第146回 フランキスカ ホップステップ
フランキスカ
フランシスカ
ゲームで見た事、聞いた事が1度か2度はあると思う、有名な斧です。
ローマ帝国の末の時代。民族大移動で大きく移動をしてきたフランク人が4~7世紀頃、一説には8世紀頃まで使用されていた斧です。
「斧投げと言えばコレ!」
なんてイメージも強いですよね。
最近は斧を投げる事を楽しめる、斧投げ場や斧投げカフェなんかがオープンしているという話も耳にしました。
いやー、物騒な世の中になりましたよね。
なんて言いながらも、体験したくてたまりません。
とは言っても、フランキスカは斧投げ体験に使うには危険すぎる性質をもっています。
長さは50センチ程度、鉄製斧頭は20センチ程度、重さも1.2~1.4キログラムという片手で持ちやすくて振りやすい手ごろなサイズの手斧です。
飛距離は10~20メートルくらいと以外と遠くまで飛びます。
この後、解説をしていきますが、それを読めば『危なすぎて体験には使えないなぁ』って納得してもらえることでしょう。
それでは斧投げっ…… じゃなくって
解説! いってみましょう!
◇◇◇
~フランキスカとは~
フランク人の持っていた法典によってフランキスカは『成人した者のみが持つ事を許される』『売買を禁止』とされていたそうで、宗教的・文化的な意味も持っていたと考えられる武器です。
時代によって作り方が異なっており、初期の物は斧頭に柄をはめ込むようになっているソケット式、後期になると柄を斧頭に貫通させる定番の斧の形式になっています。
特に後期の物になるにつれて、当たった場所に深く刺さったり、柄が折れたり外れたりして投げ返す事を予防できる作りになっています。
投げ斧として有名ですが、近接でも十分に威力があります。小型と言っても1.2キロの鉄の斧頭を持ってますから、頭を軽くどつかれただけでも致命傷です。
狭い場所や片手に盾を持っていても、乱戦の中でも使うことができたと考えられます。
この時点で十分危ないですね。
斧頭は刃先が上向きに作られていて、柄から刃までの間は波打ったり、弧を描いたりくような形状です。
この形状によってフランキスカは深く突き刺さるだけでなく、軌道を不規則にしたり、刺さらなかった場合は飛び跳ねるという性質を持つようになっています。
たとえ当たらなかった場合でも、飛び跳ねる事で相手を威嚇したり、咄嗟に回避行動をとらせて戦線を押し下げる効果が期待できます。
フランキスカは斧を振り下ろすような軌道で回転しながら飛んでいきますから、斧頭が振り下ろされている間しか突き刺さる事はありません。
回転の速度にもよりますが、投げてから3~4メートルで1回転します。
つまり、致命傷を与えるのは、3~4メートルの倍数の距離になりますから、効果的に使うには距離感が大切です。
つまり、この倍数の距離に相手がいなければ、フランキスカがホップステップと飛び回るようになりますので、すごい近くの的を狙って外すと自分に向かって跳ね返ってくる可能性がありますね。
ね、的当てに使うにしては危ないでしょ。
ボウリングのピンくらい離れていれば大丈夫ですが、5メートルくらいの的を狙おうものなら、跳ね返ってくる事は明確です。
あぶねぇあぶねぇ。
◇◇◇
~戦法フランキスカ~
フランク人は第51回にも取り上げましたピルムに近い形状をしているアンゴンという投げ槍ももっていました。
まずこのアンゴンやフランキスカの投擲による先制攻撃です。
フランキスカはアンゴンと共に盾に深々と突き刺さり、破壊することで敵の防御を崩していきます。
防御力が下がった敵の足元ではフランキスカが飛び跳ねます。
直撃すれば致命傷、飛び跳ねたフランキスカでも当たれば怪我をします。戦場の最前線で怪我をする事はそのまま命を落とす事に直結しますから、思わず敵は必要以上に大きく動いて避けるのが人間の本能というものです。
避けた敵は時には転び、時には仲間と接触しながら後ろに下がったことでしょう。
さぁ、フランキスカが敵の隊列を乱してくれました。目の前にいるのは盾を降ろして、転んでいる敵たちです。
投げたフランキスカは柄が折れたり、地面や敵兵の盾や鎧、時には体に深々と刺さっているので投げ返されることもありません。
この好機を逃さず、一気に突撃してボッコボコにしてやりましょう!
戦いに勝利したあとは、フランキスカの斧頭を忘れずに回収です。
きちんと修理して、柄を付け直せばまた使えますからね、投擲武器は紛失と隣り合わせが宿命です。少しでも費用を抑えたり、次の戦いに備えるためにも出来る限り拾っておきます。
戦後処理まできちんとやってこその戦いですね。
フランキスカの投擲の射程は10~20メートルなので、弓と矢に比べるとかなり見劣りもするように感じます。
弓矢が採用されていなかった理由については、フランク人は弓矢の製造や使用に関しての技術がまだ発達していなかったことなども理由になっていたようです。
弓矢が無かったとしても、戦場では飛び道具が非常に有効です。
それを知っていたフランク人は斧や槍を投げる事を考え、そのための製造方法や使い方の技術を磨いていったことでしょう。
その中で産まれてきたフランキスカは数百年にもわたって、使われる優秀な武器となっていきました。
飛び跳ねろ!
フランキスカとフランシスカという呼び方で違う武器を指している。という話もあるらしい。
でも国によって発音の仕方が微妙に違うので、お国柄の違いだとピーターは考えてます。
綴り「francisca」ですから、逆にフランキスカの方が読みにくいように思ってしまうくらい。
読んで頂きありがとうございます。
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