第158回 大身槍 つよいのどっち?
大身槍
長身槍
大身槍と言ったり長身槍といったりしますが、他にも穂長槍・長身槍などの別の名前もあったりする。
穂先の長さが1尺程度、つまり30センチ程度の物を大身槍と言うらしいんですが、このサイズを「中」としている資料もあったりするらしいです。
うーん、何をもって大身というんでしょうか悩む所です。
中には穂先が60センチにも達するとてつもない巨大なものも存在しています。
もう、刀の刃がそのまんまくっついているような大きさですよね。
ここまでくると間違いなく大身ですね。
いう間でもなく重量感もたっぷりというとんでもない槍です。
今回はこんなに巨大な豪槍とも言える大身槍を見ていきましょう!
◇◇◇
~どんな槍?~
大きさには幅があり、特に巨大な物は3メートルを超え、重量は6キログラムにもなるほど。
小さい物でも2メートルを超え、軽くても3キロは余裕で超えてきます。
基本的に大身槍は穂先の部分が1尺を越える物の総称となるので、全長ではなく穂先の大きさが『大身槍』と呼ばれる条件になりますね。
やっぱり、槍というだけあって、大きくて長い物ですね。
さて、この重さですが……
長さも相まって、滅茶苦茶重たく感じます。
イメージしにくいかもしれませんが『ものすっごい重い!』んですよ。
筆者ピーターの家にある、ホームセンターから担いで帰ってきた、ステンレス製の物干し竿3メートルと30センチです。
特に長い大身槍と大体同じと言えるでしょう。
物干しはステンレスの筒なので、対して重さはありません。
実際の大身槍も柄の部分は木製ですので、重量は比較軽めなので、物干し竿と大して変わらないでしょう。
この先端に1キログラム程度の両刃の穂先が付いています。
手元に1キロあるのと、3メートル先に1キロがくっついているのでは、重量の感じ方が天と地ほどに違いがあります。
試しに物干し竿の先っぽに500ミリリットルのペットボトル2本を括りつけて持ち上げてみましょう。
びっくりするくらい重たく感じるはずです。
500ミリリットルのペットボトル2本程度なら、片手で軽々持てますよね?
2リットルになってもひょいと持ち上げられるはずなのに……
3メートルの先っぽに500ミリリットル2本程度なのに。人によっては持ち上げられなかったり、持ったとしても手がプルップルになるほどの重量に変わります。
人間の身長をはるかに超える長さと、腕がプルップルになるほどの重量を持つのが大身槍です。
ここまではよろしいですね?
◇◇◇
~大身槍の威力~
さて、こんな重量感たっぷりの槍ですので、誰でも使えるわけではありません。
雑兵が寄ってたかって手に持って集団戦法に使うような槍じゃあないんです。
長さと重量を活かして振り下ろせば、2階の高さから鉄の塊を投げ落とした事と同じ威力を生み出します。
人間の頭蓋骨程度なら、海水浴場でのスイカ割りのごとく爆散させることでしょう。
横なぎに振ったとしても、交通事故さながらにぶつかった相手は吹き飛ばされて、地面を転がっていくことでしょう。
30センチを超える大振りの穂先ですから、突き刺されたなら、貴方の体は串に刺さった3つ目のお団子と同じ姿になっていることでしょう。
トンデモナイ威力ということが分かりますね。
言うまでもなく、長さと重量を最大限に活用して振り回して使う槍のため、集団戦法には活用できません。
一振りで雑兵数人を吹き飛ばすなど、個人の力を知らしめるような使い方をするための槍です。
ここがポイントになります。
ただでさえ、重い槍なのに、人間を吹き飛ばしたり、叩き潰したりするように使う訳です。
素振りする訳ではなく、人間にぶつけて使うので、相手の重さがそのまま反動として使い手を襲ってきます。
人間の重さって、結構すごいですよね?
ただでさえ重い槍なのに、軽く見ても60キログラムをオーバーする人間を叩き潰したり、吹き飛ばす訳です。
ぶっちゃけた話、こんな事はそうそうできません。
十分なスペースを用意して、もう使わなくなった古い物干し竿で、砂袋を積み上げた的を横なぎに叩いたとしましょう。
イメージでは砂袋の山が吹き飛び、物干し竿がブオンと音を立てつつ振り抜かれているはずですが……
それは、空想です。
現実では、バフンという曇った音を立てて砂袋で物干し竿が止まってしまいます。
そして、それと同時にあなたの腰や肩辺りからグキリという鈍く鋭い音が鳴り、神経を激痛という名の刺激が駆け巡ることでしょう。
激痛と共に体が地面へと崩れ落ちていく。
これが、現実です。
◇◇◇
さて、まとめと行きましょう。
振り下ろそうが、振り抜こうが、とてつもない威力を発揮できる大身槍です。
この威力を出すためには、ムキムキマチョマンな強靭な肉体が欠かせません。
そして、自由自在に槍を振り回せるようになるまでの徹底した鍛錬も求められます。
重さに体が泳がず、振り抜いた所でピタリと止める。
そして、敵兵にぶち当たった反動を物ともせず振り抜ける。
ここまで大身槍を使いこなした豪の者は、数える程しかいなかったに違いありません。
ん?
ここまで強い人物だったら……
大身槍を使わなくても十分に強いんじゃないですかね?
多分、その辺の棒を握っただけでも、いやもう素手でも十分強い人物だったことでしょう。
タイトルに返りますが、大身槍が強いのか、使う人物が強かったのか。
貴方はどっちだと思います?
パワー!
物干し竿を振り回すだけでもトンデモナイ筋力が必要になります。
その先に重りが付いていると考えると、どれだけのパワーが必要になるのか想像もつきません。
実際にはこれを持ち歩いたり、一日で何回も振り回す事になるはずなので、スタミナも桁違いに求められることは言うまでもありません。
すげーな、おい
ブックマークに評価、ありがとうございます!!