〇 忍者道具 みんなの憧れ、忍びの者が使う武器
みんな大好き忍者武器!
忍者参上!
いや、忍者なんだから、出て来たらだめっすよ
忍者とは、海外からも人気があるばかりか国内でも大人も子供も大好きで憧れる存在です。
手から雷を出したり、巨大なカエルや蛇などを呼び出したり、口から火を吐いたり、空を飛んだり、別の人間に変身したり。
「分身!」とか言って自分が何人にもなったりと、なんでもござれな存在ですよね。
というのはファンタジーです。
実際の忍者というのはスパイであり、戦士であり、傭兵であり、暗殺者であり、現代風に言うのであれば特殊部隊とか工作員とかが近いのでしょう。
一般人が持っていない知識や道具を駆使して、敵国への工作を行いダメージを与えたり、混乱させたりするような暗躍もします。
それだけではなく、国内の不穏分子を探り当てたり、要人を陰ながら護衛したりという公安やボディガードのようなこともやっていました。
そんな忍者たちが使っていた、あるいは使っていたと考えられる武器の中には特殊な物が多くあります。
忍者だからこそ使えるという特殊な道具、特殊な道具を扱えるようにする忍びの技、一般人では知る事が無い闇に隠された道具と技術。
強い憧れに、好奇心を刺激される!
忍者はロマンです!
昔から創作の題材にされたり、要素を取り込まれていたりしています。特撮やゲーム、漫画に小説、写真やイラスト、舞台に映画、右を見ても左を見てもありとあらゆるジャンルに忍者は忍んでいますね。
さて忍者が使う専門の武器にはどんなものがあるんでしょうか?
忍びの里と呼ばれたり、伊賀とか甲賀とか忍者で有名な場所も沢山あります。
場所によっては天狗の伝説などともくっついてきたりして、ますます姿が見えにくい。
さてさて今回はそんな謎をちょいとばかり紐解いてみましょうか。
忍びが使った武器を色々と見て行きましょう。
レッツ! ニンニン!
絶対言わないだろうなぁ、こんなフレーズ……
◇
〇忍び刀・忍者刀
忍者が扱う刀、室内でも振り回しやすいように脇差し程度の長さから、日本刀よりは短いくらいに調整された長さになっています。
反りが無い直刀が多くて、光の反射を防止するために黒く塗られていたり、光沢を削るような加工をされている物もあります。
昔の屋敷は天井は低め、廊下も狭く作られています。そこに梁があったり、柱があったりと障害物が多くあり刀や槍を振り回しにくい構造になっています。
短めで直刀になっている刀は『突く』使い方が得意な上に『振る』という使い方も十分できますから、狭い場所でも梁や柱に邪魔されずに攻撃ができますね。
もちろん、他の細工もありますよ。
忍び刀には長い紐が括りつけられている事が多くあります。
この紐が便利なんです。
壁などに刀を立て掛けて紐の端を持つ、刀を足場にして壁や屋根の上に上る、紐を手繰り寄せて刀を回収する。
刀から紐を外して、暗い所で人が通る所にピンと張っておいてトラップにする。
相手の首に引っかけて締め上げたり、誰かを拉致した時の拘束に使う。
アイデア次第でいくらでも活用できます。
〇手裏剣・手離剣
読んで字のごとく、手の中に納まる程度の小さな刃。たまに例外もあります。
ですが、人間の身長サイズにもなるような超大型の手裏剣はありません。
そこまでデカイと数十キロにもなりますから、投げるどころか持ち運びにすら困難を生じさせます。
棒状の物から、刃が3つ、4つ、6つ、など飛び出たような物、歯車のように細かい刃が並んでいる物が有名です。
円盤状で外側が全部刃の円月輪、『卍』の形をしているものまで様々あります。
円月輪は戦輪とも呼ばれ、忍者が用いたとされています。
でも、持ち運びに難があるためピーターは使っていたかどうか疑っています。
卍型も刺さる場所がフックになっているので、重症を与えにくい構造にしか見えない……
絶対、十文字の方が作りやすくて威力が高い!
石や針などを投げつける戦い方では攻撃力が低い、打矢という手で放つ矢は扱いも持ち運びもやりにくい、と欠点が目立ちます。
威力があって使いやすい飛び道具として考案された物が手裏剣です。
使い捨てにする飛び道具としては高価ですが、数センチの刃物が根元まで刺さるほどの威力なので十分な凶器です。
目を狙って回復不能なダメージも狙えます。
こっそりと近づいて、みぞおち、首などの急所を手裏剣で切り付けて致命傷を与える事もできます。
手裏剣って投げるだけじゃないんですねぇ。
現代では手裏剣は持ち運ぶだけでも銃刀法違反になる可能性があります。
全長にすると長めになり、刃の構造が両刃になったりするためですね。
護身用としてカバンに入れておくのは止めましょう。
〇苦無・苦内
ひし形の刃で鍔がない、柄は輪に加工されています。
刃と柄の間の持ち手部分には布や紐を巻き付けてある物もあります。
投げる武器と思われがちですが、手裏剣よりも大きく上質な鉄が使われており、作るためにも手間がかかっています。
手裏剣のようには投げません。
そんな勿体ないことしませんよ。
武器というよりも万能工具として扱われている物が苦無です。
石垣を登るときに隙間に引っかけて、とっかかりにする。鋭い先端を使って穴を掘ったり、覗くための小さな穴をあける。
輪の部分には紐を通しておいて、鈎縄のよう引っかけたり、投げつけて刺さった物を引き寄せたりとこれもアイデア次第でなんでもできます。
紐は、さっきあげた忍び刀に取り付けられているのでこれを使えばいいですね。
もちろん最初から苦無に取り付けといてもいいですね。
鞘は無いのですが、隠し持てるようなサイズなので、刃の部分に紐や布を巻いて持ち運ぶなら、懐でも袖でも、どこでも隠し持つ事ができました。
紐をつけて鎖武器とかのように扱ったり、飛苦無という投げる事も考えた苦無もあります。
でも、基本的に投げません。
持っている事で苦労が減る、もしくは苦労に対処できる、そんなところから「苦しみが無い」「苦労が無い」とかいう意味で苦無という名前になったのでしょうか?
