第180回 サイティ 武器であり防具
サイティ
サインティ
以前にも取り上げた、剣・盾・槍の豪華セットの武器「アダカ」から発展してきたと言われている武器であり防具がサイティです。
個人的には先祖返りしたのかなぁ、なんていう印象も抱いているところ。
長さ80センチくらいの金属の棒の中心に握りとナックルガードがついています。
ナックルガードからは10~20センチ程度と思われる短剣の刀身が伸びているという、剣付バトンがサイティです。
棒の部分は直線的なものもあれば、お団子のように金属のふくらみが続いているもの、尖端部分に装飾されているものなど、いくつかのパターンがあります。
代表的なものというか、ネットで画像がみつかるのは、お団子のようなふくらみが続いているものかなと思いますね。
使われていた・創られていたのはインド周辺で、16世紀~18世紀頃と書かれている物が多いようですが、アダカが使われている時代かそれよりも前に原型がインドに伝わったともされる説もあるようです。
アダカって14~16世紀頃でスペインの南にある、モロッコ発祥でヨーロッパ方面で使われてたんじゃなかったっけ?
どうやって伝わったのか、シルクロードかな?
技術とか物品の伝達って大体シルクロードじゃないかなとも思う筆者ピーターです。
毎度のことながら諸説も所説もありますね。
さて、今日はこの奇妙な剣付バトン、サイティを見ていきましょう!
◇◇◇
~どうやって使うの?~
サイティは基本的に左手で持つとされているようですが、状況によっては利き手で構えても良さそうです。
もう一方の手に別の武器を持って戦うということが多くある意味では「盾」ですが、剣がついている上に棒状の盾なんてのはありませんよね。
ちゃんと武器です。利き手にメインの武器、反対にサイティが基本ですね。
要は鉄の棒ですから、サイティでそのままぶっ叩いてやるだけでも十分な威力があります。
相手が無防備なら、鉄の棒の殴打ですから致命傷まで見えますね。
先端を突き込むような打突などの突き込み、棒の上を使うか、下を使うかなど工夫すれば、複雑な打撃を繰り出す事ができます。
短剣部分の使い勝手も悪くありません。
パンチを撃ち出す要領で突き出せば、体重が短剣に乗ってくれますので強烈な刺突攻撃になります。
革程度であれば簡単に貫いたことでしょう。
はい、ここまでが基本形。サイティの真価は防御も可能ということです。
盾のように自分の視界を塞いだり、動きを制限させることはサイティではありません。
敵の攻撃を棒の部分で受け止め、払いのけることができます。
ただの棒であれば、鍔競り合いになった時にスライドさせられてしまえば手を潰されてしまいますが、サイティはガッツリとナックルガードが付いていますので手を切られる事はありません。
棒の部分にも凸凹があれば、ここにも引っかかってくれますね。
武器を止めたらサイティを捻って武器を弾き飛ばしてしまいましょう。
あら不思議、相手の武器が離れているのに、サイティの短剣が相手を向いていますね。
そのままパンチで勝利確定です。
あ、右手になんか武器もってましたね、そっちで止めでもいいですよ。
その場合は弾き飛ばさなくても、そのまま武器を抑えておけばいいですね。
どっちにしろ勝利確定です。
武器を押し込まれて動けなくても、サイテイはナックルガードの上下に棒が伸びていますから、上下のスライドで無理やり動かす事もできます。
相手の足や股間なら、無理やり押し下げてめりこませることで激痛をプレゼントできます。
金属の棒でグリグリされるんですから、たまらず飛び退いてくれることでしょう。
サイティ1本あれば、打撃・打突・刺突といった攻撃だけではなく。
受け止める、弾く、絡めとるなどの防御の技も使えることができますね。
構え方によっては短剣の先端が付きつけられることになります。
しかも、鉄の棒なんですよ、めちゃくちゃ怖いじゃないですか!
殴られる・刺される、どっちも嫌です!
サイティを突きつけられて「投降しなさい」言われたら、即武器を投げ捨てますので、見せる武器としても十分に機能しますね。
◇◇◇
~とは言ったものの~
サイティが見た目的にも攻撃でも、防御でも有効ということが分かりました。
ですが、使いこなせた人間は少数だったのだろうと思っています。
だって……
どう考えても、滅茶苦茶高難度の武器としか思えませんからね!!
まず、盾のように自分を覆ってくれるという安心感がありません。一本の棒なので丸見えです。
攻撃を防ぐためにはタイミングを合わせてサイティを操らなければなりません。
しかも、利き手と逆の手でそれをやります。
失敗したら、相手の刃が自分の体にめり込む事になるので、緊張感も半端ではありません。
あ! って思った瞬間には天国か地獄の階段が見える状況下にもかかわらず、平静に扱うためには相当な度胸が求められます。
仮に受け止めたとしても、相手の武器を絡めとる・弾くという時には刹那の瞬間を見極めないと上手く行きません。
ナックルガード付近で受けたら、白刃とあなたの拳の間は僅か数センチ。相手の押し込み方によっては力負けして刃が押し込まれることになりますので、適切な力加減と方向で競らないといけません。
利き手と逆の手ですが、上手い事やってくださいね。
全長80センチとはいえ、握りと中央のナックルガードがあるので、棒の長さそのものは30センチ程度になってしまいます。
間合いが短いため適切な防御や回避ができないと攻撃に転じることができません。
所謂「後の先をとる」という武器と言えます。
相手の武器を抑えるソードブレイカーとしての機能のみ活用であれば、利き手に持った武器で攻撃すればいいのですが、それなら最初から盾を装備するでも変わらないかなと思ってしまいます。
サイティを使うのであれば攻撃も防御も出来たほうがいいですよね。
相手には複雑な攻撃を仕掛けられる一方、ギリギリまで刃に近づく事を求められる。
そんな、自分にも相手にも強い緊張をもたらす武器がサイティです。
どこからでもかかって来い!
って、すっごいドキドキしながら構えているのかと思ってしまう。
攻防一体の武器が最強かと言われると、鍛錬の時間なども考えると決して最強とは言えませんし、飛び道具については盾ではないので、防ぐことは困難です。
あくまでも接近戦で使いこなせると最強格になるのがサイティかと思いますね。




