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第126回 黒作大刀 真っ黒なんです

納刀状態を見ると、名前納得です。

大刀と言っておきながら、大きくないんです。

黒作大刀くろづくりのたち

黒作大刀こくさくたち


 日本に刀剣が普及し始めたのは弥生時代の事、前方後円墳が盛んに作られていた古墳時代を経て、現在の奈良県に平常京が置かれてた奈良時代。


 この奈良時代に作られていた刀剣の1つが黒作大刀です。


 この時代の古墳~奈良時代での刀剣は実戦というよりも儀礼用だったり、装飾が多数つけられている物だったりが印象に残るものですが、ちょっと違うんです。


 この黒作大刀は装飾が全くと言ってよいほど無く、鞘は黒い漆で塗られており、握りにも紐や革などが巻かれていたとされています。

 鍔もシンプルで簡素な物が付いていました。


 全体的に真っ黒とも言える外見を持っていたので、黒作大刀と呼ばれるようになったという訳です。


 刃は直刀、刃渡り60~70センチ程度で反りは無い直刀です。

 当時の日本人の平均身長163センチ程度を踏まえると、使いやすい長さと形状ですね。


 重量も700~800グラム程度になっていますので、片手でも素早く扱う事ができました。


 物によっては鞘も黒漆ではなく、簡素に作られた物もあったと思われます。


 これまで装飾が付けられていた刀剣類が主流で、実践・儀礼の区別がなかったり、曖昧だったりのですが、奈良時代になると実践のために専用の刀剣が作られるようになりました。


 奈良の正倉院に奈良時代の美術品など多数の貴重な品々が保管されており、その中にも黒作大刀がありました。


 こうした質素で実用的な刀剣はこれまでになかった物なので、多数作られていたと思いますが、現在に残っている物はほとんどありません。


 身分がとても高い人が所有している刀剣などは残っていますが、これは当時としても大事に扱われ、実践の場に駆り出される事はなかったからですね。


 多数作られて広まった刀剣は実戦で使われるばかりか、役割を終えると別の武器防具に変えるために作り直されたりしてしまいます。

 そういった理由で現在には残っていないという訳ですね。


 となると実践に使われていたという資料が出てきたとしても、その使われ方はハッキリと残っていないということになってきます。


 実際、合戦とかになってくると狭い攻撃範囲の黒作大刀はメインの武器となることは考えにくいですね。

 弓などの飛び道具や長柄の鉾がメインになってきていたと思います。


 倒した相手にとどめを刺したり、倒した事の証明で鼻や耳を切り落としたりしたんでしょうか。


 街中などの警備や警護で、黒作大刀を主な武器として使う場合もあったとすると結構動きやすそうです。


 刀身が短いので、狭い場所でも抜きやすく、振って使う事もできますし。まっすぐな刀身で鍔もあるため、強く突き込んで使う事もできます。


 真っ黒な刀身であるため、夜だと目立たず持ち運びが出来たでしょうから、これもよい特徴ですね。


 奈良時代は710年~784年とされており、期間にすると僅か74年程度の短い期間です。

 まぁ、この時代の区切り方も後々変わってくるかもしれませんが……


 この僅かな期間でもこれまでの時代には無かった刀剣が登場してきて、多数作られていたという事は文化が大きく変わった時代でもあったのだと思います。

真っ黒!


 本当に真っ黒で飾りっ気がない刀剣です。

 自分が使うなら、細工が豪勢な物よりもこうした「武器」という点に特化した作りの方がいいですね。


 しかし、戦で使われたって記録も、なんか奈良時代より前の話とか出てくるし……

 とか書いてあるの見つかったりしたので、いつも通り『諸説あります!』です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 実用的で頻繁に使われてた可能性が高いにもかかわらず、そんなに残ってないのは残念ですね。短いから歩兵や、町を警邏する衛兵が持っていたのかもしれません。
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