第164回 イ・ワタ・ジンガ 日用~儀礼まで
イ・ワタ・ジンガ
i wata jinga
イ・ワタ・ギンガと呼んだりすることもあるみたいですが、多分発音でギンガにも、ジンガにも聞こえるんじゃなかろうかという所。
アメリカの先住民、オマハ族が用いた、棍棒です。
どうやら周辺の部族でも似たような武器や道具が使われていたようです。
使用された年代は部族の移動や、周辺部族との関係の変化、土地をアメリカ政府に没収される、など様々な影響のためハッキリわからなくなっています。
基本的な構造は、石の頭に木製の柄がついています。
この石の頭と木製の柄を革紐でガッチリと止めたシンプルな形状です。
石の形もいくつかあるようで、両端を尖らせた卵型や平型などのバリエーションがあります。
石のサイズは直径10センチちょっとくらいなので、そこそこに大きいですね。
そこに40~80センチくらいの木製の柄がついています。
長さが違うのは使い手の体格や、主な用途の違い、持ち運び方法によって変化していたからのようです。
基本的に狩猟に使われる事が多かったとのこと、獲った獲物の止め差しに使ったのでしょうか。
もしかしたら、トラップを仕掛ける時にハンマーのようにして使ったりしたのかもしれませんね。
でも、この辺りの事は民俗学をお勉強した方の方が詳しいでしょう。
戦闘に用いられた物は比較的長い柄が取り付けられており、攻撃範囲を広くさせています。
また、長くなった分だけ遠心力を味方に付けられるので、破壊力があがります。
材料が石・木・革とシンプルでありながらも、効率的な構造をしている事が良く分かりますね。
狩猟や戦闘以外にも、儀礼用があり、こちらは色が付いた革紐で装飾をされていたり、柄に紐が結わえられていたりと美しく作られていました。
シンプルすぎる材料と構造のためか、現在では現存している現物が貴重品になってしまってますが、文化が継承されていれば、製造の手順が現代でも明確に残っているかもしれませんね。
シンプル!
使い方といい、製造方法といい、効果的なんですよね。
シンプルであるからこそのメリットも大きいんです。