第118回 キャッチ・ポール 元は家畜用
次回番外編、その後にもうひとつのオーダーメイド品となる予定です。
キャッチ・ポール
16世紀に用いられた長い杖の先に複雑な金具が取り付けられており、対象をこの金具で捕らえるための道具です。
この金具はシンプルな物もあれば、ちょっと豪華な柵に取り付けられている門のような細工になっていたりするものもあります。
捕らえられる方にとっては金具部分が豪華だろうが、貧相だろうが関係ないので何とか逃れようとして暴れる事があります。
いかに暴れてもキャッチ・ポールを使う人に危険が及ばないよう、十分な距離を確保するためには柄は150~200センチ程度の長さがあります。
キャッチ・ポールの名前で検索すると、建築用品やら動物の捕獲つかう紐が使われた棒がヒットしてきますね。
元々は家畜の首を捕らえてから目的の場所まで連れて行くための道具で、尖端部分も金具ではなく紐で作られていました。大事な家畜に傷をつけないためですね。
その後、家畜に付けた鼻輪や首輪などの金具に、知恵の輪の要領でキャッチ・ポールをはめ込んで連れて行き、目的の場所についた所で知恵の輪を外すようにして解放するというタイプが登場しました。
こうして畜産の道具として便利に使われていたのですが、対象を人間として囚人や罪人を連れ出すときにも使われるようになりました。
現在では人権の無視も甚だしいので使われることは無くなってきておりますが、当時は暴れる人間を安全に連れ出すために考えられたアイテムでした。
首に金具を付けられてそこに知恵の輪状の金具をはめ込まれると、視線は首まで届かないので対象となった人間にとっては死角になります。
なおかつ引っ張られたり、歩かされたりしている訳ですから、金具が見えない場所で動きながら知恵の輪を外すというのは至難の業です。
ですが、使う側にしてみればコツさえつかめば簡単にキャッチ・ポールをはめ込んだり外したりすることができます。
大暴れする者を取り押さえるということはかなり大変な作業になります。
全力で暴れる成人男性を取り押さえるためには、男性が5~6人かかりで抑え込まなければ制圧できません。
よく、ドラマとかで喧嘩の仲裁をするときに数名で2人を引きはがしていますが、あれは喧嘩している当事者にもある程度の冷静さと周囲の静止を聞き入れる余裕があったからです。
我を忘れる程の激高状態や、精神的なパニック、狂乱状態になった人間はあんなに簡単には止まりません。
警察の方が暴れている人を取り押さえるために『そんなに来る!?』という程の人員を投入するのは、我を忘れる程大暴れする人間に対して、お互い怪我をせず制圧するためにはそれほどの人数が必要となると知っているからです。
毎回毎回、これほどの人数を確保するのも難しいので、最初に金具をかける首輪を外れないようにガッチガチにとりつけておけば、後はキャッチ・ポール持った人間と鍵を開け閉めする人の2名で対処が可能になりますね。
監禁させられた人物にとってキャッチ・ポールは自分を恐ろしい場所につれていくための恐怖の武器に見えたことでしょう。
引きずり出せ!
一度はめると取れない知恵の輪機構。
分かっていればスッと行けるんです。
色々なタイプがあったと考えられる物ですし、使い方が使い方だけに、細かい形状やはめ込み方はナイショにされていました。
バレたら抜けられちゃいますからね。