穴を掘るのに「苦」労が「無」いというのが主流の説だそうです。
〇吹き矢
暗殺に毒を染み込ませた吹き矢を使う。忍者ならではの見事なシーンです。
改めて調べてみると明確に使ったという記録が見当たらないとされている説があります。
笛の内側に薄い紙を貼って、吹き矢の筒にした。
筆の中を空洞にしておいて吹き矢として使えるようにした。
みたいな隠し武器にしていたって話しも散見されていますね。
このような細工物や技も展示してある所もありますし、忍者のテーマパークでは『吹き矢体験コーナー』とかもあったりします。
吹き矢その物は筒と小さな針に綿などで風受けを付けたもの。持ち運びも用意ですし、綿に毒を染み込ませて使えば効果は十分です。
毒となる素材もトリカブトに夾竹桃、ボツリヌス菌などなどパッと思いつく物が沢山ありますね。
こうしてみると暗殺に使うには十分な効果になりそうですし、毒の用意も十分に可能と思われます。
なんで記録が出てこないんだろう……
あっ!
暗殺に使った物や人物の詳細が出ないから暗殺なんですよね。
そりゃぁ、記録も残りませんわ。
「実際に使っていたか不明」その通りですね。
さすが忍者、使った痕跡すら残さない!
〇手甲鈎・手甲鈎
ようするに鈎爪、腕に止めて手を覆うように鈎爪が伸びている物、握り込んで使う物などいくつかのタイプがあります。
壁や石垣に爪を引っかけて登ったり、屋根などに飛び上がる時に引っ掛けたりなど、侵入するときなどに使う道具でもあるんですね。
格闘戦では引っかくという攻撃に加えて、手のひらがある程度自由に使えるため、狭い室内でも殴る・掴むような素手の動きができます。
相手の刀を爪で払って、服を掴んで投げ飛ばす。
転んだ相手に鈎爪を突き刺して止め、みたいな感じなので、かなり応用力が求められる武器と言えます。
江戸時代にも使われていたという記録があったりする。
もしかして見世物として演者が使っていたのかもしれない。
※以前にとりあげていますので、詳しくはそちらをご覧ください。
〇忍び杖
最近取り上げて書きました。仕込み杖の豪華版。
鉛、鎖、鎌、針(手裏剣)、目潰し薬など一本の竹の杖に沢山の仕込みがされている武器なんです。
なんと多機能なことでしょう。
こうした多数の仕掛けがある物はメンテナンスの大変さや、パーツが多い事による故障のしやすさ、咄嗟の時に混乱して適切に扱えないなどトラブルも多くなりがちです。
ですが、これ一本で侵入から暗殺、戦いに逃走まで全てをこなすために必要な道具が全部そろっています。
見た目はただの竹なので、沢山の竹を持ち込む口実があれば紛れ込ませて正面から持ち込む事も可能です。
※以前にとりあげていますので、詳しくはそちらをご覧ください。
〇鎖
分銅がついた鎖や、鈎爪が付いた鎖、あるいは鎖鎌だったりします。
鎖というのは扱いが難しいのですが、便利な武器や道具になります。
相手が刃物を持っていたとしても、鎖なら切れる事は滅多にありませんので、相手の武器を絡めとることができます。
もちろん相手を打ち据えたり、腕や足に鎖を絡めてバランスを崩させたりする事もできます。
鈎爪がついていれば、屋根などに引っかけて登る事も可能です。
鎖武器そのもので熟達すればかなり強いのですが、色を黒にしておくことで闇に紛れさせることもできます。
さらに、鎖を巻いてしまえば、非常にコンパクトに持ち運ぶこともできます。
〇撒菱
みんな知ってる有名な忍者道具。
菱という植物の種や、木や竹、鉄などで4つの棘を持つ形状の物をまき散らす事で踏んで傷を負わせるトラップのような武器。
もちろん直接投げつけて怯ませることもできる。
追われながら撒き散らしたら相手にバレてしまい、抜けられたり、飛び越えられたりしてしまいます。
事前に撒いておいて、全力で走りながら自分はそこを上手く抜けると、撒菱に気が付かない追っ手達は思いっきり撒菱を踏みつけてくれるので大きなダメージを与える事ができます。
竹の筒の中にまとめて入れて持ち歩いていたとされています。
鉄の撒菱だと運んでいる時にガチャガチャ音が鳴りそうですね、消音のために布も入れたり、動かないようにぎゅうぎゅうに詰めるなどの細工はされていたと思います。
※以前にとりあげていますので、詳しくはそちらをご覧ください。
◇
ここで紹介したものはごく一部です。
時代によっても、忍者の流派によっても、武器は変わっていきます。忍びの武器や道具はまだまだ沢山あります。本当に紹介しきれないくらい。
中には時代の闇に飲まれてしまった武器もあったはずです。
様々な忍者武器の実物見たい方、忍者で有名な場所を探して、博物館などに行ってみましょう。
長野県の戸隠にも忍者をモチーフにしたアトラクション、テーマパークがあります。ここにも忍者道具の展示がされている場所もありますので、体験がてら見物はいかがでしょうか?
個別の詳しい解説などはまた後日。
希望などもありましたら書いていきます。
まだまだ沢山ありますよ。