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第135回 火槍 竹と火薬で火炎放射

しばらく中国関係が続きます。


リクエストお待たせいたしました。

火槍かそう

フォチアン



 中国で姿形を多少変化させながらも長く使われていた竹の先端に火薬を取り付けて、相手に炎を浴びせかけてダメージを与えたり、敵軍の設備に火を放ったりする時に使われた武器です。

 


 実は火槍という名前は正確ではありません、というか大量にあり過ぎて書き切れないほどなんです。

 長さや、形状の微妙な違いで名前が変わる上に、作られた国や地域によっても名前が変わってきます。

 一番分かりやすい名前と思って「火槍」とさせてもらいました。



 文字から見て、中国を中心にアジアで使われていた武器ですので、行ってしまえば民族ごとによって違いも生じてきます。

 中国の武器の体系化が不可能と言われる理由は、この地域や民族による違いが広い範囲で影響しているためと言えます。



 ちなみに、中国では「槍」というと「銃」という意味もあったりします。

 以前に紹介したインド式竹ロケットの「バン」に近いタイプの武器も中国には存在しており、このことを火槍と書いたりしますが、今回とりあげる火槍とは別物です。



 火薬の生産力や性能の向上によって扱い方も変化していくのですが、今回は最初に実践に投入された物から見て行きたいと思います。

 詳しく知りたくて自分で調べる方、中国の戦争の歴史に加えて、火薬の発明から発展の歴史を追いかけることになりますよ。深みにはまる可能性がある武器ですので、お気を付けください。



 それでは今日は火傷に注意の火槍を見て行きましょう!



◇◇◇



~形状と使い方~



 中国の金(1115~1234)の時代の頃に登場してきた物を紹介していきます。

 歴史上、最も古い火槍は950年頃には書物にその姿を見る事ができるとされています。

 火薬の発明は唐(618~907)の時代だったとされているため、年代的に合っていると思われます。



 書物に登場してきた頃から金の時代の間は大きな形状の違いはなさそうです。

 紙を重ねて筒を作り、その中に黒色火薬をパンパンに詰め込んで導火線をとりつけて閉じておきます。

 この紙は16層になるように重ねて強度を上げていたとされています。



 200センチ程度の棒の先端に、火薬の筒を取り付ければ火槍のできあがり。。

 槍に取り付ける場合の長さは230センチ前後、200センチ程度が柄になり、30センチ程度が穂先になります。

 穂先の下に火薬の筒の先端が来るようにして取り付けられています。

 槍に取り付けた物は「梨花槍(りかそう)」と文字が当てられていますので、厳密に言うと火槍とは違ってくるという捉え方になってくるかもしれません。



 火薬の筒を取り付ける方法は、紐などでぎっちぎちに縛り付けるような力技のような取り付け方がされています。

 場合によっては壊れた槍やそこらへんの林から切り出した棒なども、火薬の筒があればすぐに火槍に仕立てあげることも可能ですね。



 使い方ですが、普段は火薬の付いた棒ですから、点火しなければ武器としては大した威力にはなりません。

 敵兵や攻撃目標が目に入ったら、火薬に点火して柄を両手で持って敵に向けます。中の火薬に火が回るとかなりの勢いで炎を噴出します。

 その火炎の射程は約3メートルに及びました。



 槍に取り付けた物は火薬の燃焼が終わっても、そのまま槍として攻撃ができます。

 ですが、棒の先に火薬を取り付けた物は使い捨てになります。火薬を使ってしまえば本当にただの棒ですからね。



 この頃の火薬の性能はまだ低く、対象を焼き切るほどの火力にはならなかったはずです。

 相手の足を止める、脅しをかける、放火するという程度の効果はありますが、敵兵の無力化までには至りません。

 なので、火薬の中に鉄や磁石の粉、硫黄など目潰しや毒になる物を混ぜておくことも多くありました。



 混ぜ物火薬の炎を浴びた敵兵は、目や鼻の奥に指を突っ込んだような痛みと不快感に襲われ、咳き込んだり、吐きそうになってしまいますから、無力化には十分ですね。

 風向き考えておかないと使い手まで、目潰しと毒を浴びてしまいますから扱いは要注意です。



 放火については大変便利な物です。

 当時の防衛設備などは木製の物が多くありましたから、火をつけた火槍を数本投げ込んであげれば引火しますし、柄に使っている棒も燃焼しますからより火の手が上がりやすくなります。

 1本ではなかったのは、火薬の性能や水分を含んでしまう可能性などから、確実に炎を噴くとは言い切れなかったためですね。



◇◇◇



 火槍は歴史を進めるにしたがって、筒も紙ではなく金属の物になっていきました。

 尖端の形状も最初から取り付け口が設置されていたり、単発銃のように運用できるようになったりと進化を遂げて行きます。



 個人で持ち歩くバズーカのように使う小型の大砲となり、人間を丸焦げにするような竜の炎を思わせる大火炎を噴き出す武器となり、戦場に投入されていきました。

 数々の戦場で得た経験を活かして段々と小型化、高威力化が進んでいき、最終的に「銃」として世界に広まっていきました。



 火槍は火薬を武器化した最初の世代の武器と言えるでしょう。

 銃の源流の1つとも言えるかもしれません。

燃え尽きろぉ!!


 宋金戦争に投入されていたという話があったり、なかったり。

 年代的にも地域的にも合っているので、多数投入された装備品の中には火槍も入っていたことでしょう。

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