第49回 如意棒 長さも太さも自由自在(幻想武器)
如意棒
中国の物語、西遊記に登場する石から生まれた猿「孫悟空」が武器として扱っていた棒。
赤い棒の両端に金で文様が彫られた箍がはめられており、太さも長さも自由自在という「質量」という概念を無視した上に、間合いという概念まで崩壊させるとんでもないアイテムですね。
齊天大聖・孫悟空が持つ如意金箍棒といった言い方が正確な言い方に近くなります。
持ち主の意思で自由に伸び縮みするという「如意」、金の箍の「金箍」がはめられている「棒」なので如意金箍棒となります。
重さは13500斤とされており、㎏に換算すると約8000㎏になります。つまり約8トン。
めちゃくちゃ重い!
材質は神珍鉄というもので作られています。
如意棒は元々は「天河鎮定神珍鉄」と言って、山などの重さを測ったり、海底をならしたりと世界を作る天地開闢に使われた道具だったとされています。
別の説では、中国の最古の王朝である夏の王が洪水を防ぐために作った、長さ4メートル、重さ2トンはある巨大な柱だったと言われています。
もしかしたら、これも天河鎮定神珍鉄だったかもしれません。
どちらの説でも海底に住む、東海竜王が所持していたとされている所は同じです。
孫悟空は凄まじい怪力を持っており、その力のあまり普通の武器ではあまりにも軽すぎて物足りなく思っていました。
東海竜王の元を訪れて孫悟空は色々な武器を見せてもらいましたが、どれも手に馴染む物ではありません。
最後に竜王は大きな柱を持ってきて孫悟空に渡します。これを軽々と持ち上げた孫悟空は「太すぎて使いにくい」と不満を言うと、この柱はシュルシュルと縮んで、そのまま針のような大きさまで小さくなってしまいました。
孫悟空が驚いていると、竜王が太さも長さも自由自在になるという事を伝えます。
この話を聞いた孫悟空はこの不思議な柱を気に入り「ちょうどいい」と持ち帰ります。
普段は針の大きさにして耳の穴に入れて、使う時には取り出して丁度良い大きさにして自由自在に振り回して戦いました。
これが、天河鎮定神珍鉄こと如意金箍棒、みなさんが良く知る如意棒です。
◇
一番重い説でも約8トンです。個人で持つにしたら重すぎる物ですし、そこらへんに投げ捨てでもしようものなら、地面にめり込んで抜けなくなってしまいます。
というか、こんな重い物持ってたら家の床板も発泡スチロールの板のように簡単に踏み抜いて、家の基礎にまで足跡が残ってしまうんじゃないでしょうか。
小さくしても重量が変わらなければ、8トンもある針を耳に入れていた事になります。とんでもないですね。
身長くらいの長さにしておいたとしても、8トンもの質量でぶん殴られるというのも恐ろしいです。
街中でスーパーなどの納品に使われている4トントラックの体当たり、そんなレベルではありません。巨大な建設重機が猛突進してきたような威力になります。
西遊記では、如意棒でぶっ叩かれて「ぐっはぁ!」とやられる妖怪達がいますが、如意棒で叩かれてノックダウンで済んでるだけで十分強いです。
一般人なら一撃で粉みじんになってしまいます。
だって、巨大な建設重機の全力体当たりクラスの攻撃を食らって、挽き肉になってないんですよ。
如意棒のあまりの威力に体が千切れてないだけで、めちゃくちゃ強いですよね。
また、如意棒はその丈夫さも特筆すべきポイントです。
如意棒は天地開闢の時に海底を整えるだけでなく、山の重さを量ったり、里の距離を測ったりするのにもつかわれていた説があります。
長さを測る、海底を整えるという所はまだ分かります。「山の重さを量った」という事は、山の重さに耐えたということです。
山の重さの計算というのはとても難しく、構成している岩石や土、下に眠る溶岩や地下水、山を覆う木や草などこれらの重さを全部合わせないといけません。
どんなに小さい山でも10トン~20トンの話ではありません、数字が沢山並ぶ天文学的な重量です。
世界を創造した存在が、持ち上げて量ったとすれば、それだけの頑強さを如意棒が持っていたと言えます。
攻撃力、破壊力などは簡単に言うと「重さ・固さ・速さ」の合計です。重くて、固い物が早くぶつかれば、威力が上がります。
約8トンという重量を持ち、山の重さに耐えられる頑強さ、これを孫悟空がその身の軽さと怪力で勢いよく振り回す。
如意棒って恐ろしい武器ですね。神話や伝説として語られる事も納得です。
伸びろ! そして、縮め!
みんな知っている有名な武器。
見る資料とかによって細部が違っているので、色々と伝説や解釈があるみたいです。
中国関係の武器は毎回漢字で苦労してますわ。