○盾殴り シールドバッシュ
今回のテーマは「盾」です。
え? 武器じゃないじゃんって?
はい、そうです、そうなんです。
今回はこの盾を武器にしちゃうという話ですので、番外編となります。
だって盾は防具なんだもん。
でもでも、この盾が以外と武器にできるんですよ。
手にする盾によって武器化するための方法、その呼称についても様々あります。
シールドアタック
シールドバッシュ
チャージ
盾殴り
シールドスラム
ね、様々でしょ?
さぁ、今回は防具の代表格である『盾』を武器にしちゃいましょう!
◇◇◇
~盾の種類~
結構な種類があるんですよね。
全部触れていくと、別の連載が持ててしまうくらいなので、今回武器化するアイテムに絞って簡単にみてみましょう。
まず、バックラーですね。
プレートメイルの騎士様が装備している、ちっちゃいお鍋の蓋くらいの小さい盾です。
ど真ん中に一本持ちてとなる金属の取っ手が取り付けられています。
バックラーは防具の一つではありますが、相手のスキを作り出すための補助的な武器や用途という機能があります。
そもそも、サイズが小さいので、盾の背後に隠れて防御姿勢をとるということには向きません。
お鍋の蓋の後ろに隠れてもねぇ……
プレートメイルの非常に高い防御力がありますから、ちょっとした攻撃は無視できますからね。
装甲を貫通してきそうな攻撃だけ捌ければいいので、バックラーみたいな小さい盾で十分。逆に大きいとただでさえ低い機動力がさらに低下してしまいます。
続いてはライオットシールド。
警察や機動隊、警備会社に置いてある、頭から膝くらいの大きさで、体を縮めれば盾の後ろにすっぽりと隠れられます。
ジュラルミン製で目元の所だけ、窓になっているものが印象に強いですね。
最近だと樹脂製で全部透明になっているという、視界最高なタイプが定番だそうです。
ライオットシールドのライオットは暴徒という意味となります。
バットや角材、パイプといった物品を使った殴打、石などのある程度の重さと固い物を投げつける投擲、こうした攻撃から身を守るための盾がライオットシールドです。
他にも、円形で肘くらいまで覆うようなタイプや、小手に取り付けられているようなタイプ。
全身すっぽりよりも大きく、となりの人までガードできるタイプ。
こういった物もありますね。
ほかにも突起がついているもの、紋章が書かれている物、円形や長方形に楕円形など地域と文化によって様々な盾が存在しています。
以前にも紹介した、アダカみたいな盾なんだか槍か剣かみたいな独特な盾もありますが、そこまで行くと、盾だか武器だか分かんないですね。
今回はバックラーとライオットシールドをメインに見ていくとします。
小さい盾の代表をバックラー、大きい盾の代表をライオットシールドに担ってもらうとしましょう。
もちろん他の盾でも武器に出来そうな物って沢山あるんですけどね。
◇◇◇
~バックラー~
先ほども説明したようにお鍋の蓋くらいの小さい盾になります。
相手の攻撃の直撃を受け止めるのは全身を覆うプレートアーマーにお任せです。
プレートメイルは肌に直接着込んでいるものではありません。
下地のチェーンメイル、補強しつつ肌触りを気持ち改善してくれる革や厚手の衣類、これらも防御力を補強していますので、その防御力は凄まじい強度になります。
こうしたプレートメイルを破壊するのは両手で振り回す人の身長ほどもある大剣や、重量感たっぷりのハンマーよりも大きいメイスなどなどです。
大剣を振りかざしてきた相手のプレートアーマーのナイト様。大剣が振り降ろされたらさすがのプレートアーマーが凹むほどのダメージが来そうです。
ここでバックラ―の出番、相手の大剣が十分なスイングで加速する! その最大の破壊力が出るはずだった刀身にバックラーを押し当ててやります。
するとあら不思議、バックラーで押しのけられた刀身が明後日の方へそれていくではありませんか!
ここで、盾を武器化する大チャンス! バックラーの必殺技「シールドバッシュ」!
バックラーを相手の顔面に叩き込んでやります。
相手もガッチガチのプレートアーマーでヘルムも豪華なものですが、貴方のガンドレッドとバックラーの重量でぶん殴ってやれば、なかなかの振動をプレゼントできます。
大剣を振ったあとの体勢の時に、強烈なシールドバッシュ、さすがのナイト様も体勢が崩れます。
ここで嬉しい追加効果が発生していることに気が付きましたでしょうか?
ただでさえ、ヘルムの隙間という狭い視界がバックラーによってさらに塞がれています。
貴方はバックラーだけを握りしめて戦場に出ているというわけではありません。
あなたの右手にはメイスやウォーピックといった片手武器が収まっていることでしょう。プレートメイルを破壊できる武力が貴方にはある。
体勢を崩して、顔面にシールドバッシュのダメージに視界も塞がれている相手が目の前です。
勝利への条件は十分に整いました。
必殺の一撃を打ち込む大チャンスをもたらしたのは、バックラーという小さな盾の一発だったわけです。
え? なんか弱そう? そんなことありません!!
