第127回 弾弓(だんきゅう)弓で石を撃つ
弾弓
弾弓
日本の奈良時代の品が多数保存されている正倉院に遊戯用と思われる物が2張あるそうです。
元は中国で、弓が誕生するよりも前に作られた弓の形状を持つ投石機です。
シルエットはまさに弓その物で、大きさも一般的な弓と同じサイズです。
まぁ、弓のサイズが小さい物から大きい物まで様々ありますので一応の基準ですが、小さいものでは40センチ程度。大きな物は170センチ程度まであります。
結構サイズには幅がありますよね。
大きくても、重さは大したことなくて打ち出す石の重さを差っ引くと、なんと100グラム~300グラムという重量でした。
今回はこの弾弓をとりあげていきます。
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~使い方や特徴~
弓の弦部分の中心に円盤状の受け皿が用意されています。
ここに石を乗せて、弓で矢を撃ち出す要領で弦を引いて手を離すと、セットされた石が勢いよく飛んでいくシンプルな仕組みです。
弦の中心部分に石を置くための受け皿があります、受け皿といっても布が設置されているくらいですが、ここに石をセッティングして、引き絞り、弓が矢を放つ要領で石を撃ち出すという訳です。
相手に直線で当てるということもできますが、空高く打ち上げて落下の勢いを加算すると威力も射程も最大になりますね。
投石紐との違いは振り回す事なく石を撃ち出せるところがポイントです。
弓本体や弦のしなりを利用していますので、どちらかというと、ゴムの伸縮を利用して玉を撃ち出す、パチンコに近い物があります。
振り回さなくていいので、横一列で何人もで打ち続けることも可能ですね。
たかだか石だと侮るなかれ、勢いよく打ち出された野球ボールサイズの石が頭に直撃でもしようものなら、頭蓋が砕けるほどの重症になります。
しかも、弓矢と違って頭蓋を砕いてくれた石はその辺に転がっていてもおかしくない物ですから、攻撃されたという証拠を残しにくいという特徴があります。
また、海のど真ん中とかでもないかぎり、石くらいなら手に入りますので、弾切れに悩む心配もない所も特徴ですね。
弾弓が使われていたのは紀元前6世紀よりも前の中国です。
軍隊として防衛に当てるというよりも。獲物を獲ったりする狩猟につかわれる事が主だったという説が有力のようです。
ですが、証拠を残しにくいという特徴がありますから、暗殺などの物騒な場面でも使われていたとされています。まぁ、証拠が残らないので、なんとも言えない所ですが……
日本には奈良時代に伝わってきた弾弓は武器としての運用以外にも、球体に仕上げた球を弾いてあそぶ遊具としても使われるようになったそうです。
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弾弓は中国から日本に渡ってきた武器ですが、その存在は非常にマイナーなものです。
昨今では有志の方の自作や、サバイバルゲームなどで取り上げられたり、ゲームに登場したりなどと注目されることもあるようです。
当然ながら弓矢が登場してくると威力や命中率が段違いに高かったため、弾弓の役割は弓矢にとって変わられてしまいました。
その後は狩猟、サバイバル、遊具などとして残っていったようです。
こうしたマイナーなアイテムも、海を渡って日本に入ってきていたと思うと、歴史のロマンを感じますね。
ストーンバレッド!
石つぶてとか言うけど、親指の先っぽくらいの石でも本気で投げられると青痣になったり、あまりの痛みにうずくまったりするから、攻撃手段としては結構有能です。
沢山仕入れた資料を読み込んでいる所ですので、投稿ペースダウンしてますが、年末年始の空き時間で執筆する予定でおります。
今後ともよろしくお願いいたします。
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