勇軍ではさらに大型にして形状も改良されたグレイブが取り入れられていきました。


 フランスの革命により、それまで続いていた身分制度、つまり「貴族」とか「領主」とかという制度や概念が一掃されて資本主義と資本主義の思想による憲法が中心になりました。


 グレイブはヨーロッパの古い世界に止めを刺した槍と言えるかもしれませんね。

 時代を見つめた槍、1つの国の歴史に付き添ってきた槍がグレイブです。

 

過去! そして未来!


 使われている年代によって姿かたちは変わる物です。

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