第5回 チャクラム 世にも珍しい「斬」の投擲
チャクラム
直径10センチ~30センチの円盤、小学校で使っていた30センチ物差しがあれば大体の大きさがわかる。意外と小さいようで大きい。
見た目は輪投げに使う輪のようだが、その外側全てが鋭い刃になっている。
デザインによっては持ちてが描かれている物もあるが、持ち手がなく全部刃のほうがチャクラムらしいって思いますよね。
でもこれ、落とした時にどうやって拾うの?
伝説や神話ではインド系統になる。ヒンドゥー教の神様の力が具現化された日輪がチャクラムとして描かれている。
神鳥ガルーダが母を助けるため、不死身の聖水アムリタを求めた。そのアムリタの周りには罠としていくつものチャクラムが回転して飛び交っていた。
ガルーダは触れれば切り刻まれるいくつものチャクラムをかわし、アムリタを手に入れた。
チャクラムを扱っていたヴィシュヌは、チャクラムをすり抜けたガルーダに関心し、ガルーダを従者とした。
という神話もありますが、シーク教徒が使っていた記録もある実在する武器です。
◇
性質を見てみましょう。
攻撃方法を大別するとこのようになる。
「斬」 切る事を重視した武器、日本刀などが分かりやすい
「突」 貫くことを目的にしている、槍などが代表的
「打」 殴ること、棍棒など。斬も突もだめならメイスで殴れ
飛び道具も同じ。
「斬」 チャクラム、他知らない。
「突」 弓矢、弾丸、投げやり、どれも貫く事でダメージを与える武器
「打」 投石器、スリングショット、パチンコ、離れた所から打撃を与える
斬撃の飛び道具はチャクラムしかありません。
いや、他にもあるかもしれませんが、パッと思い付くのはチャクラムだけです。
手裏剣や投げナイフなども切る事ができるように見えますが、相手を切って倒すことは目的にしていません。
あくまで刺さる事を狙っているので、突の要素が強いです。
斬撃のチャクラムは円形をしています。
この形状の場合、力は1つの点に集中するため切れ味はとてもよくなります。投げて当たった所はざっくり切れる。
飛距離は恐ろしく長く、40~50メートルは飛び、30メートル離れた直径2センチの竹をスッパリ切れるそうです。
竹をスッパリ切れるなら、生身で受けたらざっくりと深い切り傷になりますね。
首とかやられたら致命傷になっちゃいます。
◇
性質を知ったあとは投げ方です。
フリスビーのように、刃の上下を指で挟んで投げる方法。
指を立ててチャクラムの内側に入れて、くるくると回転させて遠心力で飛ばす方法。
この2つ、考えても他に思いつかないですね。
試しにセロハンテープの芯を指にひっかけてくるくると、その勢いで投げてみましょう。
うん、顔にあたりましたね。もう一度。
うん、後ろに飛びましたね。もう一度。
うん、落として足にあたりましたね。
……これ、自分と味方のほうが被害が大きいんじゃないのかな?
相当な熟達が必要な武器ですが、フリスビーのような軌道を取ると考えると奇襲には十分使えます。
プロのフリスビーの正確性は凄まじく、障害物の合間を縫ってターゲットにヒットさせますから、熟達すれば恐ろしい成果をあげそうです。
林や家の柱などの障害物を縫うようにして、突如チャクラムが襲い来る。
なんと、恐ろしい。
※刃物を投げてはいけません
かっこいい、絵になる武器
もう一つ疑問なんだけど、これどうやって持ち運びしたんだろう。
敵兵よりも味方と使い手の被害は使う前の方が多い気もしてくる。
追記
鍔が左右にとんがっているようなデザインの帽子の真ん中に、スポッとチャクラムがはめられるようになっているものがありました。
兜の前立てのように、堂々と持ち運べるようになっていました。
色々あるんだなぁ。
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