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第160回 大千鳥十文字槍 日本一!

大千鳥(おおちどり)十文字槍(じゅうもんじやり)

十文字槍

朱槍



 日本一有名な槍とも言える十文字槍、真田信繁(幸村)が愛用していたとされ、朱色の柄を持つのが、この大千鳥十文字槍です。


 前回取り上げた鎌槍の一種として扱われていますが、十文字の方が名前としては有名ですね。


 残念ながら、現代には柄は残っていないのですが、穂先部分はキレイに残っています。


 長野県上田市真田にある真田宝物資料館に穂先だけが所蔵されているので、気になった方はぜひ足を運んでください。


 真田宝物資料館がある地域の名前は現代でも「真田」と呼ばれており、交通案内の看板にも『この先、真田』と記されています。

 さすが、真田ですね!


 名前のパワーに隠れていますが、実は謎が多い槍でして、作成された年代がハッキリしておりません。


 そして、大阪夏の陣で使われたとされていますが、後にどうのような経過をとって、現在の長野県は真田の故郷の地へと運ばれたかも詳しくわかっていません。


 ここはエッセイの武器マニアですので、時代の考察や激動の詳細は割愛させて頂き、武器としての特徴に目を向けていきます。


 前回紹介した鎌槍ではちゃんとした使い方は失われている物もあり、強引な使い方の紹介までなっていましたが、こちらでは基本的な使い方や型としての動きも残されています。


 さて、さっそく日本一の(つわもの)とも呼ばれる真田の槍こと、大千鳥十文字槍をみていきましょう!



◇◇◇



~形状~

 十文字でショ? 

 あっ、いやまぁ、そうなんですけどね、一言で十文字って言っても色々あるんです。


 大千鳥十文字槍は穂先の刀身部分だけで30センチと、比較的大振りな槍です。

 この穂先の根元から左右に日本刀の切っ先のような刃が伸びて、十文字の形をとっています。


 左右の刃の部分を指して「枝」とか「鎌」とか言ったりしますが、大千鳥十文字槍の場合は「大千鳥」と表現されています。


 この左右の刃は日本刀の刃部分が柄の方を向くようになっており、穂先に対して垂直ではなく、穂先よりの方に僅かに角度が付けられる形状をとっている事、これも大千鳥十文字の特徴と言えるでしょう。


 十文字の左右が鳥が翼を広げた時のシルエットに見えるため「大千鳥」という号がついたとされています。


 朱塗りの柄の部分は消失していますが、全長は184センチとされていました。


 なので、柄の長さは約154センチだと推定できますね、石突部分になにか細工がされていたとすれば、多少前後してくる可能性があると思われます。


 穂先の大きさと形状、使い手の真田の鎧も朱に染められていれば、印象的な六文銭の印と共に、一目で「真田が来た!!」と印象付けられます。

 大千鳥十文字槍は「旗」としての機能も持っていたと考える事ができそうです。



◇◇◇



~扱い~

 十文字槍の最大の特徴は左右の刃です。

 ここを活用することで様々な技を繰り出す事ができます。


 きちんと、槍の方としての動きに取り入れられており、通常の槍の使い方に加えて扱い方の幅が非常に広くなっています


 槍の基本は先端を相手に向けること、尖端や柄の部分で相手の武器を払ったりして隙を作り、必殺の突きを叩き込むのが槍の基本となります。


 逆に言えば、必殺の突きを捌かれると一転窮地に追いやられるのも槍の特徴ですが、十文字にはここに複数の技が加算されます。


 相手の武器を払う時にも、尖端や柄を使わず、左右の刃で弾く事ができます。それも触れ合った瞬間にちょいと叩き落としてやれば、相手が武器を引き戻す僅かな間に喉元を突けます。


 時間にして、0.1秒もないごく一瞬の隙を弾きで生みだすのです。


 相手の突きを捌く時にも有効です、突き技を十文字槍を持ち上げるようにして受けます。

 そのまま、槍を回して左右の刃を相手の武器に引っかけて、槍を回せば……


 なんと相手は十文字槍に絡めとられた武器に引っ張られて、手を広げる体勢になっています。

 一気に接近して蹴り飛ばして地面に転がしてやりましょう。


 戦場で地面に転がった相手は抵抗できません、ゆっくり十文字槍を戻して、止めを刺してやりましょう。


 渾身の突き技をかわされても問題ありません。

 鎌槍の特徴のかき切りが使えます、槍を回して左右の刃が相手のに触れる角度に調整しつつ、引き戻せば相手に致命傷を与えます。


 こうした動きを利用し、足を刈り取る武器とも言われる事があるほどです。


 ちなみに石突も使えます。

 相手の武器を大きく払うと、切っ先も相手の武器と一緒に体から離れた位置に向かいますが、その遠心力を活用し十文字槍の前後を入れ替えつつ相手に迫ると、丁度石突に勢いが乗り、相手の腹や顎などへ打ち込む事ができます。


 これらは型としての動きにもなっている物が多数あり、槍術として現代にも伝わっている物が多数あります。


 相手の武器を弾く、武器を絡めとる、引き戻しで刈り取る、これらの動きは通常の槍の動きに加算されて使われるものですが、どれも一瞬の判断で即座に使用できなければなりません。


 特に刈り取る動きについては、引き戻しが遅いと相手の武器がこちらの体に先にめり込む事になるので、相手よりも武器を早く・正確に扱うということが出来ている必要があります。


 高難度の武器とされていることも良く分かりますね。



◇◇◇



~まとめ~

 長槍などでは使い方が振り下ろすなど使い方が限定されているのに比べ、人の身長に近い長さの槍は非常に複雑な使い方をもっています。


 大千鳥十文字槍に至ってはただでさえ複雑な扱い方に加えて、十文字ならではの扱いも加算されるのでさらに複雑化します。


 ですが、その手数の多さは非常に多彩な攻撃の技・守りの技になりますので、使いこなせば戦う場所を選ばないとも言えるほど無類の強さを発揮します。


 そのためには血の滲むような訓練を繰り返し、数多の血を浴びるほどの実践経験を積まなければなりません。


 また、冒頭でも述べたように、朱に統一された真田の鎧具足に朱色の大千鳥十文字槍は旗としても印にもなります。


 この大槍が掲げられた時には味方には強力な援軍の出現を伝えますが、相手としては厄介な相手が目の前に現れたことの証明にほかなりません。


 大千鳥十文字槍は、目の前の敵を打ち払うだけでなく、数千・数万の人間をも押し返す力を発揮していたとも言えるかもしれませんね。

 

日本一!!


 前回出した、鎌槍はびっくりするくらい伸びなかったので、よくよく考えたら……

 十文字のほうがメインの名前と思う人が大多数だったという事に気が付いた自分。


 扱い方も古武道とかの動画でインターネットに沢山あがってますね。

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