第17回 バトルアックス これは総合的な言い方です。
バトルアックス
日本語で言うと戦斧になります。一発変換できたことがびっくり。
斧は木を切るための道具、武器として作られた物ではありません。
仕事のための道具であった斧を、戦いのために重さや刃の部分を調整して作られたのがバトルアックスです。
ヨーロッパが最初に作られた地域らしいですが、バトルアックスは6世紀~現代に至るまで、様々な形で、世界のあちこちで、この要素を受け継いだ物が見られています。
片刃の物、両刃の物、先端に槍状の穂先を付けたもの、さまざまな物が作られていきました。
時代によってその形は千差万別、野蛮な形の物から、神聖を感じる程の作りになるものまで幅が広い。
ゲームとかでは両刃が妙に大きかったり、3枚の刃が風車のようについていたり様々なデザインがありますよね。
ムキムキマッチョメーンか身長の小さい幼い女の子、どっちかが振り回している印象が強いのが筆者ピーターです。
たとえ、筋骨隆々の大男だったとしても自分の身長より長さがあって、一方に数キロの重量がある得物は自由自在に振り回せません。
頭の上でぐるぐる回すのも遠心力で外側にずれて行ってしまい、結果ジャイアントスイングになります。
でもね、振りかぶって振るという動きだけで十分威力がでます。
小さい女の子が振り回す描写だと、振り上げるという動きにかなりの筋力と自身の体重が必要になりそうなんですが……
実はふと……
さて、暗殺されそうなので解説にいきましょうか。
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ただの斧と何が違うの?
それは長さと大きさが違います。
通常の斧はそれほど大きくありません、ホームセンターで売っている斧は意外と小さめですし、腰につけられるような手斧という言葉まであります。
山で使う、大木も切れるような斧を見てもそれほど大きいという印象は持たないでしょう。
特に個人の薪割り斧とかでは「おもちゃじゃん」というくらい小さい物もあります。
薪割り斧の強化型という名称で通販されている物でも長さ1m、重さ3.7㎏くらいでした。これでも太い丸太サイズが真っ二つできます。お値段6000円くらい、一家一本いかがでしょう。
これが大きくなるとどうなりますか?
答えは簡単、威力があがる。
バトルアックスになりえる物のサイズは様々で、60㎝程度から200㎝近い物まであります。
そしてその重量も0.5㎏~3.5㎏程度まで、刃の形状や柄の材質によってはさらに重い物もあるでしょう。
薪割り斧より軽めものは片手で扱い、素早い行動にするための戦闘用だからですね、
一撃で相手を倒しても、引き戻しに時間がかかれば2人目に対して無防備です。
片手で3㎏以上の斧を振り回して、即座に引き戻す事は難しいですね。
重ければいいという訳ではありませんが、重いものは両手であつかいます。
重くて、長い物ほど、振った時の加速も当たった時の衝撃も大きくなるので、200㎝以上の最大サイズが直撃すればプレートメイルごと人体を両断することも有り得る程です。
総合的なカテゴリーになるため、重さ長さは資料によってまちまちなので『これこそ、バトルアックスだ』という斧はありません。
戦場で敵やバリケードなどを叩き切るための斧は全てバトルアックスです。
片手用の短い物、槍のように使う長い物、本当に姿形は様々です。
メイスに近い形状を持つタイプもありますが、あくまで刃がついているのがバトルアックスですね。
撃ち込んだ時にメイスよりも狭い範囲に衝撃や勢いが力として集約されるので『切れる』という現象が起こります。
純粋に刃の切れ味で考えたら、プレートメイルに一撃入れた瞬間に一気に切れなくなっている事でしょう。
『打撃に斬撃を加える』というのが斧の特徴です。
◇
先ほどからあげていますが、ヨーロッパの代表的な防具といえばプレートメイルです。
全身を金属で包み、機動性を犠牲にするかわりに矢と刃物に対する絶大な防御力を得る無敵の鎧。
これを打ち倒すためにバトルアックスは活用されて、次第にメイスのような特徴や性質も兼ね備えていきました。
つまり、重さに加えて刃を付ける事で『金属を切る』と同時に『打撃を与える』という事を狙うようになりました。
小さいメイスですら鉄板をゆがませるので、そこに刃が付いたのであれば威力は想像できるでしょう。プレートメイルも骨もなんでも両断します。
カギ爪のついたもの等も登場し、プレートアーマーの兵士の足をカギ爪で引っかけて転ばせて、抵抗がしにくくなった所に斧で止めを刺す。
そんな戦闘もこなせるようになっていきました。
最終的にはバルディッシュ、ハルバードなど、複雑な機構や美しい見た目に進化していった武器が戦斧です。
大木すらも一撃で割る!
縦なら切れるが、繊維を横切る切り方で一撃は多分無理やで。
薪割りには使いにくい。