第4回 メイス 無慈悲な一撃です
メイス
RPGでお馴染みの武器の1つ、剣を持たない僧侶だとか、賢者だとかが使っているイメージを持っているひとも多い。
回復魔法はメイスで強化されるなんて設定とか、あったりしたのが記憶に残っている。
僧侶がメイスを掲げて、神々しく書かれている描写も多い。でも、この解説を呼んだ後なら「ひぃぃ!」ってなるかもしれないですね。
紀元前14世紀から17世紀頃まで数千年にわたる歴史がある。以前に紹介した棍棒は「単性棍棒」と呼び、今回のメイスのような棍棒タイプの事を「合成棍棒」と呼んだりします。
長さは30㎝くらいから、長い物だと100㎝近い物があります。サイズは結構色々、片手で使う事が多いけど、両手でも使える大型サイズもあります。
敵を殴打する先端がひし形の金属などで描かれている物が多いですね、鉄球だったり、出縁と呼ばれる金属の板や破片を並べていたり、柄頭の形は本当に様々。
メイスはドイツとイタリアで発展した武器であり、弓矢では刺さらず、剣も槍も通らない、全身鎧のプレートアーマーを倒すために有効な武器とされていました。
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使い方はシンプル、思いっきり振る。
メイスの特徴の1つに、持ち手よりも敵にぶつける柄頭のほうが重いということがある。自然とそこへ力が集中するので、勢いよくぶつければ効果があります。
全身が金属、切れず刺さらずのプレートアーマーは恐ろしい。雨のように降り注ぐ矢の中を平然と歩いてきて、槍に刺されても槍が痛むだけ。
邪魔だとばかりに押されながら、剣を振り下ろしてきます。
メイスの一撃はもっと恐ろしい。剣も矢も効かないプレートアーマーをひしゃげさせるほどの威力を出します。
何も頭でなくてもどこでもいいんです、メイスで足や腕に1~2発もらえばプレートアーマーは動けなくなります。金属が内側に歪むので、入っている人間も骨折や打撲程度のダメージが通ります。
アーマーごとメイスに殴られて凹む、つまり、傷口にひしゃげた金属が刺さり続ける、痛いし、動きにくいし、重いというフルコースです。
これが頭部への一撃なら、兜で守られていようとも死すら見えてきます。気絶では済みません。
やっちゃいけないけど実験するなら。
クッキー缶みたいな金属の箱を用意して、カッターや包丁で切り付けてみれは、少し歪むくらいでしょう。でも、ハンマーで叩けばベッコリ凹む。
その凹んだ部分が体にめり込んだ一撃です。絶対食らいたくないですね。
人に血を流さないためという名目で、僧侶とかヒーラーとかが、このメイスを振り回している描写が時々見られますが剣とか弓とかよりもヤル気が高くないっすか!?
殴打による傷なので、切られるよりも治療に時間がかかりますし、骨折などしてしまえばしばらく戦線復帰は不可能です。
メイスの中には先端を太いトゲで覆った、星型というか、ウニのようなより攻撃力が高い柄頭を持つタイプもありました。
これが聖水を撒くために使われていた棒に似ているという話もあるようです。
聖職者がメイスを持っているイメージってもしかしてコレだったんでしょうか?
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刀剣の発達によって一時は廃れてしまったメイスですが『斬』も『突』も効かないプレートメイルの対策として『打』を主とする武器が有効とされて再び発展したメイス。
筆者は昔実物を見た事ありますが、意外とちっちぇという感想でした。
ですが、持った感触はズシリと来るとても重い物でした。
見た目以上の重量感です。
思いっきり振れば金属の板をゆがませるくらい、容易にできる破壊力がある。
そんなものが持った感触からひしひし伝わってきます。
日常生活の中で一番近いアイテムはハンマーですね、大型メイスをイメージしたければ、業務用のホームセンターで売っている石割のハンマーや、大型の杭打ちのハンマーを見ると近いと思います。
ただ、そこまで大型になると、素早く振れないから当たらなくなるでしょうね。
グシャっと!
私が見たメイス
【本物と同じ材料と同じ製法で作ったメイスのレプリカです。お手にとってどうぞ】
つまり本物ってことね、レプリカとはなんぞや。なんて思いながら手にとったら30㎝くらいなのにめちゃ重い。
市販されているハンマーと同じ感覚だと持ち上がらないくらいの重さがある。
追記
お手入れについて、剣や槍は刃が潰れるとすぐに使い物にならなくなりますが、メイスはその重量こそが武器なので、それほどの手入れが必要ない事も強みの1つ。
※鈍器を人に向けてはいけません。自分に当てないように気を付けましょう。