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第65回 鎖鎌 攻撃の手段が数多ある。

鎖鎌くさりがま


 ゲームなどでも時々登場する、鎌・鎖・分銅を組み合わせて作った武器。


 日用品に紛れ込ませることができることから、隠し武器としても使ったとか言われたりしています。


 ネタじゃないかな?

 なんて思うような武器ですが、実は室町時代には原型が登場してきたようで、そのころの戦場でも使われたとされています。


 鎌の形状、鎖の長さ、分銅の大きさなどなど、様々なタイプが存在しており、これを扱う方法を伝える流派も多数あります。


 鎌の刃以外に柄から直線に当たる部分に刃がついていて、鎌の刃で刺す以外にも通常の突き攻撃も出来るように加工されたものなどもあります。


 鎌の刃の大きさもそれぞれなので、一概にこれが鎖鎌用の大きさという決まりはありません。


 鎌の柄となる部分は「鎌柄かまつか」と呼ばれており、こっちは一尺八寸とすることが標準のサイズとされています。これは54.5センチメートルなので、農作業に使う鎌と比べると大振りに作られている事がわかります。


 鎖鎌の名前が示す通りの最大の特徴の鎖ですが、取り付け方がいくつかあります。

 鎌の柄の末端に取り付けるタイプ、鎌の刃の根元に取り付けるタイプが主流ですが、中には柄の先端部分に取り付けられているタイプもあります。


 鎖の長さは明確に定められてはいないようですが、250センチ~400センチと資料には記載されています。

 実際にはこれより短い鎖や長い鎖で作られている物も存在しています。


 興味があるかた、インターネットで鎖鎌を検索してもらうと演武の動画を多数見る事ができます。


 鎖で相手の武器をからめとったり、鎌の形状を利用して相手の攻撃をいなしたりという防御技はもちろんの事、分銅で相手の頭部を叩き割る、鎌の刃を相手の急所に差し込むという多数の一撃必殺技も繰り出すことができます。


 キチンと扱うためには鎖術に加えて、鎌の扱いが出来なければいけませんから、習得は容易なことではありません。





~扱い方の言い訳~

 ありすぎて書き切れません。


 いや本当に冗談ではなく使い方があり過ぎるんです。

 鎖の扱い方というだけで、十分に複雑です。鎖などを扱う技術は捕り物の捕縛術にも通じる物がありますから、簡単に解説し切れるものではありません。


 鎌の扱いというのも鎌術れんじゅつという武術がありますし、二本の鎌を扱う二丁鎌術もあります。


 さらに、鎌の持ち方にも握った時に親指の方向に刃がある順手の持ち方と、小指側に刃がある逆手の持ち方があります。


 ちなみに、鎖武器に少し触れると、分銅が付いた鎖である万力鎖、万力鎖に柄の棒を取り付けた鎖打棒くさりうちぼう、鎖を棒の中の収納して振った時に飛び出させる千鳥鉄ちどりがねなどなど。


