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第136回 板斧(はんふ) 片手で振り回せ

板斧(はんふ)

板斧(パンフ―)



 いうまでもなく、斧の一種です。

 中国で使われていた斧なのですが、斧その物を武器にしたとなると、世界各地で紀元前まで遡ることが出来てしまうので、今回は範囲を絞っています。



 中国は宋の時代、この頃の斧が武器として復活をはじめました。

 後の明の時代には本格的に白兵戦用の武器として斧が戦場へ投入されるようになっていきます。



 2本の斧を右手と左手に持ち、単身で次々と敵兵達を叩き潰していく猛者も描かれている事もあります「水滸伝」とか「三国志」とかにも登場していたような記憶が筆者のピーターにはあります。

 ゲームでも斧を両手に持って登場してくるようなキャラクターが居たりしますね。



 創作やゲームに限らず、実戦でもこの板斧で2刀流をしていたという人物も居たとされています。

 それだけ斧の威力が高い事を現代に伝えていますし、刀を持っているよりも、斧を持っているほうが「潰す」というイメージが沸きやすく感じます。



 刀での2刀流なら滅多切りですが、斧での2刀流は骨ごとミンチにされてしまう印象……

 実際、それくらいのことが出来るほどの破壊力を斧は持っていますからね、とても恐ろしいものです。



 板斧は長さ90センチ程度、斧の頭の部分は35~40センチ程度になっています。

 柄の部分は木製だったため、全体の重さも1キロ前後程度だったと思われるので、十分片手で使えるようになっています。



 今回はこうして復活してきた斧の1つ「板斧」をとりあげていきましょう。



◇◇◇



~斧の移り変わり~



 最初、斧は工具でした。

 その斧は斧とも言えない、固い物を棒に取り付けた斧のような物でした。

 人間はこれを使って、固い物を壊して自分達に使いやすいように加工をしていました。



 段々と斧のような物は洗練され、より固い物を早くキレイに壊して、それを材料にして家や道具などの生活用品や、薪などの燃料を作って行きました。



 そんな生活を送っている人類の生活を脅かす物がありました。

 獣や別の人間が襲ってくる事がありました。人類は木を切るのに使っていた斧を獣や人間に向けて使うようになりました。

 一方は相手を喰うために、もう一方は喰われまいとするために。



 はるか昔のはなしですが、人類史に武器として斧が登場した後、生活のための道具ではなく「戦いの道具」として武器が登場してきます。

 槍などに比べて間合いが狭く、剣に比べて使い勝手の幅が狭い斧は武器としてではなく、工具として戦場で用いられるようになりました。



 冒頭でも触れた宋や明の時代になってくると、武器としての魅力が薄い斧でしたが、森の中や採掘場といった場所で作業のための道具でありながら、襲撃を受けた時には即座に武器にすることができました。

 作業用の道具を持ちながら、防衛のための武器も身に着けていたら、作業なんてやってられませんからね、使いまわしの良い物が必要だったということです。



 また、森の中や採掘場などは障害物が多い上に足場が悪いため、長くて大きな武器があれば良いという訳ではありません。

 長い武器はあちこちに引っ掛かりますし、重い武器は足を取られてしまうため十分な威力が発揮できません。



 道具として使っている物がそのまま武器になるということは、とっても効率的だったということです。

 それに、人里離れた物資が少ない環境では、こうして作業用品を武器化するしかなかったのかもしれません。

 あくまでも地域限定で武器として使われていた工具や作業用品の1つが板斧でした。



 局地的に効果が高いとされていた斧でしたが、徐々に戦場へ投入されるようになりました。

 鎧兜を身に着けた兵士達、その鎧兜も洗練されてきて剣や槍でも簡単には貫けなくなってきた頃。接近戦で対人の強力な武器として。他の斧と一緒に見直されたのも板斧でした。



 板斧は比較的シンプルな木板のような斧頭を持ち、半月状や細工がされているような斧よりも比較的生産が容易でした。

 農民でも生活用品として斧を使っていた経験は誰でもありましたから、柄の長い斧を持たせることで剣や槍を持たせるよりも高い戦果をあげることができました。



 農民上がりの経験や鍛錬が薄い兵士でも、板斧を持たせれば敵兵を鎧兜ごと叩き潰す事ができました。

 剣や槍ではもたついている間に攻撃されてしまう事も多くありました。

 比較的扱い方が容易であったということも板斧の特徴と言えるでしょう。



◇◇◇



 板斧を左右に1本ずつ持って戦う事には「二丁板斧」という文字が当てられている事もあるようですが、後の世になって言われるようになった言葉なのかもしれません。



 達人が2本の斧を振るって戦うと、その達人が通った後は致命傷を負って動けなくなった敵兵が何人いや、何十人と倒れることになります。

 動かない兵士達が達人がどの方向に進んだか、その身を持って教えてくれるという訳ですね。



 様々な逸話にも通じる板斧をはじめとした斧は、近年ともいえる清の時代の終わり1912年頃までは使われていたとされています。

 これはあくまでも武器や儀礼としての仕様も含んでいます。



 時には工具に、時には武器に、シンプルな形状の板斧は今もどこかの地域で使われていることでしょう。

便利!


 斧っていうのは、ハンマーのように叩き潰すという性能と剣のように切るという性能を併せ持っています。

 いくら鋭い切れ味の刃物でも質量のある物をたたっ切ることは難しいのですが、斧であれば叩き切ることができます。


 刀で薪割りはやりにくいし、切れ味も落ちてしまいます。

 斧なら気にすることなく薪に向かって振り下ろす事ができますね。

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