第6回 チャークー フィッシュ・スパイン・ソード 知ってたらすごい
チャークー
インドで16世紀頃に栄えていたムガール(もしくはムガル)帝国のアクバル法典に登場している。
持ち手からまっすぐに伸びた軸から左右対称にいくつもの突起が出ている。シルエットはまさに魚の骨のようにみえますね。
フィッシュ・スパイン・ソードという名称も研究者が初めてこれを見たときに感想を素直に述べた物。
うんなるほど!
ソード・ブレイカーという短剣がありますが、これは背の部分が櫛状になっていて、ここに刺突用の細い剣を絡めとって剣を相手の手から奪う、刀身を折るといった事を目的としていました。
このチャークーは、ソード・ブレイカーの背の部分だけでなく刃の部分までも武器を絡めとる櫛状になっている、防御のための剣です。
ていうか、これそもそも剣として扱って良いのかな?
と思うような剣です。
長さは持ち手を含めて70㎝くらいあるから、剣のサイズではありますね。
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使い方について
これで相手に攻撃するのではなく、狙いはソード・ブレイクです。
櫛状の部分が2か所についているので、相手の武器に合わせてチャークーを当てれば、沢山ある櫛状の突起のどこかに引っかかります。
相手の武器が引っかかっていれば、それだけで相手の攻撃手段が封じられます。
刃の攻撃は素手で防ぐことはできませんが、このチャークーなら止めることができます。さらに上手くひねりを加えて相手の剣をへし折ってしまいましょう。
2刀流が有効ですね、片手のチャークーで相手の武器を止め、もう一方の手の武器で攻撃する。
相手は武器と片手を封じられ、無防備に斬撃を受け止めるしかできません。
こちらの斬撃を避けるために武器を手放してくれれば御の字です。大チャンス到来!
丸腰になった相手は煮るなり焼くなり好きにしてしまいましょう。
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ソード・ブレイカーの系統の武器に言える事ですが。両手持ち専門の肉厚な大剣を受け止めることはできません。
受けたとしても短剣サイズでは重量で押し切られて体勢が崩れます、最悪ソード・ブレイカーの方が折れます。
細身の剣などを受けとめるための武器がソード・ブレイカーなんですね。
日ごろからそんな大剣を持ち歩くなんてこと、そんなには無かったので、帯剣できる程度の武器を止めるためにチャークーは使われていたのかもしれませんね。
ファンタジー作品であるんですが、人間の身長サイズの剣をソードブレイカー状の物で受け止める。
「しまった! ソードブレイカーか、このままでは折られる!」
「ひっ、ひっ、うかつじゃったの、その剣もらったぁ!!」
なんて事があるようですが、折れんよ折れん。
チャークーもへし折るんじゃなくて、絡めとることがメインですね。
魚の骨!
資料が少なすぎて、本当に使われてたか不明
武器マニアというからには、こんなのも紹介。
どうやって持ち運んでいたのかを書いている資料や情報がなかったんですよねぇ。
板状の鞘があったのかもしれない、かさばるだろうなぁ。