第156回 スタッフ・スリング もっと遠くへ
スタッフ・スリング
ロック・スリング
投石器の発展型です。
投石器は紐を活用したり、弓の弦部分に石受けをつけて撃ち出したりと色々なタイプがあります。
これを改造してより遠くへ石を投げる事ができるようにしたものが今回のスタッフ・スリングです。
多少型や材質の違いがありますが、全世界で使われている歴史がありますね。
大量に作られたり、多数使われたりという記録があんまり残っていないのもまたスタッフ・スリングです。
そもそも投石は、手で直接投げるだけでもそこそこ効果があります。
投石のためのお手軽な道具でも十分な効果がありますね。
手ぬぐいやフェイスタオルも投石器としてはバッチリ使えますよ。
真ん中に石を乗っけて、両端をもってブンブン振り回して投げつければいいだけですからね。
長距離を投げるとなってくると、矢とか投げ槍とかを使うようになっていきます。
重い物を投げるとなると、シーソーのような兵器となる投石【機】が登場してくるので、どうしてもスタッフ・スリングって選択肢としては半端な所になりがちになってしまいます。
また、材質も木や竹、紐などの植物性が多い上に貴重品ではないので、とっておいたりすることもないので実物も残りにくいんです。
そりゃあ、身近にある物で作れちゃいますからね。
使わなくなって邪魔になったら捨てちゃいます。
でも、逆に言うと簡単なアイテムで作れる上に、矢とか槍みたいに投げる物に加工がいらないというのもスタッフ・スリングです。
今回はこの強力な投石アイテム、スタッフ・スリングを見ていきましょう!
◇◇◇
~届け! この石!~
まぁ、一番定番な形は棒の先っぽに、袋っぽく布を取り付けておく形が定番ですね。
もちろん、網だったりカゴだったりしてもオッケーです。
棒の先っぽに石を乗っけてある状態になっていれば何でも構いません。
やろうと思えば、棒の先っぽにくぼみでもつけて石置き場にすることでも成立します。
先っぽに石を乗せた棒、この状態がスタッフ・スリングです。
これを両手で持って、同時に勢いよく振りかぶり、踏み込みと当時に勢いよく棒を振り抜いて、石を飛ばします。
棒の先の石置きの形状や取り付け方によっては、打ち上げる所で棒を止めたほうがよかったりしますね。
片手で持つと「ずっしり」という感覚が伝わってくる石を乗せておくといいでしょう。
これほど重いのに、慣れれば弓に匹敵するくらいの飛距離を得る事ができます。
キャッチボールを投げるような、直線的な軌道ではなく、斜め上に打ち出すようにすることで、飛距離と落下のエネルギーを石に与える事ができるので、威力が向上します。
長距離を飛ばすことにエネルギーを使ってしまうので、攻撃力そのものは石の落下のエネルギーがメインですね。
この落下エネルギーというのはバカにできません。
2階のベランダから、花瓶程度の重さの物を落としたとして、これが人体に直撃すれば救急車を呼ばなきゃいけないほどの大怪我になります。
これが500グラムくらいある石だったとしたら、頭蓋骨も割れますね。
投石の威力って侮れませんからね。
世の中の戦争の陣形では、兜などの頭を防御するものだけではなく、盾を天に向けて構え、その上に槍衾の屋根までつけてますからね。
ここまでやらないと、空から降り注ぐ石だの矢だのから身を守る事は出来ません。
城壁の上から、打ち出すならかなりの距離まで飛んできますから、先制攻撃の方法としてもバッチリですね。
ちなみに結構な高さのある放物線を描いて飛んできますから、相手の城壁の内側へも攻撃ができるという特徴もあります。
棒を振り抜いて投げるわけですから、近くに人がいると使いにくい事が欠点です。
矢と違って重さがあり、かさばる石を投げるので、移動しながらの使用となると使いにくさが先にたってしまいますが、
でもお値段の安さだったり、飛んでいく軌道だったり、メリットも多くあるので、意外と前線で活用されてたんですね。
意外と接近戦もこなせたんじゃないかなぁとも思うピーターです。
石を乗っけたスタッフ・スリングを思いっきり振ることで至近距離なら直線的な軌道で投石できます。
この時の速度は時速140キロに迫るので、バッター直撃のデッドボールが放てるのです。
相手に直撃すれば、それでオッケー。
怯えて伏せたり、体制を崩したら追撃のチャンス!
貴方の手には石を投げるのに使ったスタッフ・スリングの棒がありますので、それを使って滅多打ちにしてしまいましょう!
どうでしょう、結構強そうに思えてきますでしょ?
◇◇◇
~もっと遠くへ~
投げる難易度はさらに上がりますが、棒の先に紐をつけて、その先に石置きを取り付けた物も存在しています。
ロック・スリングとか呼ばれることもあったりするようです。
棒のスイングの力が紐に伝わり、強力な遠心力が紐の先の石に働き、素手の時とは比較にならないほどの勢いで石を空へと羽ばたかせる事ができるようになります。
これがね、結構な飛距離を出すんですよ。
なんと射程は200メートルをも上回るほど。
使う石の大きさまで選定して、届かせるだけなら、さらに遠くまで投げる事ができそうですね。
これを訓練すれば、飛距離と言い命中精度といい、かなりの効果を発揮する事ができます。
相手が鎧をガッチガチに着込んでいる機動力を削いでいる状態であれば、次々と石を投げる事で、文字通り岩の雨の中を進んでもらうようになります。
土砂降りの雨に打たれるだけでも体力はごっそりもってかれますが、それが一発でも直撃すれば現世とさよならできる石の雨が降るんですよ。
体力も精神力もごっそり奪えますし、いくら防御していても何人かはこれで片付けられますね。
恐ろしいことです。
紐の先の石受け部分にセットしてから、投擲を行うため、連発する事には向きません。
棒の先の石受けに置くのも若干面倒になるんですが、紐というギミックが入るだけで、投擲のための構える場所まで考えなければならないことが連発できない理由ですね。
こうしたスタッフ・スリングなどを活用した長距離の投石を最初に行います。
敵が近づいて来たら連発できる弓と矢の攻撃や、重い岩を投げる投石機の攻撃。さらに近づいて来たら、投げ槍も加えていきましょう。
最後にヘロヘロになった敵を、騎兵の突撃や槍兵の槍衾で蹂躙してやるのが、戦の基本的な流れとも言えます。
こうして考えると、結構な頻度で石って飛び交ってたんですねぇ。
飛んでけ!
抗議活動で小石を投げるだけでも流血レベルになるほどの危険があります。
拳大の石を勢いよく投げられるというのは、十分すぎるほどの威力に行く事は容易に想像できますね。
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