第166回 鉄笛 鉄が素材のただの笛
鉄笛
てってき
ティエティー
実は結構色んなタイプがあるので、細かく見ていくと意外と大変になってしまうアイテムがこの鉄笛です。
年代も古く、紀元前2~3世紀頃には登場しており、現代でも美術品や鑑賞用としても販売がされています。
「だれが買うんじゃい!?」と思うかもしれませんが、売ってるんですよこれ。
読んで字のごとく、鉄で作られた笛ですが、ちゃんと音が出て楽器として機能するよう構造です。
もちろん、隠し武器として笛の見た目に仕上げているだけというものも存在しています。
長さ65センチ前後、重さも1キロとなっておりますので、演奏するとなるとすっごい筋トレになる重量ではあるものの、不可能というサイズではありません。
さて、今回はこの鉄の笛というそのままなネーミングの「鉄笛」を見ていきましょう!
◇◇◇
~種類と形状~
笛と一言で言っても色々あります。
縦笛に横笛に加えて、運動会でお馴染みのホイッスルのようなシンプルなものまで多種多様です。
縦笛タイプもあるにはあったのですが、主流は横笛。
使われていたのは中国とされています。でも、日本にもあったんだよ。
音が出て実際に笛として使える物と、見た目だけで音が出ない物が混在していたようです。
縦笛・横笛、音が出る・音が出ない、あとは細かい笛の長さや種類によって形は様々になっていました。
隠し武器としてかなり有用だったようで、歴史上に姿を見せたのは紀元前200年頃になるようです。
それが、なんと!
つい最近と言える、1900年代まで用いられていたとされています。
街の中で笛を吹くなんて言うのは不思議な光景かもしれませんが、大道芸のような見世物、お祭りなどのイベント、宗教行事などの場面では違和感はありません。
派手な服装をして歩いていても、こうした賑わいの中では違和感なく溶け込めます。
日本でも、虚無僧が尺八を持っているなんて姿だったら、誰も咎めたり怪しんだりはしませんからね。
鉄の笛というのは堂々と見せても、見えないように荷物に忍ばせても武器とは思われません。
「そうだよね、笛くらい持ち歩くよね」
「そうそう、鉄で出来てるから、旅してても壊れたりしないんだ」
「なるほどなぁ」
ってな、具合で、荷物を見られても何の問題もありません。
姿形を笛として、人間の心の裏にも隠せる鉄笛は見事な発想としか言いようがありません。
時として大道芸の小道具として、時に修行僧の道具の1つとして。
鉄笛の姿を見せて音を奏で、時に姿を隠して荷物や服の下に忍ばせる。
さて、威力のほどはいかがでしょうか?
◇◇◇
~鉄笛の攻撃~
冒頭でも書いたように、長さ65センチ前後、重さ1キロです。
学生時代に触れた事があるでしょうが、フルートなどの管楽器2本分くらいの重量です。
ん? ピンと来ない?
うん、要するに『鉄パイプ』ですね。
足場に使うような太いタイプではなくて、細い配管や鉄筋として使われているようなタイプをイメージしてください。
ホームセンターの配管コーナーに行ってもらうとピンとくるでしょう。
端を握れば脇差しと同じような長さで扱えるのが鉄笛です。
鉄パイプと違って笛の穴があるので、少しばかりの引っかかりになってくれますからギュッと握り込めます。
この握りが出来るかどうかも振った時の威力に大きく影響を与えますから、穴があるということが良いポイントです。
不意打ちで後頭部を打ち据えれば、傷みで動けないくらいの状態には持って行けますね。
一撃で倒すことは難しくても、数発連続で鉄笛を叩き込めば十分に無力化させられます。
命を奪うレベルの暴力を鉄笛は繰り出せますね。
複雑な扱いをするというよりも、打ち据えるということに特化していると言えますね。
真っ向勝負には向きませんが、相手の攻撃を鉄笛で弾いたりすることは十分にできます。
相手が武器を持っていたとしたら、短刀レベルでも鉄笛よりは威力がありますから、メイン武器として使うには向きません。
体術と組み合わせれば、右手で鉄笛を持って相手の攻撃を弾きながら左手の拳をねじ込んだりすることもできますが……
鉄笛で相手の短刀を弾き、拳が届く距離まで接近するという一連の流れは結構な高レベルな体術が要求されます。
実際の使用場面を考えると、不意打ちをするときや、相手が素手のタイミングでないと仕掛けることはないですから。
真っ向勝負の時は攻撃された時の咄嗟の防御アイテムとなっていたかなと思います。
もしかしたら、拷問や尋問の時に痛めつけるための道具になっていたかもしれません。
不意打ちに使えばめっちゃ強かっただろうなぁ
ぴょぉお~!!
初めてホイッスル吹くとこんな感じになるよね。