第143回 おふだ なんでもできます(幻想武器)
おふだ
御札
神札
ピッと1枚の札を出して『急々如律令』と叫んで念をこめると……
あら不思議、身を守る壁が出てきたり、火や水が吹きあがったり、神の化身や鬼が現れる。
壁や柱に張り付ければ幽霊、悪鬼が入れなくなり災いも遠ざける。
直接貼り付けてやれば、数千年に渡って動けなくさせる封印なんてことも出来たりします。
陰陽師などをテーマにした作品やキャラクターデザインなどなど、達筆な文字が描かれたお札を何枚も持っていたりする姿が印象的ですね。
幼い頃、折り紙などを切ってクレヨンや色鉛筆でグリグリっと文字を書いて、ポーズを取ってみた人も多いのではないでしょうか?
八百万の神々の力をお借りし、数々の災いを遠ざけるお札は今も昔も大切な物とされています。
由来は道教より、日本では神社の名前やお祭りされている神様の名を見事な筆文字で書いている事が一般的です。
神棚には自分の地域の神社のお札をあげておくなどされていますね、ピーターの家には何枚もあげてありますので、小さい頃から慣れ親しんだアイテムとも言えます。
あ、ちなみに千社札は参拝記念という側面が強いため、神社の壁や鳥居などに貼って帰りたい時はちゃんと許可を得ましょう。勝手に貼ると器物損壊です。
本来のお札は紙1枚の物から、和紙によって神の力の一端を分けた札や木片を包んだ物など色々あります。貼りつけられるようには作られてないですからね。
このように慣れ親しんだアイテムのお札ですが、これは冒頭でも書いたように様々な効果を発揮させることができます。
その全てを網羅する事は非常に難しいので、お札が起こす奇跡の一端に今日は触れて行きましょう。
◇◇◇
~魔法っぽい感じ~
書いた文字に念を込めると、その文字に沿った効果が発揮されるタイプ。
そこには物理法則なんて関係ありません。炎でも水でもなんでもござれ。
まさに魔法です。
「川よ! 出でよ!」と念じて札をなげれば、大河と思える程の水が現れる。
「火よ! 出でよ!」と念じて札をなげれば、あたりは業火に包まれる。
「雷よ! 出でよ!」と念じて札をなげれば、そこには落雷が落ちる。
ほかにも爆発させたり、衝撃波を生み出したり、式神とかいう使役された鬼や悪魔が出てきたりと「術者も死ぬんじゃね?」ってほどの奇跡が起こってますね。
ゲームの中では炎や氷、雷を放つときに巻物を使ったりしますが、それと同じようにお札からも魔法が放てるようです。
ちなみに『急々如律令』とは元々、中国の手紙にあたる「書信」の中でも公的な書面の最後に記されていたもので『急いで律令【法律などの規定の事】のようにやりなさい』という意味をもっています。
この命令は法律を実行するときのような心構えで、すぐにとりかかりなさいということでしょう。
お札にすると「早く効果を発揮させて下さい」という意味になりそうです。
神様の力をお借りするわけですから……
『急々如律令』という掛け声もわかりますね。
(すみません神様! 急いでお力をお借りしたいんです! お願いします! お早く!!)
って感じですかね。
確かに、こうした魔法的な力を使ったり、壁や結界を生み出したりする時って『今! ここで!』っていう瞬間がほとんどですから、急いでほしいという意思が伝わってきます。
それに、世の理から外れた存在に対して、神の力をもって相対すると捉えれば『神様! 緊急事案です!』という報告も必要ですね。
あなたもお家で悪霊か何かに襲われたら、お札を構えて結界を張って足止めした所で、もう一枚のお札で業火で焼き尽くしてやりましょう。
大丈夫、神の力で家は燃えませんから大丈夫大丈夫!!
◇◇◇
~能力っぽい感じ~
火や雷ばかりではなく、お札の効果の範囲はまだまだ広い。
鬼や悪魔を使役するばかりか、お札その物を動物や鳥などを模した姿に変えて、自由自在に操ります。
自由自在に飛び回るだけなら、手品と同じですが、なんと感覚をお札の使い手と共有しています。
燕のように高速で飛び、フクロウの様に闇に潜ませておけば、味方の見守りから敵の秘密を探る諜報活動まで行うことができます。
感覚共有ですから、映像も見られるし、音声もバッチリ拾えます。
ネズミなどの小動物に姿を変えさせれば侵入だけでなく、穴をあけたり、火薬を持ち込ませたり工作活動までばっちりこなせます。
動物だけではなく、リアルな美女に変身させれば敵の武将にハニートラップからの暗殺まで実行できますね。
ここまで出来れば、国をひっくり返すなんて簡単な話です。
恐ろしい……
他にもあります。
貼っておいた所を敵が通ったら、お札の使い手がピンと来るようなセンサー。
目を閉じて念ずれば、お札を貼った場所の風景が見える、防犯カメラ。
自分に貼れば姿を変えたり、見えなくなるなどの光学迷彩。
などなど、いくらでも能力は出てきます。
しかし、その中でも何よりロマンを感じるのは、倒せない程の強大な存在を『封印』する所ではないでしょうか。
倒しても倒しても復活してくるような、倒せない存在を相手にして、己の命を削るような壮大な戦いの末に封印と書かれた札を叩きつけ。相手を石や洞窟、さらには札その物に封印して動けなくさせます。
以降数十年、数百年に渡り、大量のお札がベタベタと貼られた古臭い祠やお堂の中で相手は動けないまま過ごす事になる。これもまた恐ろしい、封印されて1000年とかイメージするだけで気が遠くなります。
それで、こんな封印を開けちゃったりするのが、物語のスタートになったりしますからね。
封印という能力も、封印された存在がいるというのも、お札が重要な要素を担っています。
多数の能力ばかりか、物語の起点や背景としてもお札ってすっごい存在感ありますね。
急々如律令!
忍者がお札を使ったりしてるシーンもあったりなかったり。
巻物としての側面もお札に転化されてたりするような。
なんにせよ、困ったらお札つかっときゃ、何とかなるってもんですわ。