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第16回 棒(ぼう) ただの木片侮るなかれ 変幻自在の武器となる。

棒 (ぼう)


 見た目はただの棒、なんの変哲もない木の棒。

 丸く切り出されていて、表面は磨かれてつるつるになっている。


 パイプハンガーの吊るす部分の金属の棒が、全部木製だったらこの武器にそっくりじゃないかな?

 

 長さ180㎝程度が一般的、太さが2.4~3.3㎝くらい。これが一番使われているサイズらしい。


 長い物は400㎝近い物もある。

 短い物は近接に、長い物は距離を取りながら、使い方様々、値段も金属より安い。通販でも買える。


 この棒の特徴の1つに相手を殺さないことがあります。

 1人を多人数で囲って、ボコスカ殴り続けるとか、急所に深く突き刺すような事とか、よほどのやり方でない限り相手を殺める事にはなりません。


 時代劇とかでもただの棒を持って、捕り物をしているシーンもありますね。


 古武道では、棒術ぼうじゅつとか杖術じょうじゅつと言う。流派によっても異なるみたいで、短いのは杖、長いのは棒と呼ぶこともある。


 沖縄では、棒の両端が若干細くなっている棒を使うこともある。型の呼び方は「~~のこん

 中国では六角になった物を使ったり、沖縄のような両端が細くなった物もあったりする、呼び方は棍術になる。拳法の延長の武器術で棍術に発展した。


 棒と棍がこんがらがってきました。

 けれども、やっぱりただの棒がめちゃくちゃ強いんです。


 ちゃんと使える人は空手とか、古武術とかそういった格闘技を習っている人だけ。

 素人が棒を持っても素手より強いけど。

 多分、ガチガチにやっている人なら棒一本で、初心者に刃物持たせた集団も制圧できるでしょう。





 使い方、複雑すぎて書けません。

 書ききれません!


 動きの解説や型の説明、対○○の動きについて、持ち方振り方、多人数の時はどうするか、狭い場所ではどうするか、どこまでもどこまでも追及できます。


 専門の解説書が出ているくらい、しかもすっごい分厚いの。


 剣のように振る、槍のように突く、棍棒のように殴る、しかも棒ですから持ち方の基本はあるにしろ、自由自在。当然、腕だけで使うものではないので、体の捻りや足さばきからの動きも組み合わせます。


