第15回 鉈 武器じゃなくて道具なんだけど……
鉈
山や森、林の中で使う事を想定している刃物。
肉厚な刃も持ち、少し内側に曲線を描く。持ち手の根元、剣で言う柄頭の部分が少し太く作られており、振り下ろした時に刃の部分に力がかかるようになっている。
刃の先端は平らになっていることがほとんど、鞘は箱のようになっており、柄と刃の根元部分を止めて納める。
一回持ってみると、ちょっとばかり気分が高揚しつつ、神経がピリッと引き締まるのを感じますね。
枝を払う、木を削る、雑草を刈り払う、など色々な事ができるようになっています。
山で獲れたシカやイノシシの解体や皮剥ぎに使われることもあるので、大変便利です。
刃の付け方で、右手用・左手用・どちらでも、の3パターンの作りがある。用途によっても異なります。
また、反りを持たない物、先端部分に重さがかかるようになっている物など、少し形が違うものもあります。
私も全長で30センチくらいの鉈を持っています。刃渡りは20センチ未満ですよ。
これが意外と使いやすい、柔らかい雑草は無理でも太くて固くなったような所は効果てきめん、ブンブンと振っているだけで、パキパキと切れていきます。
薪割りとかに使う場合は、振った後の残った勢いで刃の方向が向いている内側に行くので、下手に振ると自滅します。
先が鎌のように曲がって飛び出たような鉈鎌もあり、これも使いやすい。
農作業に持っていくおじちゃん・おばちゃんも沢山ます。
木を削って毛羽立たせた着火用の薪フェザースティック、こんなのを山中で作るときには必須に近い働きをしてくれます。
よほどの大きいタイプでもなければ腰に差していて邪魔にならない、持ち運びの良さが魅力です。
ホームセンターでも売っているし、値段も意外と手ごろ。2000円もあれば使い勝手がそこそこな物が買えます。
いや、道具ですやん、便利ですやん。
これが武器として認識されるようになったのは、パニック系の作品で武器として使われている描写が増えた事などが挙げられます。
「嘘だ!!」の狂気に満ちたヒロインが凶器として鉈を使ってたのが一番の理由じゃないかなぁ。
持ち運びもいいから、ベルトに4本くらいまでなら吊るして置けそう。最初から2本手にもっていれば、2刀流持ちでも4本までは投擲できる。
重量もあるし刃の部分の鋭い、投げつけて壁にぶっ刺さるのも頷ける。
固い物を断ち切る事もできるから、全力で当たれば腕くらい一発で落ちるでしょうから、受け止められない刃物ですね。
ヤル気はすごいんですが、道具なんですってば、本来武器じゃないんですよ。
◇
鉈の中でもより物騒なイメージになって、使い方も広がるのが剣鉈です。
鉈が先端が平らで四角に近い刃を持っていますが、剣鉈はこれに加えて先端から剣の先端のような刃が伸びています。
これはサバイバルナイフと鉈の特性を合わせたような道具ですが、シルエットは山賊が持っているような肉厚な剣であり、蛮刀などとも呼ばれます。
柄の部分を伸ばして両手で持つ事ができるように改良されている、そんなタイプもあるようです。
刃の部分で切る、重さを活かした叩き切り、先端での刺突で獲物の止め、道具を作る時の穴あけ、本当に様々に使えます。山中の万能工具ですね。
両手で持てるので剣として使う事も十分に可能、刃の厚みもあるから折れる心配もありません。
山賊とか、これを使ってたんじゃないかな。
また、ジャングルで生活する人達が日常よく使うマチェットやマチェテと呼ばれる刃物があります。これも蛮刀と呼ぶ事があります。
鉈とは違い、外側に反っている肉厚の刃物ですが、長い物では1メートルほどもある長い刃物です。
これも鉈と同じように枝を切ったり、草を払ったりという日常生活に密着した刃物になります。
身長ほどの高さまで育った、若い雑木林、このマチェットを慣れた人が使えば1時間ほどで平地になります。
ついでにその中で見つけた蛇の頭を切っておいて夕食の調達。
いやいや、たくまし過ぎますですよ。
雑木林や獲物のために使っているからいいものの、人間に向けられたら真っ二つになりそうですが……
道具なんですってば。
道具なんだってば!
リクエスト感謝
威力が高くて、簡単に手に入りますからね。刑事ドラマみたいなのでも凶器になったりする。
現代の日常生活ではゴルフクラブやバールと並んで危険なアイテムかもしれません。
ご指摘頂き、ありがとうございます
金属バットがあったぁ!! ネタであげるならこれも言わなければいけなかったですね。
日常生活でも使い方によっては危険なアイテムは多数あります、スコップ、つるはし、ハンマーなどなど、使い方次第では武器になり、殺傷能力がありますから、事故を防止するためにも正しい使い方をしましょう。
鉈の薪割り、初心者編
薪を置いて、上に鉈を押し付けて、ちょこっとだけ刃を入れる。それで持ち上げると刃に薪がくっついてくるので、その状態で薪を下へ叩きつけるように力をかけると簡単に割れる。必要以上の力を込めないので、自滅による怪我の防止にもなります。真ん中から先端の間くらいの刃を使うのがポイント。
らしいです。
※あまりに太い物は割れません