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第123回 埋火 忍法地雷の術

地雷の恐ろしさよ

埋火うめび

埋火うずめび


 戦国時代~江戸時代にかけて使われていたとされる忍びの仕掛けの1つ。

 火縄を用いて箱の中の火薬に引火させるというトラップですが、これを地面に埋める事で踏んだら爆発する地雷として運用できるようになっています。


 埋火という用語は、火のついた炭を灰の中に入れる事によって燃焼時間を長くするという方法のことだったりします。

 こうすることで火鉢の暖かい時間を長くしたりするばかりか、灰の中で練った小麦粉で具を包んだ「おやき」とかをじっくり焼いたりするときにも使われたりします。


 古代にはこうした高熱の灰を使ってパンを焼いたりすることもあったらしいですね。

 って、武器の話に戻しましょう。


 箱と蓋、竹筒、端っこに火がついてじっくり燃えている火縄、そして火薬がこの埋火の材料です。

 フレーバーで尖った小石などを使う事もあります。

 結構シンプルな材料ですね。これだけでトンデモナイ威力を発揮する地雷の出来上がりです。


 今回は忍者が用いた、地雷にもなる時限爆弾、埋火を見て行きましょう。





~作り方と使い方~

 箱の中に沢山の火薬をいれておきます。フレーバーの小石はここに混ぜ込んでおきます。

 竹はあらかじめ、縦にパカンと割っておきましょう。箱の蓋も割れやすいようにするか、2つに割って内側に落ち込むように細工しておきます。


 縄は短すぎてはいけませんが、長めにすることで爆発するまでの時間を調整する事ができます。

 事前に縄が燃えるスピードを確認して程よい長さにカットして、片方の端に火をつけておきます。


 材料の下ごしらえは以上です、ここからはセッティングですね。


 火薬を入れた箱をターゲットが踏みそうな場所に小さな穴を掘って埋めておきます。

 割った竹の間に火縄を入れたら、割れ目が上下に来るようにして箱の上にセットします。このときに蓋の割れ目から火縄は下に落ちるようにしておきます。

 上から土などをかけて見えないようにして、セッティングは完了です。


 これで、上から踏みつけたら竹と蓋が割れて、火縄が火薬の上に落ちて爆発して攻撃します。

 道の真ん中にセッティングして、行列を成している大名たちの兵士に踏みつけさせたりして、戦力を削ったり行軍を遅らせたりする事も可能です。

 当然のことながら、火縄が燃え尽きてしまうと爆発しなくなってしまいます。効果時間には気を付けましょう。


 火縄の火がついていないほうを火薬に埋め込んでおくことで、地雷ではなく時限爆弾として活用することもできます。

 これなら無理に踏ませなくても大丈夫、送り物に見せかけたり、倉庫などの箱が沢山ある所に紛れ込ませるように仕掛けたり、いろいろ使い道がありそうですね。


 どちらの使い方にしても、水分が大敵ですので、雨降りなどの悪天候時や、沼地や水辺では使えません。

 密閉ができるような箱を用意するのは大変ですし、そもそも密閉された場所では火縄の火も消えてしまいまいますから、使う場所は選んだほうがよさそうです。





 こうした埋火の大がかりな物では、道の下に砂遊びでトンネルを作る要領で、用水路のような空間をつくります。この空間を火薬で満たし、火縄をセッティングしておきます。

 通常サイズは一部の地面に埋め込んで使ったりしますが、ここまでになると道全体が埋火になっていますね。


 敵の1団がこの道を進んでくる時に爆発させて、敵兵を攻撃するばかりか、道そのものを陥没させることで敵の侵攻速度を大幅に低下させたり、武将の暗殺を狙ったりしたという説が残っています。

 攻撃の目標は、敵兵の殺傷と道の破壊という2重の効果を狙った物でした。


 一見すると歩兵ばかりを対象にしているようですが、火薬の量によっては騎兵を馬ごと負傷させたりすることも可能だったとされています。

 ここまでくると武器というより、兵器のカテゴリーに近くなってきますね。


 少量でも鉄砲から弾丸を高速で撃ち出せる火薬を大量につかいますので、その威力は恐ろしい物だったにちがいありません。

 しかも、小石など使っていれば、引っかかった対象ばかりか、その周辺にも大きな被害を与えたことでしょう。


 大型の埋火を活用すれば、敵軍の壊滅や、陣地の崩壊まで狙うことも可能だったかもしれません。


 人類が開発した最低最悪な悪魔の兵器『地雷』の発端は火薬と共にあったと言う事ができそうです。

かかったな!


 爆発はロマンなんだけど、地雷系の爆発はロマンじゃないんだよなぁ……


 この細工の細かさと、身近にある物に火薬があれば作れる事が忍法です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 昔の人は、生活の中に、火を起こすこと、上手に薪を燃やすこと、といった技術が根付いていたのでしょうから、こういう武器も、生活の知恵の延長だったのかもしれませんね。 それはそれで、怖い話ですけど…
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