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第30回 草薙の剣 神代~人代、そして現代まで伝わる剣

草薙の剣(くさなぎのけん)


 天叢雲剣あめのむらくものつるぎとも言う。他にも草薙の「太刀」だったり、天の文字を「あま」と呼んだりする。複数の言い方や名前がある剣。


 日本の3種の神器と言われる存在の1つ。

 だれでも知ってるくらい有名ですね。

 

 日本神話では神々の時代から現代にまで伝わっている、非常に歴史がある剣です。


 ちょっと調べると、とんでもないくらいの量の情報と資料が出てきてしまうので、ちらりと触れたという程度で紹介しておきます。


 びっくりするくらい簡単に書くので、詳しく知りたい方は古事記の日本書記原文と解釈文を調べて見て頂けると、もっと詳しくなります。





 神々が住む高天原たかまがはらから、出雲の国に降り立った素戔嗚尊(すさのおのみこと)八岐大蛇(やまたのおろち)の贄にされそうになっていた櫛名田比売(くしなだひめ)を助けるため、八岐大蛇を酒に酔わせ、十握之剣(とつかのつるぎ)の1つ天羽々斬(あめのはばきり)を使って切り刻み屠った。


 ※名前に使われている漢字は古事記・日本書記などで違っております。一応、古事記の方に合わせています。

 ※十握之剣(とつかのつるぎ)を天羽々斬と書いていますが、十握之剣とだけしている事もあります。


 たまに『天叢雲剣で八岐大蛇の尾を切った時に草薙の剣が出てきた』というエピソードを語る方がいますが、天叢雲剣と草薙の剣は同じ剣の事を指しています。


 そして十握之剣は剣の形状を現しています。

 握りの部分が拳10個分あるという剣の形状のことですね。

 十握之剣で有名な物は天羽々斬の他に布都御霊剣(ふつのみたまのつるぎ)があります。


 えーい、漢字ばっかりで大変じゃい!


 素戔嗚尊(すさのおのみこと)はスサノオ

 八岐大蛇(やまたのおろち)はヤマタノオロチ

 櫛名田比売(くしなだひめ)はクシナダヒメ

 とします。


 スサノオがヤマタノオロチを酒に酔わせたというのは定番です。お酒の飲ませ方も大きな樽を置いておいたって話を思い出してください。


 樽の前に門を置いて、首を下げて門をくぐらせたなどなど。

 お酒の用意はクシナダヒメがしたとする話が多いですね。


 山より大きい大蛇に飲ませる酒、一体どれほどの量だったのでしょうか?

 酒蔵まるごと飲ませたのかと思うほど。


 世界の神話でも恐ろしく強い存在を倒す時には、酒を使うという神話は多いです。

 原文ではお酒の用意や、飲ませ方については触れられていないんですけどね。


 酒に酔って眠ってしまったヤマタノオロチをスサノオは、天羽々斬をつかって次々と首をはねていきます。


 しかし、ヤマタノオロチも恐ろしい力を持った存在。

 全ての首を切り落としたくらいでは死んでいないかもしれません。

 スサノオはヤマタノオロチの体や尾にまで天羽々斬の斬撃を与えて切り刻んでいきます。


 ダメ押しとばかりに尾を切りつけた時に天羽々斬の刃の一部が欠けてしまったのです。


 スサノオはコレは奇妙な事だと思い、剣の切っ先を使って尾を切り開いていくと1本の都牟刈の太刀(つむがりのたち)が現れました。


 これは何と不思議な物かと思ったスサノオは、天照大御神(あまてらすおおみかみ)に献上したのです。


 この『都牟刈の太刀』という言い方は非常に鋭い刃を持つ大刀という意味だそうです。


 そしてこのときはヤマタノオロチの頭上はいつも重苦しい雲があった事から、この剣の名前は天叢雲剣と名付けられていました。





 先ほどまではまだ、神々の話。ここからは人の時代の話となります。


 草薙の剣という名前がついた逸話があるのが、この時代です。


 主人公は大和の国に暮らす人間日本武尊(やまとたける)です。以下ヤマトタケルと書きます。


 ヤマトタケルは東の国の制圧に向かう事になり、ヤマトヒメから神剣を渡されました。

 この時にヤマトヒメには天照大御神が降りてこられ、ヤマトヒメの口を使ってヤマトタケルに語りかけます。


 その内容は、この剣の名前が天叢雲剣である事。ヤマトタケルの前世はスサノオであった事でした。


「この天叢雲剣は、そなたの前世のスサノオがヤマタノオロチの体から取り出し、私に献上したものだ」


 現代風の言い方にするとこんな感じでしょうか?

 大神も大神である天照大御神が直接お越しになられたという事はすごい事です。

 

 ヤマトタケルは東の国の向かう戦いの中で、敵の計略にかかり、野火のびに包まれてしまいます。

 右も左もよく燃える草ばかり、その中で炎に巻かれてしまい、もはやこれまでかと言う窮地に追い込まれました。


 その時に天叢雲剣を抜き、周りの草を薙ぎ払う事で、自分の所まで炎が届かないようにして身を守り、窮地を脱出しています。


 一説には天叢雲剣が勝手に飛び出し、宙を舞うかのように周りの草を薙ぎ払ったという逸話もあります。


 こっちの方が、かっこいいと個人的に感じていますし、こういった出来事があった方が名前を変えるという逸話にはピッタリきます。


 この「草」を「薙」ぎ払うという出来事から天叢雲剣に「草薙剣」という名前が付けられました。

 そして古文での名前の読み方を現代の文字に当て「草薙の剣」という名前として書かれています。


 ヤマトタケルは伊吹山の神によって、病を与えられてしまい。この病が元で命を落としています。


 この伊吹山の神は、前世はヤマタノオロチと言う大蛇だった、もしくはヤマタノオロチの化身だったともいわれています。

 前世では敗れた恨みを今生で晴らしたという事ですね、執念恐るべし。


 大和の国に帰る事なく命を落としたヤマトタケルですが、命の火が消える瞬間まで草薙剣を呼んでいました。

 ヤマトタケルの妻のミヤズヒメは命を落としたヤマトタケルと最後まで呼ばれていた草薙剣を神と神剣としてまつる事としました。


 こうして祀られたヤマトタケルと草薙剣は今はどこにあるのでしょう?


 そう、愛知県名古屋市にある、現代の熱田神宮です。

 草薙の剣は神代から人の時代にまで受け継がれています。

なぜそんな所に!


 と子供の頃から思っていた剣です。

 なんで、ヤマタノオロチは自分の体の中に剣があるのに、自分が切れなかったんだろう。


 十握之剣は十握剣と書く事の方がおおいかな。


 保身の一言『所説あります』

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― 新着の感想 ―
[良い点] ログインできるまで間が空いたので久々に拝見しました。 更新がすごい! ちょうどいま、草薙の剣のところです。 こういうのも大好物でして(笑) 三種の神器はホント諸説ありますよね。 安…
[良い点] これはまた、大好物がきました。知らない話もちらほらと。 良いですねぇ、神話。 私の記憶違いでなければ、天羽々斬って青銅剣だから、鉄の剣の天叢雲剣を斬れなかった説。 [気になる点] 私の記…
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