第34回 イージスの盾 石化させる攻撃的な盾(幻想武器)
イージスの盾 (アイギス)
正式名称は「アイギス」といいます。ラテン語では「アエギス」英語では「イージス」となります。
日本語の音に当てた聞こえ方がこれなので、正式な発音については私では分かりませんが、この英語の言い方のイージスがこの盾の名前として広く伝わっています。
アイギスにはあらゆる厄災や邪悪を跳ね除ける、魔除けの力が備わっていました。
ギリシャ神話ではみんながしっているメデューサ。女神アテネを怒らせたため、怪物にされた哀れな女性。
3姉妹の末の娘であり、長女ステンノー、次女エウリュアレーもメデューサが怪物にされた事を抗議したため、同じ姿に変えられてしまっている。
という話が有名ですが、姉妹はいなかったとする説もあるそうです。
女神アテナを怒らせた理由も、海神のポセイドンとアテナの神殿の中でハードなイチャイチャしたという説。
アテナに自分の髪の毛の美しさを自慢しまくったからという説など色々あります。
いつもながら「諸説あります!!」
怪物にされたメデューサは女性の上半身に蛇の下半身、頭は髪の毛の代わりに無数の蛇がうごめくという人間だったとは思えない姿にされてしまった。
メデューサを見たものは全て、その見た目の恐ろしさと魔力によって石像に変えられてしまい、風化して朽ち果てるまでそこに立ち続ける事になってしまいます。
英雄ペルセウスは、女神アテナから盾アイギス、湾曲した入り江の海岸線のような刃を持つハルペー、空を駆ける事ができる魔法のサンダルを授かり、メデューサの討伐に向かいます。
直接メデューサの姿を見てしまうと石にされてしまうため、ペルセウスは磨き抜かれて鏡のようになっている盾アイギスを使い、鏡越しにメデューサの姿を見ながら、魔法のサンダルで接近し、ハルペーを使ってその首を落としました。
首だけになって、メデューサが死んだ後も見たものを石に変える力は残っていました。
ペルセウスは盾アイギスにメデューサの首をはめ込み、相対した敵を石に変えるという攻撃が出来る盾を作り出すこととなります。
これがイージスの盾です。
アテナがペルセウスに貸したのはアイギスではなく、鏡の盾とか、透き通った不思議な盾だったという説もあります。
この場合は、ペルセウスが持ち帰ってきたメデューサの首をアテナがアイギスにはめ込んだとされています。
また、アイギスは盾ではなく、胸当てだったとか、肩当だったと言う説もありますね。
肩や左胸にメデューサの首がついているという姿も、なかなか絵になると感じますね。
これだと攻撃する鎧みたいですが……
さて、筆者ピーターが武器だと思っている。
イージスの盾、いってみましょう!
◇
~イージスアタック~
しかしまぁ、石化の盾とは、とんでもない盾を生み出してくれたものです。
こんな盾を相手が持っていたら、戦いのやり方が大きく変わります。
直接見てはいけないので、鏡に映して近寄ったとしても簡単に切り捨てられてしまいます。
弓で狙おうにも、盾が見えない距離となると、届くわけがないほど遠くに離れなければなりません。
英雄ペルセウスは、海の怪物の生贄にされそうになっていたアンドロメダという女性を助けるために、海の怪物に戦いを挑みます。
ペルセウスの剣も拳も海の怪物には通じません、その時、ペルセウスはイージスの盾を構えて石化の力を怪物に向けると、あっという間に怪物は石に変わり、2度と動く事はなくなりました。
この盾を構えている限り、相手は目を閉じて戦うか、鏡を覗き込みながら戦うかという事になります。
つまり、正面から戦うことはできなくなります。
やりにくいことこの上ない。
人間だけでなく怪物にも石化が効くという事が分かったので、効果の範囲はとても広いですね。
たとえ戦争でも敵兵にこの盾を向けるだけで、近寄ってきた敵兵が次々と石に変わっていくので、1人で何百何千もの敵を倒す事ができます。
魔法や災害の力を向けられたとしても、盾そのものに魔除けの力があったため、これも跳ね除けられてしまい、持ち主を倒す事はできません。
海の怪物を倒した事以外に、この盾が使われた伝説は見当たりません。
最強なので、誰も戦いを挑まなくなったからだと思います。
◇
~現在のイージス~
現代でも戦艦にイージスの名前は付けられており、イージス艦といえば軍隊などに詳しくない方でも知っているほどになっています。
イージス艦はイージスシステムと呼ばれているシステムを搭載した戦艦のことです。
イージスシステムとは高性能なレーダー、高速の情報処理、精密な射撃管理など、200以上の目標を捕捉して追尾し、それぞれに対応することができます。
つまり、数百の戦闘機とミサイルでこのイージス艦を攻撃したとしても、イージス艦に搭載されている装備を最高の効率で使用してこの全てに対応することができます。
同時に10以上の目標に攻撃を加えながら、次のターゲットにも狙いが定められています。
ちなみに超高速で精密で正確な計算のため命中率もほぼ必中で回避不可です。
これほどのシステムを搭載されては手を出す事ができず、近寄る事すらできません。
攻撃的な防御を行えるという防衛能力の高さを、アテナの盾のアイギス、つまりメデューサの首が備え付けられたイージスの盾から名前を取ってイージス艦と名付けられています。
神話での魔除けの力に石化させるという攻撃性が組み合わされた、最強の盾。
現実では、近寄る事すら許されない攻撃的な防御を行える戦艦。
イージスという名前が攻撃と防御を兼ねている存在を意味しています。
ストーンチェンジ!
ピーターはこれ、武器だと認識しています。
形状も機能も盾なんですけど、魔法的な武器ですよ。
見たもの全部が石になるなら、メデューサって何食べていたんでしょう。
植物だったり、動物だったら石にならないのかな?