第132回 トゥハンド・フェンシング・ソード 練習!
トゥハンド・フェンシング・ソード
ぶっちゃけた話、練習用の大剣です。
剣とは形状そのものはただの棒です。
ですが、このただの棒を自由自在に扱えると、人間の命を簡単に断てる脅威ともなりえる力を発揮します。
剣という存在に加えて、使い手の技量が乗ってこそ、はじめて武器としての「剣」となるわけです。
しかし、素人が使おう物なら、ゆったりもたもたとしか振るう事ができず、丸太などを試しに切ろうとしてみても途中で刃が止まってしまったり、剣が刃こぼれしてしまう事になります。
最悪の場合は剣を止める事ができず、自分の体を切ってしまったりという自滅に繋がってしまいます。
両手で剣を持ち、敵の攻撃をかいくぐり・受け流し・時には防具で受け止めながらも必殺の一撃を上下左右から自在に繰り出せるようになるまではかなりの鍛錬が必要とされます。
いきなり剣を渡されて、戦場に放り込まれて、現場でこれだけの剣の使い方を覚えるとなれば命がいくつあっても足りません。
戦場に出る前に相当の訓練をしておかないと、技術を覚えるどころから、生きて帰ってくることすらできなくなります。
この訓練に使われるのがトゥハンド・フェンシング・ソードです。
今日はこの練習用の両手剣を見て行きましょう。
◇◇◇
トゥハンド・フェンシング・ソードは練習用とはいえ、重さや形状は両手剣そのものです。
長さ130~150センチ、刃渡り100~120センチ程度。
重さは2~2.5キログラム程度。
こうしてみると意外と軽いようにも感じますね。
ですが、柄という全体では端になる部分を持って扱うわけですから、長さも100センチを超えており、全体の重量を完全にコントロールするためには結構な難易度になってきます。
これでも両手剣にしては小さい方なので、扱いやすく作られています。
先端は丸められており、突き刺す事は難しくなっています。
つまり斬撃を繰り出す練習をするための剣ということですね。
左手を柄頭に当てるように握り、右手はガードという日本刀の鍔部分に当てるようにして握ります。この状態から様々な斬撃を繰り出して、その技術を体に覚え込ませていきます。
この斬撃というのも、振り方によって様々。
上下左右、斜めからの振り降ろし・振り上げを加えて単純に8パターン。
しかも単発で切るだけでなく、連撃にしたり、フェイントを入れたりするようなことまで考えると斬撃のバリエーションは無限大に広がっていきます。
とはいえ無限大に広がる斬撃の組み合わせを習得するためには、剣の重量を完全に支配下に置かなければなりません。
一振りするたびにヨタヨタしているようでは連発どころか、単発の斬撃すら放てませんからね。
◇◇◇
トゥハンド・フェンシング・ソードの扱いに慣れた所で、真っ当な両手剣に移してさらなる技術習得をしていくのですが……
このトゥハンド・フェンシング・ソードは17世紀に使われていたとされています。
トゥ・ハンド・ソードは13~16世紀
バスタード・ソードは15~16世紀
ロングソードも16世紀まで
フランベルジュは17~18世紀ですが、実践的というよりも儀礼的な側面が強い……
どれも年代的にピッタリこないような印象です。
トゥハンド・フェンシング・ソード練習した後に手にする次の剣は何になるんでしょうか?
とても気になりますが、明確に書かれている資料が見つけられませんでした。
練習用として、必要な技術を身に付けたら使われなくなったという説もあり、次に使う剣を極めているのなら、わざわざ練習で使うよりも早々に実践用の別の刀剣を使うようになったのかもしれません。
なんにせよ、恐ろしく長く奥が深い、剣の道の入口を彩る剣だったことは間違いありません。
練習! 鍛錬!
千里の道も一歩から、果てなき道を突き進む。
忙しさのあまりゆったり進行になっております。
ぼちぼちやっていくので気長にお付き合い下さいませ~