第25回 ボーラ 紐付き投擲。これを知っていると思考が広がる。
ボーラ
石や骨などなどを重石にして、紐で縛る。これを2~10個必要によって数を変えて用意します。重石を付けた方とは反対の紐を束ねれば出来上がり。
紐の両側に重石が付いた、アメリカンクラッカーという懐かしい、いやもはや古い?
おもちゃのような形状のアイテムがボーラです。
頭の上で振り回して、加速させて投げる。
投げる時に重石の一部を反対の手に持って、紐の部分をからみつかせるように投げる事もある。
ただ石を投げるのと違い、ぶつかったあとも紐が石に引っ張られて相手に絡みつき、別の紐と石もそれに引っ張られて相手にぶつかり絡まっていきます。
長い紐にこのボーラを括りつけて木の枝に絡ませる。そして、紐を引っ張る事で枝を揺すったり折ったりして、木の実を採取するといった事もできます。
狩りに使う時も相手の体に当たってダメージを与えるだけでなく、紐が動物の足や鳥の羽などの部位に絡まることで、素早い動きを封じる事ができます。
ボーラを投げて一瞬でも動きが鈍れば、仕留めるには十分な時間が稼げます。上手く行けば、紐でがんじがらめに出来るので、生け捕りも可能です。
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ようするに石を遠心力で投げる事で、飛距離を伸ばすということが原理です。
その場で振り回して加速させるので、助走などは不要ですし、大きな音も鳴りません。得物の背後からなら気付かれないで当てることも可能です。
飛距離は紐の太さや重石の数などにもよりますが、熟達すれば40メートルほどまで射程に入るようです。
紐付きで投げる物でも10メートル以上投げる事ができます。
素人でも、枝にひっかけて木の実を取る程度の事は十分にできますね。
やってみてもいいですが、外し方を考えておきましょう。
上手く行くと簡単には外れないほどグルッグルに絡みつきます。
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足場が安定しない場所や狭い場所でも、腕の力だけで振り回して投げることが出来ます。
ボーラの一種には『スラング・ショット』という物があります。
これは、革袋のような物に石などの重石をいれ、それを紐に括りつけます。
反対側には輪を作っておいて、掴みやすく手放しやすくしています。
重石が2つ以上ないと、相手に絡みつくということはありませんが、遠心力で投げるということで、踏ん張りが効かない場所でも速度が乗った投擲をすることができます。
もちろん、振り回して相手を殴打することも可能になっています。
このスラング・ショットは船の上などで使われていました。
手で石を投げるよりは、半円でもいいので振ってから投げた方が威力が上がります。
命中力はどうだったんでしょうか?
まぁ、ぼろい紐と使い古した革袋で良いので数打ちゃ当たるだったかもしれません。
ボーラは原始的な武器ですが『遠心力』という物を味方につけた武器です。
この遠心力というのは、腕の振りなどの半円やその半分の起動でも得ることができます。
極端な話、パンチやキックなども円の動きを利用して威力をあげています。
この武器を知っておくと、他の武器や投擲の原理や威力の上げ方にも理解が深まると思います。
サバイバルになったときにもオススメです。
木の皮を集めて束ねて紐を作り、そこらへんに落ちている石と組み合わせれば完成します。
無人島なら、浜辺に流れ着いた廃材の紐が活用できますね。
自由工作で作ってみても面白いかもしれませんが、くれぐれも自分や友達にぶつけないように気を付けましょう。
遠心力でブン!
シンプルな材料で、打撃と拘束という2つの効果を出す事ができる武器です。
重石の種類や形状、紐の組み方や投げ方の工夫でも効果が変わります。
投網みたいに進化させられるアイテムです。