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第52回 ブローパイプ 毒とセットで使う吹き矢です

ブローパイプ・吹き矢・ブロウガン


 最近は健康法としても人気、だれでも手軽にできるスポーツとして吹き矢が見直されてます。


 呼び方によって種類や大きさ、地域なども変わってきますので、呼び方それぞれで検索すると別な物がヒットしてきますね。


 東南アジア、南アメリカ、北アメリカ五大湖周辺などなど、密林とかジャングルと言われる地域で使われる事が多い武器となります。

 とはいいながらも、あっちこっちで使われているんですけどね。


 日本でも時代劇で忍者が使うシーンがあったりします。忍者をとりあげているテーマパークなどでは体験できるコーナーもあったりしますね。

 上手く的に当てられたら景品がもらえたりしました。


 でも、実際に忍者が使っていたかどうかについては「怪しい」とされている説が有力です。


 私もプラスチックの筒と吸盤が付いた矢のセットになっていた「おもちゃ吹き矢セット」で遊んだ記憶がありますね。

 忍者気分になって楽しかったですよ。


 細い管の中に針のような細い矢を入れて、人間の吐く息で飛ばします。

 数十メートルも飛ぶので、息で飛ばすと考えるとすごい飛距離です。


 小さいものの矢には風を受ける部分があり、軽い息でも結構な勢いで飛び出していきます。

 ただ、小さいため直接的なダメージは注射1回分のキズ程度にしかなりません。


 そのため実戦では、少量でも効果のある即効性の毒とセットで使われます。

 暗殺に使うなら毒は強力なほどいいのですが、狩猟に使う場合は強ければいいという訳ではありません。


 あまりにも強すぎる毒は獲った獲物を食べた人間にまで効果が出てしまいます。

 矢が刺さった周辺の肉を切り取って食べないようにしたり、動きを鈍らせたりする程度に毒性を抑えたり、血液に入ると毒だけども食べたら無毒になる物を使ったりと色々工夫しています。


 さて、今回は吹き矢の海外版。

 ブローパイプをみていきましょう!





~毒とセット~

 針のような矢に塗った程度の毒で効果が十分、となると相当な猛毒でないと効果がありません。


 吹き矢に使う矢の中には、注射針のように空洞や溝が彫ってあったり、矢に綿が付いていて毒液を染み出させたりと工夫されている物もあります。


 毒に使われている物としては毒々しい肌色を持つヤドクガエルの毒であるバラコトキシンなどが有名ですが、ふぐ毒のテトロドトキシンを使ったりもします。


 テトロドトキシンはフグだけじゃなくて、ヤモリなどの爬虫類も体にため込んでいたりします。他にはサソリの毒を使ったりと色々ありますね。


 カエルやサソリといった動物だけでなく、植物からも毒は取れます。

 イポーやクラーレと呼ばれるストリクノス属などの植物から樹液などを取って煮詰めたりして毒の効果を上げてつかいます。


 日本でも自生していて、吹き矢の毒にも使える物としてはトリカブトや夾竹桃きょうちくとうがあります。

 意外と身近に毒物ってあるんですねぇ。


 あんまりこの辺りを語っていくと、武器の話ではなくて毒の話になってしまうので、興味がある方で詳しく知りたい方は別で調べてみてくださいね。


 毒のある植物や毒を持つ動物など専門の図鑑や、化学式や作用機序まで細かく書かれた専門書まであります。





~ブローパイプが選ばれた~

 吹き矢の特徴は使う時の動きが小さい事、音も小さい事、持ち運びにスペースが取られない事、などなどがあげられます。

 でも、威力なら弓の方が確実に高いのですが、なぜこのブローパイプを危険な毒と一緒に持って行って使うのでしょうか?


 狩りに使う場合、密林やジャングルで使われる事が多くなります。

 足場も悪く、草も木も生い茂る。足場はぬかるんでいたり、木の根や草が生えているので踏ん張りも効きにくい。


 そんな密林の中に弓と矢を持って入ったとしましょう。

 矢を入れた矢筒が生えている木にゴンゴンと当たり、草を撫でてシャカシャカと音を立てます。

 弓も蔦に引っかかったりするので、しょうがないからマチェットなどをブンブンと振って、木や蔦を薙ぎ払いながら進むことになります。


 いやいや、だめじゃないですか。

 そんなに音を出しながら歩けば、獲物は逃げて行きますから狩りになりません。


 音を立てずに密林をそっと進み、獲物が見つかったら出来る限り近づきます。

 ブローパイプに矢を入れて「フッ!」と息を吐く音だけが鳴る。その直後に獲物が一声鳴いたら、もう毒が回って動けない。

 狩りの成功の瞬間です。


 暗殺に使う場合も同じです。

 目立つ弓や大剣を持って堂々と侵入してくる暗殺者はどう考えても少数派です。

 静かな所で使えば剣を振った時の風きりの音が響いてしまいますし、弓でも一撃で絶命する場所に当てなければ人を呼ばれてしまいます。


 その点、吹き矢の毒であれば急所に当てる必要はありませんし、剣ほど接近する必要もありません。


 闇に潜む目立たない服装、袖や懐などにそっと隠せる吹き矢。

 そして、何もムリに吹いて使わなくてもかまいません。

 毒を染み込ませた矢の部分を直接刺すという選択も出来るので、すれ違い様にチクリとしてやるだけでも十分です。


 狩りでも暗殺でも、最大の危険は矢をセットするときに自分にチクリとやってしまうことですね。

 細心で最大の注意を払って使う必要のある武器です。


 神話の中でも毒矢にまつわるものは多数ありますが、ブローパイプとセットになる毒を調べて行くと「神話より強いんじゃないかな」というとんでも無い物を見つけたりします。


 いつも言いますが、生活などに必要な場合以外に使ってはいけません。

 戦争だの暗殺だの物騒な事には使わないようにしましょう。

毒だとぉ! 卑怯者めぇ!


 って言う前には倒れているほど強力で、速攻性のある毒を使います。

 間違っても吸ってはいけません。

 吹き矢を構えてから息を吸ったら、矢とか毒が口に入っちゃうかもですよ。

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― 新着の感想 ―
[一言] ◎ 日本と「どく」と吹き矢 ……東南アジアには、マレー半島を中心にした『イボー毒矢文化(狩猟文化)圏』があり、イボー毒は、クラーレや腐敗毒などと違い、弓矢ではなく吹き矢が圧倒的主流。 そし…
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