 さらに、相手が素手なのか、棒を持っているのか、刃物を持っているのか、対応方法が変わります。

 それだけ、複雑な使い方が出来て、色々な事に対応できます。


 全部の解説? 専門書買ってください。そして、道場とかで習ってください。

 一生修行の大仕事になります。


 動画もネットで公開されています。

 古武術や琉球古武術、棒術、杖術、棍術、この辺のワードで検索すると沢山でてきますね。


 でも、ただの棒が何でめちゃくちゃ強くなるんでしょうか、その秘密は格闘技の体の使い方にあります。


 試しに自分のパンチを録画してみましょう。横と正面の2方向録画ができればいいですね。


 出来るだけスローでパンチを確認してみると、僅かですが上下左右にブレている事が分かります。

 これが力が相手に向かわず逃げている事、パンチが遅くなっている原因です。


 同じように、サランラップの芯でも何でもいいので、棒を持って振り下ろす、突いてみる所を録画しましょう。


 スローで確認すると、これも僅かに左右にブレているはずです。力が逃げていますね、そして遅い。

 早くブレずに突く、振るが出来てこその棒です。パンチもブレていれば道具を持った時にもっとブレます。


 インターネットで公開されている動画もスローペースで見てみると、ブレが少ない事がわかります。

 力が無駄なく棒に伝わっている。

 そして動きが早い。


 ブレが少なく、相手の攻撃がくる事も織り込んだ上でのあの動き。

 達人の動きが美しく見えるのは、ブレが無く、余計な力みもないからです。


 ここまで磨き上げられた技術があるからこそ、ただの棒が強く早くなり、守りも攻めもこなすという、とんでもない武器になります。

 技術をガッツリと体に染み込ませた人が使えば頭蓋も砕いて、刃物すら弾くほどになります。





 動画を色々と探してみた所、真正面から型を撮影した動画がありました。


 持っているのは見た所身長よりは長いなという棒だけ、正面に向かうと不思議な事が起こります。

 棒の長さが分からなくなるんです。もちろん、そう見えるだけなんですけど……


 本当に不思議なんです。

 振りかぶる瞬間は長い事が分かるのですが、振り終わった後が小脇に抱えるような姿勢や突くための構えに移りますが、この瞬間だけ見ると短くなったように見えます。


 おそらく、こちらの顔に対して90度に近い角度と、腕や上半身の死角に入る事が理由だと考えられます。

 相対している相手の武器の長さが分からないというのは恐ろしい事です。


 『ここまで離れていれば一度はかわせる』『ここでよければこちらの武器が届く』この思考が成立しなくなる。


 基本の持ち方はあるにしろ、端を持てばその間合いはさらに広くなるので、剣や斧よりも間合いは測りにくい。

 持ち方と構え方で長さが変わったように見えますし、実際に持ち方変えれば間合いも大きく変わります。


 つまり、達人が使えばただの棒が如意棒となります。

 遠くも近くも得意とする武器なんて、本当にレアです。

 どんな場所でも相手でも対応できて、なおかつ相手を殺すことは少ない。


 ただの棒って、すごい武器なんです。

 ただし、使えれば。


 至近距離で棒を掴まれてしまっても大丈夫、その外し方やそのままでも相手を倒す方法などもあります。

 相手が何人いても大丈夫、1対多数も想定した方法も考えられています。


 倒れた相手の急所を押して、動けなくする技術まであるそうです。

 棒って本当に万能すぎです。

 ただし、使えれば。


 ブレないように振るだけでもめっちゃ大変。

 ブレないように早く振るのはもっと大変。

 それを相手がいる状態で、相手の攻撃をよけて動きを先読みしながら、ブレないように適切に早く振って突く。


 これが繰り返して出来て、ニコニコしていられるのが使えるようになってきた人です。

 使いこなす所までは、まだまだ遠い。





 ちょっとおまけで、持っている資料から棒の名前をひろってみました。


 長さで名前が変わるそうですが、所説ありますし、流派や地方によっても異なるようです。


 中指先から、手首まで『手切棒てきりぼう

 中指先から、肘くらい『肘切棒ひじきりぼう

 地面から腰くらいまで『腰切棒こしきりぼう

 地面から、乳首くらい『乳切棒ちぎりぼう乳切木ちぎりぎ

 地面から耳くらいまで『耳切棒みみきりぼう

 耳切棒より長いもの『六尺棒ろくしゃくぼう

 六尺には長いという意味も込められているようです。


 これ全部に使い方がそれぞれありますし、流派によっても違います。


 全部の解説?

 うん、ギブアップですよ。

 それに武器の解説ならともかく、使い方の詳細になると、古武術や格闘術の解説まですることになる武器です。


 奥が深すぎるだけでなく、広すぎます。

 


※棒で人を叩いてはいけません

 棒で叩く訓練をした上で叩いてはいけません


 多分習っている人はこういう注釈かな

※限られた場所で安全に気をつけて行いましょう

 彼らは特殊な訓練を受けています

形状の説明はすぐできる!

使い方の説明はギブアップ!


 武道に関する資料まで集めたらエライ大変なことになる。


リクエストありがとうございました!


 世界の棒タイプの武器をあげるとクォータースタッフ、突棒、棍、なえし、ニリ・リなど様々あります。今回は本当に『棒』です。

 ちゃんと説明や解説になっているのか不安で仕方ない。それだけ『棒』と武道は奥深い。


 ※なえし 江戸時代の警棒、十手の横から出ている金属の棒部分が無い物。

 ※ニリ・リ 片方がとがっていてもう一方に石の輪をはめたアボリジニの武器

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― 新着の感想 ―
[良い点] 相手を殺さない装備の筆頭が出てきた感じですね。 棒は木なので、素材を選べば誰でも用意できる手軽さと、長さによる優位性、または、軽いから携行に便利など、一点だけ見れば刃の付いた武器より優れ…
[良い点] 「突けば槍、払えば薙刀、打てば太刀、杖はかくにも外れざりけり」 こんなにカッコいい格言がある割に、棒を使う主人公の少なさ。万能っぽいのに地味なイメージなのでしょうか。 十手に至っては、…
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