第14回 ショートソード 実は意外と長いんです。
馬上のロングソード、歩兵のショートソード
ショートソード、ショート・ソード (今回はショートソードと呼びます)
ファンタジーの中でも有名というか、ド定番な装備の1つ。もはやRPGの王道とも言える装備であるロングソードより、1~2ランク落ちる装備品といった位置づけがされていますね。
ロングソードは西ヨーロッパで11世紀~16世紀と長い期間にわたって使われていた剣であり、初期の物は幅広の刀身を持ち年代が新しくなるにつれて細く鋭い物になっていきました。
これは馬上で使うためにより使いやすくしていくための工夫があったため、時代によって変化していきました。
ロングソードが馬上で使う剣であったため、騎兵が持つ長めの刀として呼ばれていた。これに対して、歩兵が用いた片手剣のことをショートソードと呼んでいました。
なので、ロングソードの対義語のため、長さに関しての定義は関係なく、歩兵が使う剣であれば長めだろうが、短かろうがショートソードと呼ばれていたんです。
ロングソードが80㎝~100㎝、重量が1.5㎏~2.5㎏程度で作られている事が多かったようです。
ショートソードは70㎝~80㎝の物が多く重量は0.8㎏~1.8㎏程度。
こうしてみると、確かに少し短めにはなっているものの、明らかに短いというサイズではない。Sサイズ・Mサイズ程度の違いがあるくらい。
ショートソードは14世紀~16世紀にかけて多く使われており、その刀身の短さ故に取り回しの良さと、乱戦の時の使用に優れていました。
陣形がしっかり組まれていれば槍や弓などの本領が発揮されますが、敵味方が入り混じると、槍1人では簡単に詰め寄られ、弓は味方に当たる危険がある上、放った直後は丸腰です。
ショートソードは攻撃した後にすぐに引き戻せる、短いから混乱の中でもどこかに引っかかったり、弾かれたりしにくいという事も特徴でしょう。
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ショートソードの握りの部分は10~15㎝程度、片手剣なので十分な幅ですね。鍔があって、刀身が55㎝~70㎝程度まで伸びています。切っ先に行くにつれて刀身は細くなっており、刀身の中ほどまでには少し凹んだ部分が設けられている物もあります。
先端が細くなっている事で刺突する事に向いていました。また、中央の凹みの部分がある事で剣にかかる負荷が分散されて丈夫になり、相手の体に深く差し込んだとしても、引き抜くことが容易になるようになっています。
こういった構造だと、重心の位置が手元に近くなるため、使いやすかったのだと思います。
乱戦での使用も考えられていたので、見た目よりも丈夫に作られていた事も特徴ですね。
長さもこの程度であれば腰に差していても動きやすかったのではないでしょうか、長めのロングソードといった物だと100㎝近いので、しゃがむなどの動作はやりにくかったでしょう。
歩兵として腰に差すにはちょうど良い長さと、使い勝手がよい構造になっていました。
ファンタジーでも、歴史でもおなじみの一本!
私がもう一つ書いている連載の主人公の武器もこのショートソードです。
シンプルな作りに見えて、様々な工夫が凝らされている所が素敵ですね。