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第124回 ブリューナク 長き腕の神(幻想武器)

色々な説がありますし、こうした神話の武器って名前が付いていない事も多いんです。

ブリューナク

四秘宝のルーの槍


 そもそも、ブリューナクという名前自体が神話の中では語られていないという説もある。

 ケルト神話に登場する、光の神ルーがその手にしていたとされる武器です。


 ケルトやゲルマンの神話には神達も所属する種族のような概念があり、ブリューナクはダーナ神族の4つの秘宝に数えられています。


 スリングを使って投げる弾丸であり、光のような速度で確実に対象を撃ち抜くという説もありますが、現在では槍とされる説が濃厚であり、神話や創作でも槍の形を用いています。

 神話の中では「四秘宝のルーの槍」として言われており、アイルランドの古代の文献にはブリューナクという名前の記述はないそうですが、槍として記述されているようです。


 便宜上、ブリューナクとして今回は名前を使っていきますね。

 ちなみにこの名前は日本産です。意味は「貫くもの」という事なので、この槍の性質を見事に表現している言い方です。


 今回はこの神話に語られる武器、ブリューナクを見て行きましょう。





~ブリューナクの光~


 ブリューナクは北の土地にある魔法の都から持ち込まれルーの手に渡ったとされています。

 この槍を手にした光の神ルーに対して、戦いで優位を取る事はかなわないとされ不敗の槍とも言われています。


 一度投げると目をくらませるほどの光を放ち、鳥よりも早く空を駆けてルーに戦いを挑んだ愚かな者の体を貫きます。

 敵を貫いただけではブリューナクは止まらず、再び空を駆けながら次々と敵の体を貫いていきます。


 こうしたことからブリューナクは意思を持った槍と呼称されることがあります。

 ルーの意思が乗り移ったかのように、自分で敵を探して次々と倒していくので、ブリューナクを持ったルーに勝てる神や人間はいないと言えるほどでした。


 ブリューナクは飛び立つときに強く光を放つので、ルーの手から光が放たれているかのように見えました。

 ルーの腕から遠くまで光が伸びていたので、その姿を指してルー・ラヴァーダと呼ぶようになりました。これが長腕のルーという光の神ルーの二つ名になりました。


 ルーはデヒテラという女性を精霊の丘へ導き、そこで一組の夫婦と引き合わせます。

 夫婦の子供を可愛がっていたデヒテラでしたが、その子供は不幸にも亡くなってしまいます。悲しみに暮れるデヒテラでしたが、その夜にルーが夢に現れました。


 夢の中で夫婦の子供親が自分である事、亡くなった子供の魂がデヒテラに宿っている事を告げます。

 後にデヒテラはセタンタという男の子を産みます。この子はルーの血を受け継ぐ半神半人の存在となり、人間とは思えないほどの力を身に宿す英雄として成長していきます。

 セタンタは後にクー・フーリンと名を改め、影の国の魔女スカアハからゲイボルグという槍を渡されました。


 親子ともに、すさまじい力を持つ槍を操っていたのは、親子の血のつながりなのかもしれません





~祖父を倒すルー


 こうしてブリューナクを使って数多くの敵を打ち倒したルーでしたが、その中に邪眼を持つ巨人バロールがいるとされています。


 巨人バロールはルーの祖父であり、魔眼のバロールとも呼ばれています。

 彼の眼が開かれる時、その目前にいる敵全ての命を奪うほどの力を秘めていますが、その瞼はあまりにも重く、瞼に付けられている環を数人がかりで持ち上げなければなりませんでした。

 こればバロールの目が恐ろしい力を持つ一方で、バロールの弱点でもあったため、こうして強固に守られていたという訳です。


 バロールは『自分が孫に殺される』という予言を知り、これを避けるために自身の娘を幽閉します。

 ですが、バロールの娘は幽閉の身であるなか、キャン・マック・カンチャというバロールの敵方であるダーナ親族の神と密通し恋仲となりました。

 やがて娘は妊娠して男児を生みましたが、この子はバロールの手によって遺棄されています。


 娘を幽閉し孫を捨てたことで自身が殺される事はなくなったと安堵したバロールは、敵対するダーナ親族とのマグ・トゥレドの戦いに挑みます。

 ダーナ親族に味方する人間達をまとめて倒すため、部下に命じて自分の瞼をあけさせようとします。


 バロールの目が開かれてしまうとダーナ親族は壊滅状態になってしまいますが、光の神ルーが開きかかった目に向かってブリューナクを投げつけました。

 ルーによって魔眼を破壊されたバロールは倒れて命を失う事になりました。

 お互いに知る由もなかったでしょうが、バロールによって捨てられた幼子は光の神ルーであり、バロールの予言は実現されたという訳です。


 バロールの目を貫いたのは、ルーの槍ではなく、ルーが投げた魔弾タスラムだったという説もあります。

 また民間に伝わっていた神話では、ルーが遠くから魔眼を攻撃したあとに赤く焼けた槍や鉄柱でバロールの目を潰したという話もあります。


 ルーはブリューナク以外にも様々な武器を持っていました。

 その中でも特に強い力をもっていたのが、ブリューナクだったと言う事は疑いようがありません。

 ルーの力を示した偉大な武器です。

光よ! 貫けぇェエ!!


 ゲイボルグは第3回でとりあげています。

 これもまた、恐ろしい武器です。

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