バックラーは1キログラム以上はありますので、ガンドレッドの重量を考えると2キログラムは確実に超えます。
重さと強度を考えると、成人男性が鉄アレイでぶん殴るぐらいの威力がありますから、生身でシールドバッシュされると頭蓋骨粉砕するほどの威力ですよ。
◇◇◇
~ライオットシールド~
暴徒鎮圧などで使う盾ですが、実は防弾性能はかなり低いです。
鈍器で殴られ、石を投げつけられるくらいなら汚れと小さい傷がつく程度ですが、銃弾は貫通してしまいます。
銃弾防御の性能がない上に、全部透明なので軽そうな見た目の上、材料も樹脂と言われると正直軽そうな印象ですが……
実は3キロ程度はあるため、その大きさも相まって持ち運ぶだけで結構な体力を持って行かれます。
しかも暴徒と化した連中が容赦なく攻撃していくるのに対して、盾を構えているほうは出来るだけダメージを与えないようにしないといけませんから、メンタルも体力もゴリゴリ削られるわけです。
だって、鬼の形相の連中が凶器の雨を降らせている所から目が逸らせませんからね。
この時点で警察の方々や自衛隊の方々には頭が下がります。
ほんとは銃撃まで対応できたほうがいいんですが、実際、銃弾をガードするような盾はかなりの重量になり、その大きさで空気抵抗などの影響もあり、武器として押し出すような使い方は正直できません。
相手によって使い分けが必要になってくるわけです。
ライオットシールドの武器化は相手を怪我させるというよりも、抑えるという事が目的です。
盾を使って勢いよく体当たりをすれば、相手を吹き飛ばすような威力を発揮できるはずですが、それをやると相手が怪我する可能性があがってしまいます。
過去、日本のとある地区で暴動が起った時。
道路の右方向と左方向、それぞれにライオットシールドを装備した機動隊が並び、ネズミどころか、カメムシ一匹通れないほど隙間なく構えました。
しかも、何列にもわたって。
号令に合わせて、一糸乱れぬ動きで、ライオットシールドの壁がジリジリと動きます。
暴徒が石を投げても、瓶を投げても、ライオットシールドは引きません。
暴徒にしてみれば、壁が迫って来ているという訳です。
それを作るシールドの多さ、構える人数の多さ、そして一切の乱れないほどに磨き上げられた訓練の密度が垣間見えます。
気が付けば、もう壁が目の前に迫っています。
迫ってきた所でバットや鉄パイプでぶっ叩いても変わりません。すでに直接手が届くほどにシールドが近付き、まだまだ押し込んでくるわけです。
なんて物騒な「おしくらまんじゅう」なんでしょう。
シールドを押し込まれて動きを封じられた暴徒は1人、また1人とシールドで押さえつけられて動けなくなった所を確保されていくわけです。
これでも優しいほうなんですよ。
本気で鎮圧にかかった場合、前列は両手で盾を持ちますが、その後ろは片手で盾を持ち警棒などの打ち据える武器も装備、当然手錠やロープなどの拘束の装備も万全です。
一気に突撃、先頭が盾越しに体当たりを叩き込み、次が盾を上下にスライドさせる動きで盾の下の縁を活用してバランスを崩した暴徒へ打突を加えます。
盾そのものは自分を守ってくれているのに、真下に居る敵にとっては刃の無いギロチンが降ってきているのと変わりありません。
地味な動きなのに恐怖感満載の上下スライドです。
さらに、警棒での殴打や足での踏みつけで攻撃を加えてダメージを蓄積させてから拘束します。
この時の攻撃は盾で自分の身を守りながらなので、攻撃をくらう可能性を下げてますし、数名でかかっていれば前後左右までお互いの盾でガードが届きますから、こちらの人数は減りません。
遠慮なく次の相手に襲い掛かれます。
苛烈な攻撃が終わったあとには、鼻血を流し、あちこちに青痣を作った、暴徒だった人が縛られて転がされいるので、回収して尋問が始まるのです。
命を奪ってないだけ、これでもまだ優しい。
ライオットシールドは数キログラムあるわけですから、盾の角を活かした打突でも骨を砕き、内臓に損傷を与えるほどになりますからね。
こうした大盾による突撃というのは相手の攻撃を防御しながらも攻撃ができる。
攻防一体の技になります。
◇◇◇
いかがでしたか?
ちゃんと武器になってましたね。
やっぱり相手の攻撃を受け止める・受け流すといった事がメインですが、確かに武器としての側面がありました。
バックラーはシンプルに殴りつけるという、接近戦での強烈な一撃。
ライオットシールドは、自分の身を守りながらの強烈な体当たりになるチャージだけでなく、下の縁を使った刃無きギロチン。
どっちも怖いっすね。
シールドバッシュ!
やっぱり、この言い方がしっくりくる気がする筆者ピーターです。
書いていて思ったけど、結構エゲツナイ攻撃になってますよね。
大盾使って、背中からの体当たりとかぶち込むと、すごい技になっているような気がする。




