表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

169/200

第149回 ブランド・エストック 堂々と隠してます

ブランド・エストック

ブランドエストック

ブランドストッコ



 西ヨーロッパにて14~17世紀頃に製造された隠し武器です。


 さぁ、みなさん大好きな、暗器・忍び武器・隠し武器がとうじょうしました。


 ブランド・エストックの「ブランド」は振り回すという意味ですが、正確に意味をとると『得意そうに、見せつけるように・脅すように振り回す』という訳になります。


 日本語で筆者ピーターなりに意訳すると『これみよがし・エストック』ですね。


 エストックというと、細長くて鋭い強烈な刺突剣です。

 今回紹介するブランド・エストックは、見た目が全く違ってきます。そもそも、見た目は刺突剣ですらありません。


 見た目は何と斧、名前と形が全然違う、いやそれどころか別物と言える斧にエストックの名前が当てられているのです。


 さぁ! 謎が深まってまいりましたよ!


 今回はエストックという名前がついている、見た目が斧の隠し武器をとりあげます。

 それでは、ブランド・エストックの解説へ行ってみましょう!



◇◇◇



~形状、ブランド・エストック~


 量産されていた武器ではありませんので、長さや重さには結構なばらつきがあります。

 まず、基本の形状は冒頭でも述べたように斧です。



 長さ100~120センチ程度の装飾がほどこされた柄を持ち、斧頭部分は手のひらサイズ程度と言える、幅10センチ程度の刃が取り付けられています。


 斧頭の後ろ部分には突起が取り付けられている物もあります。

 柄の部分だけでなく、斧頭部分にも装飾をして豪勢にしてみたりなどなど、言うまでもないですが、お貴族様や王族様の手元にある逸品です。 



 これは、堂々と飾って置いたり、近衛兵の装備品として持たせたり、堂々と見せつけるようにして置いておきます。


 これだけだと、斧で武装させているだけですので、隠し武器でもなんでもないですよね。


 さて、ブランド・エストックさん、そろそろ真の姿を見せてもらいましょうか。


 斧頭側の先端にはコインの投入口のような穴が開いております。

 斧を振り下ろすようにして、勢いよく振ってやりましょう。


 先端の穴から刃がシャキンと飛び出しまして、内側に仕込まれている留め金が、パチンと引っかかって刃が固定されます。



 これが真の姿、柄100~120センチ、刃渡り50~80センチ。

 全長150~200センチで、柄と刃の境目には斧パーツが取り付けられている大型の刺突剣。


 これがブランド・エストックです。



◇◇◇



~戦い、ブランド・エストック~

 使わないに越した事がないのがブランド・エストックです。

 言うまでもありませんが、防衛用の武器ですから、斧の状態で見せつけているというのが、すでに「威圧」や「警告」という名前の抑止効果です。


 現在でも警備にあたっている人達は使っているのを見た事がありませんが、警棒などの装備を身につけていますよね。


 海外の国営施設などでは小銃を装備した兵士や軍人が警備にあたっている事も珍しくありません。


 こうした人が近くにいて、なおかつ武器をもって警戒態勢でいる訳です。

 少しばかりやんちゃが過ぎる人でもここで暴れようとは思いませんね。


 ですが、それでも暴れようとか攻撃をしかけてやろうという輩もいるわけです。


 そんな時はブランド・エストックを納刀状態で構えて、明らかに警戒をしていると見せつける訳です。


 相手が抵抗してきたその瞬間、一振りして刃を伸ばして、切っ先を相手に向けて構えます。


 ブランド・エストックを置いてある場所が場所だけに、ボディチェックや装備品の持ち込み制限もされていたことでしょう。


 刃を伸ばした状態では相手がもっている武器よりもブランド・エストックの方が間合いが広く、制しやすい状況を容易に作り出す事ができます。


 刃そのものは留め具で止まっているので、武器としての強度は非常に低いと言わざるを得ません。

 結構大きな欠点ですが、そんな事を知っているのは防衛側だけです。


 相手側にしてみれば、儀礼用にしか見えなかった小さい斧が、急に両手持ちも可能な大型刺突剣になったので、びっくり仰天の大混乱になります。


 防衛側も普段はただの小斧にしているブランド・エストックが、隠された刃を抜いているのを見ればですね。


『あっ!! 緊急事態だ!』


 と、すぐにわかりますので、応援の戦力もあっという間に駆け付けることができるという訳です。


 もちろん、とっさの防衛力も高いです。

 接近戦では、威力に優れる小型斧、中距離でも刺突剣としての効果だけでなく、長い柄の持ち方によっては槍のようにも扱えます。


 例え、強度に劣っていても、相手の攻撃の初撃を防げば応援が駆けつけますので、強度の低さは問題になりません。


 王を守る近衛兵が持っていれば、そこまで重武装で来るような人はいませんから、プレートアーマーだの、全身チェインメイルだの、ブランド・エストックで貫通できないような相手は想定する必要がありません。

 そんな、暴漢や暗殺者っていませんからね。


 あんまりにも堂々としているブランド・エストックの隠された刃、確かに『これみよがし』な隠し武器と言えるでしょう。


 あ、そもそもが斧だから隠してないわ。

 隠してない隠し武器という、武器に武器を隠しているのがブランド・エストックです。

緊急対応!


 緊急事態に一気に刃を開放しますが、それほどの緊急事態はそうそうないので「ブランド・エストックが刃を出している所を見た事が無い」というのが大半だったはずですね。


 だって、一般人が街中の警察官が銃を抜いて構えている所を見た事ないでしょ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 面白い武器があるもんですね。 武器といえば、強度や殺傷能力に重点を置きがちですが、これは見せて牽制するための武器、ということですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