第130回 チンクエディア おてての幅
チンクエディア
プレートアーマーの全盛期にヨーロッパで使われていた短剣。
結構いろんな作品で取り上げていたりしますし、オンラインゲームなどでは詳細でキレイなグラフィックで描かれている事もありますね。
今回はこのチンクエディアをとりあげて行きます。
一目みるだけで、だれでも「あれか!」とピンと来る独特な模様と刀身の幅を持っているチンクエディア。
イタリア語の「5本の指」という意味の「cinque dita」が訛って名前がついたとされる説が有力です。
刀身の幅が手の平・指5本分の幅があるというのが名前の由来になっています。
多分、日本人の手だと小さいので、貴方の手の平よりもうちょっと広いという感じですね。
幅広の刀身が先端に行くにつれて細くなっているので、夏の風物詩でもあるスイカを切り分けた形をイメージさせる形状です。
某有名メーカーさんのスイカのアイスなんか、とってもそっくりなシルエットです。
この身幅の広い刀身には溝が彫ってあり、これにはいくつかのパターンがあります。
2本のまっすぐな溝が根元から先端に向かって彫ってあるもの、根元から4本・3本・2本と先端にいくにつれて溝が結びついて独特の模様になっている物などがあります。
柄の握り部分は中心が少し太くなっており、ギュッと握り込めるようになっています。
柄頭の部分は太めになっており、手から抜ける事がないような工夫もここにみられますね。
分厚い刀身と、溝による補強でとても丈夫です。この溝は相手に刺した時に筋肉の収縮などで抜けなくなるという事を防いだりする効果もあります。
丈夫さを活かして、相手の武器を受け流すパリィも効果的に行えます。
現存している物の多くは柄から刀身に至るまで、象牙や金箔の装飾や銅や銀のメッキなどがされており、物によっては柄や鞘に至るまで細工がほどこされ、貴金属や宝石の装飾に彩られている事すらあります。
重さは0.6~0.9キログラム、全長40~60センチ、この範囲が標準サイズのようです。
中には1キロを超え、全長も80センチにもなる大型の物も存在しています。
分類は短剣のようですが、ここまで大型になるとショートソードとも並ぶサイズになりますね。
◇◇◇
~使い方~
短剣にしては大きいサイズですから、持ち運びはショートソードのように腰に下げるか、背中に吊るすような形になります。
若干持ち運びには難があったのですが、見た目としても、丈夫さとしても刀剣としてはとても優秀な性能を持っています。
チンクエディア一本でも、強力な刺突能力を持っているので相手が薄い鎧であれば、刀身の丈夫さを活かして鎧の上からでも貫通させる事ができるほどです。
しかも、溝のおかげで引っかかる事もなく引き抜く事ができるので、武器を失う心配も小さくて済みます。
時にはメインの武器を右手に持ち、サブの武器として左手にチンクエディアを持って戦う事もあります。
マインゴーシュのように、相手の武器を弾くパリィに使ったり、メインの武器の一撃を入れるためのスキを作り出すための誘導の攻撃を繰り出す役割をチンクエディアに託します。
もちろん、止めの一撃を放つことも可能です。
大型のチンクエディアの場合、短剣としてではなく、刀剣として運用されますから右手で構える形になります。
扱い方はショートソードなどと同様、刺突を中心として立ち回ります。ショートソードのような頑強さと取り回しのよさを持っていますから、乱戦の中でも活躍できますね。
鞘に入れて持っているだけでも「チンクエディアだ!」と分かります。
持ち歩いているだけでも、自身の身分を周囲に知らせ、戦える事ができる装備と技術がある事もアピールする事ができますね。
鞘から抜かずとも十分に畏怖する効果がありますね。
やろうと思えば、チンクエディアの二刀流も十分に可能です。
え? ファンタジーのゲームで出来るのあるって?
すでに、実践されていたようですね。
豪華!
美術品としての側面が強いから、二刀流にして構えたら絵になりますね。