第165回 イヤード・ダガー 逆手持ち
イヤード・ダガー
イヤーとは耳のこと、耳に取り付けるような携帯できる武器……
ではありません。
柄頭に耳を思われる円盤が取り付けられており、柄の根元の左右に人間の耳のようにピンと立っています。
はい、今回はこの柄頭に特徴があるイヤード・ダガーを見ていきましょう!
短剣と言えばヨーロッパの方なので、この短剣も例に違わず中世の騎士達の愛用品の1つです。
ルーツは東方とされていますがイスラム教を信仰する地域との交流から、スペインやイタリアの商人からヨーロッパ各地に広まっていったそうです。
よく売れたんでしょうねぇ~、ってゲスな事を考えてしまいます。
全長30センチ程度、柄の部分は10センチ未満。20センチを少し超えるくらいの長さの刃を持っています。
サイズ的には包丁くらいな大きさです。切っ先も尖っておりますので、バッチリ武器です。
持ち運びが楽なサイズで、重さも200~400グラムくらいですなので、販売も比較的やりさすそうなので、まとめて納品とかできたことでしょう。
刃は両刃で作られていますが、一方の刃は幅広になっています。
左右の刃の性質が違っていますので、目的によって使い分けたりしていたのかもしれませんね。
鍔になる部分は段差が付けられていたり、少し出っ張ったりといった具合なので、柄の部分が耳のように広がっている以外は、直線的なシルエットになります。
それほど大きくなく、持ちやすいフォルム。柄の部分の耳があるので、手さぐりでも見つけて握ることが容易。なかなか使いやすそうに見えます。
通常のナイフのように握りって使う事はもちろんできます。
一般的なナイフと同じように使って何の問題もないでしょう。
このイアード・ダガーの必殺技はサブタイトルにもあるように逆手持ちです。
逆手持ちにすることで、耳のような柄の間に親指をかけられます。
これが、手を固定してくれるので、イヤード・ダガーをしっかりとホールドできるので、手が滑ったりする事がありません。
鍔部分が浅いので、通常の突きをすると手が刃の方へ滑ってしまうかもしれませんからね。
がっちりホールドされたイヤード・ダガーを突き立てるようにして突き込むことで、強力な貫通力を得られます。
切っ先もお手入れを欠かしていなければ、鎧すらも貫いたとされています。
プレートメイルだとさすがに継ぎ目を狙っていたことでしょうが、レザーやチェーンメイルとかなら、根元まで突き込めるほどの威力になったことでしょう。
メインの武器が手に持てないときに、手探りでイヤード・ダガーを握っておく。
相手の攻撃をギリギリでかわして、ナイフを引き抜き、相手の防具をもろともせずに強烈にイヤード・ダガーを突き立てる。
普通のナイフとしても使えるだけでなく、逆転の一撃を繰り出せるというのが、このナイフの見事な点だと言えるでしょう。
ためらわず!
逆手持ちで、突き立てる訳ですから、そのフォームはかなり猟奇的になりますね。
戦場では自分の命を守るためにも、なりふり構ってられません。
実際に貫けるほどの威力を出すためには、ためらいもなく全力を込めるという技術が求められます。