 武術の鎌も、小さい物から大きな物まで存在しており『同じ物が出てくる事はない』とまで言われているほど、鎌も鎖も多数存在しています。


 言うまでもなく、それぞれに扱い方の共通している部分はある物の細部は異なってくるので、道具だけでなく、扱う流派によって使い方の枝葉がどこまでも広がっていきます。


 鎌と鎖というセットだからこそ出来る技も多数ありますから、簡単に解説出来ないのはお分かりいただけるかと思います。


 ちなみに比較的短い鎖がついた鎖鎌であれば、反対の手には鎌を持って戦うという『鎖鎌と鎌をつかった二丁鎌術』というのもあります。


 全部書こうと思うと、国語辞典を超える分厚さにまでなってしまうばかりか、分かりにくさ満載なので、印象に残るところをピックアップしていきたいと思います。


 興味のある方はインターネットの動画などを参考にして頂いて、それでも良く分からないという方は各流派の方の所へ直接お話しをして頂きたいと思います。





~扱い方の極々一部~

 鎖の部分を持ち「鎌」の方を勢いよく振り回して、襲い来る刺客を次々と切り倒す。


 飛んでくる手裏剣などを叩き落し、相手の顔面に向かって鎌を投げつける。

 脳天に深々と刺さり、刺客は己の視界に入ってきた鉄の板が何を意味しているのか気が付くと同時に、命を手放しその身を大地へと倒れ込ませる。


 なんてことはありません。

 いや、技によってはこういった技術もあったはずですが、基本的に「鎌」は振り回しません。


 振り回すのは「分銅」の方です。

 鎖のついた分銅を振って相手に威圧感を与えながら、間合いを取っていきます。

 鎖は長ければ長い程振り回しにくくなりますので、鎌についている鎖の長さや形状によって振り方が変わるんです。

 鎌を持って鎖を操る方法と、鎖を手に持って操る方法があります。


 重い金属が遠心力で加速されている訳ですから、相手は簡単には近寄れません。

 しっかり相手との距離を測って不意に加速させたり、軽く腕を伸ばしたり、鎖を伸ばしたりすれば、分銅が相手に届きます。


 脳天を打てば脳震盪や頭蓋骨折、腕や手を打って骨を砕けば相手が武器を持てなくなります。


 もちろん、相手の武器や手足に絡みつかせる方法も有効です。

 絡みつかせたら一気に引っ張ってやりましょう。


 武器を絡めとっていれば武器を奪って相手を丸腰にできます。

 腕や足なら、相手はバランスを崩して体制を崩すなり転倒するなりします。


 分銅は使ってしまいましたが、あなたの腕には鎌が残っていますね、致命傷となる部分は沢山あります。

 首でも胸でも貫いてやりましょう。いや、先に腕を切って抵抗力を削いでやるのもいいですね。


 相手がこちらの分銅のスキを突いて接近してきました。

 刀も上段に構えており、一気に振り下ろしてきます。


 焦る事はありません、鎌の刃の根元を使って相手の刀を受け止めながら、横にそらせてやりましょう。

 もしくは、鎌と鎖をピンと張って、相手の刀を止めることもできますね。

 鎌の背中部分を活用して弾いてやってもかまいません。


 相手の一撃を止めれば、分銅が空いていれば分銅で打ち据えたり、相手に絡みつかせて絞めてやりましょう。

 鎌が空いていれば、相手が目前に迫ってくれているので、首でも腹でも膝でもいいので、鎌が届く所をざっくりやってやれば撃破完了ですね。


 組み合わせもあります。

 相手が刀と脇差しをもっています。こちらが分銅を振り回す前に切りかかってきました。


 とっさに分銅を刀に向かって投げつけて絡めとりに成功します。

 そのまま引っ張って相手の刀を分銅ごと遠くへ投げ飛ばした瞬間、相手は即座に脇差しを抜いて突き出し!


 危ないところでしたが、鎌を引っかけるようにして、突きをずらし体を半回転させるようにして何とか突きをかわします。


 あなたは分銅を持っていた片手が空いています。殴りつける?

 それとも手のひらを顔面に叩きつけるようにして目つぶしをする?

 はたまた、自分の懐に忍ばせていた短刀でも抜きましょうか?


 どれでもオッケーです!

 片手で相手が戦えなくなるほどのダメージを与えてもいいですし、スキを作り出して鎌を差し込むのもいいでしょう。


 鎖鎌の使い方は分銅で相手の体制を崩したり、スキを作り出すようにしておいてから鎌で急所を一刺しするというのが基本的な使い方です。


 ですが、あくまでも基本なだけであって、分銅で直接倒す方法も有効です。

 鎌で攻撃を防いで、分銅で止めといったこともできますし、滅多にありませんが鎖で締め上げる事もできます。


 練習はどこから始めればいいんでしょうか?

 紐に重石を付けて自由自在に振り回せるようになる所からでしょうか?


 重石はせめて当たっても痛くないように加工しておきましょう。

 頭の上でぐるぐると、体の右と左を交互に通して「∞」を描くようにブンブンと、気が付いたら自分がぐるぐる巻きになっていました。


 相手に狙って分銅を叩きつけるだけでも十分に達人の域です。

 鎖鎌を自在に扱えるようになるまでの道は、どこまでもどこまでも伸びているようにしか見えません。

やめろ! 鎌の方を振り回すんじゃない!


 ぎゃあぁぁ! 俺の腕が切れたぁ!

「だから、鎌を振り回すなって言ったんじゃんか」

 わかった、分銅の方だな! うぉぉぉ!!

 ぎゃあぁぁ! 俺の顔が砕けたぁぁ!!

「はいはい、医者いきましょうね」


 くれぐれも自爆にご注意を。


 リクエストありがとうございます!

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