第72回 デッキ・スパッド 通称はクジラの尾
デッキ・スパッド
フルーキング
ボーン・スパッド
デッキという名前から想像もできますが、船の上で使う武器です。
長さ120センチ程度から、長い物では250センチにもなる大型の物もありました。
形状はまっすぐな棒の先っぽに刃が付いているのですが、先端は魚の尾ひれのように平らになっています。
日本の工具のノミを大きく、長くしたような形状なのでこの先端で突くことで強力な切断力を発揮できる形です。
この先端はクジラの尾ひれに見えるという事から、クジラの尾という意味のフルーキングとも呼ばれています。
海のイメージが強い、おしゃれな名前ですよね。
元々はクジラなどの大型の獲物を解体したりするときに使われており、包丁などの刃物では解体しきれない骨などを切断するときにデッキ・スパッドは使われていました。
骨を断つという意味のボーン・スパッドという工具として、船に積まれていた備品だったので、本来は武器ではありませんでした。
これが武器として扱われるようになったのは19世紀の頃。
船の上で人対人という白兵戦になった時、前線に立つのは兵士達の役割で、船員は戦いの訓練をあまり積んでいなかったのでどうしても戦力としては劣っていました。
ですが、争いの真ん中で戦いに慣れておらず、訓練も積んでいない船員は恰好の的になってしまいます。
そんな船員達でも剣よりも間合いを取る事ができて、クジラの骨すらも断つ事ができるデッキ・スパッドを手に取って身を守ったり、敵を威嚇して攻め込まれないようにしていました。
慣れない剣を使ったり、狭い船上で逃げ回ったりするのも危険ですからね。
積極的に攻撃するというよりも、自分の身を守る事を目的としてデッキ・スパッドは使われていました。
でも、これが結構強いんですよ。
今日はこのマイナーな武器、デッキ・スパッドをみていきましょう!
◇
使い方はシンプルに突くだけです。
ただの突きでも先端が平らになっていると言う事はこの部分に全ての力が集中します。突くだけなのに、ピンポイントで斧の一撃が入ったかのような威力にまでなります。
工具のノミは小さいので手で直接力を加えるとなると、少し難しい所があります。
ですが、ハンマーと組み合わせれば、その先端の機能は非常に強化されます。
木を削るように切るばかりか、石すらも削り取る事すらできる切れ味を発揮しますよね。
時には骨のような部分まで、ノミとハンマーの組み合わせで切断したり、加工したりする事も十分に可能です。
デッキ・スパッドも元々は骨を断つ工具ですが、ノミと違って長さがあります。
両手の力どころか体重をかけて刃へ勢いと重さを乗せる事ができるので、革鎧程度であれば十分に貫く事ができたでしょう。
威力を実験してみたい方は、ホームセンターでノミを買ってきて、骨付きの鶏肉に突き立てて見るとわかります。
突くだけで肉を切り裂いて骨に食い込みます。ハンマーと組み合わせれば骨すら断ち切る事ができると実感できるでしょう。
くれぐれも自分の手などを切らないように注意しましょう。
こうした骨すら断ち切る、強烈な突き攻撃ができるのがデッキ・スパッドです。
◇
如何に戦いに慣れていない船員の武器と言っても、そこは船のプロです。
長い事船に乗っていれば、船の上の移動などはお手の物、足場が悪くても波で揺られる甲板でも平然と歩けるだけで大きな有利につながります。
剣の扱いになれていなくても、デッキ・スパッドを構えていれば槍のように十分に距離がとれます。
剣の間合いでは足元の物を拾うなどの大きい動作をすれば、簡単に切り捨てられてしまいます。
ですが、相手が剣でこちらがデッキ・スパッドなら威嚇しながら回りの物を拾うような余裕もあるでしょう。
船上にロープや木箱などがあれば、それを相手に投げつける事もできますし、船を操作して味方の有利を作る事もできます。
相手が船の揺れでバランスを崩してくれたら大チャンスです。
デッキ・スパッドで突き飛ばして転ばせたり、船から落ちてもらいましょう。
何とか船の端に手を突いて、体を支えていたとしたら、その腕を突いてやれば剣の間合いに入らずとも十分強力な攻撃が出来ます。
船上になれている船乗りなら、船の上だとしても狙いすました一撃を放つ事ができるでしょう。
不安定な場所で長い物を扱うという事はとても難しい物です。
例え戦士でなかったとしても船の上でデッキ・スパッドを操れるのは、船乗りという熟達した人だからこそできる事です。
近寄らなくていいという安心感もあるので、遠慮なく突きだせますからね。
骨すら切断する突き技が狭い船の上で繰り出せる武器が、デッキ・スパッドです。
骨をも斬る!
画像を探しているけど、出てこないんですよね。
もうちょっと探していきます。




