第115回 桧(ひのき)の棒 ある意味定番
これも王道
桧の棒
檜の棒
これってホントにあるのかなと思うんだけれども……
ホントにあるんだよなぁ、お土産物とかで売っている場所もあるらしいです。
お土産物の場合は木目をが見えるようにしながら、焦げ茶色や黒色に塗装していることが多くあります。丁寧な作りだと、柄の先端を丸く膨らませた切り出しになっていて、持ち手部分に紐を巻くなどの仕上げがみられます。
ふくらみと紐のおかげで、勢いよく振っても手からすっぽ抜ける事がなくなり、安心して振り回せます。
桧って木材は香りがとてもよくて、触った感じもふんわりと柔らかい。桧って書いたり、檜って書いたりします。木材一覧とかだと読みやすいように「ヒノキ」と書いてある事が多いですね。
この木材は湯船にも使ったりしますが、その理由は香りの良さばかりではありません。
桧の特徴は木材の中では比較的柔らかい物に分類されます。そのため、お湯につかって「あー、気持ちいい」と浴槽の淵に寄りかかった時に優しく体を受け止めてくれます。
お湯のリラックス効果に加えて、柔らかい肌触りと穏やかな香りの効果で人間を癒してくれます。
桧の柔らかさというのは他の木材に比べて、触った瞬間にやさしい気分にさせてくれるという効果がありますし、少し年期が入ってくると表面がお湯でふやけたり摩耗してきて、ふんわりとした様子に変わってきます。
金属の湯船と桧の湯船の違いをイメージしてもらえると、どれだけの柔らかい癒し効果があるかよく分かりますね。
さて、このめちゃくちゃ癒してくれる柔らかい木材も、ちょっと武器として見てみましょうね。
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~桧の棒~
通信販売で棒そのものは簡単に購入できます。
建築だったり、日曜大工だったり、材料の木材で桧を使いたいなぁ~って思ったら「檜 棒」とか「桧 棒」みたいなワードをベースに調べたり、通販サイトを探したりすると沢山みつかります。
桧は日本の中で杉に次いで2番目に植林されており、神社や仏閣の建設などにも活用されてきました。
材質が緻密で狂いが生じないという特性で複雑な建築をすることにも向いている木材です。
そのため、日常的な大工仕事にも資材として流通しているというわけですね。
建築から1300年以上経過している桧でも建築に使えるほどの強度を保っており、保存性や耐久性にとても優れた木材と言えます。
しかも、これだけの年月が経過していても、表面を削れば内側からは桧の香りが出てくるそうです。すごい耐久力ですね。
建築材料としては優秀なことは分かりました。ですが。武器として使う場合は硬さが求められます。
木材の固さのランク付けでは「とても硬い~硬い」に含まれる物が武器や叩きつけて使う物などに利用されています。
野球のバッドなどは「硬い」に分類されるアオダモやホワイトアッシュなど。
クリやドングリの木なども人によっては金鎚の柄として使ったりもしますね。
こうした木材で叩かれるととても痛い!
軽いタイプや柔らかいタイプの白木やパルプ、桐などは硬い木材に比べると、痛くありません。いや、叩かれたらちっとは痛いんですよ。
重くて密度の高い木材と軽くて柔らかい木材で叩かれた場合を比べてみての話です。
特に桐に関しては、椅子などにしても座面にクッション性が発生するほどの柔らかさをもっています。この柔らかさは「柔らかい~とても柔らかい」に分類されます。
これは内側に空気を含んでいるから、特に柔らかく、見た目よりも軽いという素晴らしい素材です。さらに、腐りにくい上に、燃えにくいという特性も備えているのが桐です。
ゲームなどでお馴染みのオークスタッフなどは『樫=オーク』なので、直訳すれば樫の杖となります。樫は「とても硬い」木材とされていますね。
モンスターのオークではありません、名前の由来がオークがもっているからって理由ではありませんよ。材質の木の名前です。
ちなみに樫こと、オークは水に沈むので、アイアンウッドに分類される木材ですね。
水より重い、つまり密度が高くて強度が高いということです。
そこそこ攻撃力が高い理由も納得です。
さて、今回のテーマでもある桧ですが、木材としての強度は「並」です。しかも並の中でも比較的柔らかい部類になっています。
そのため建築資材には向いていても、力がかかる武器や柄や武器として使うには向きません。
攻撃に使うには重さと固さが足りないということですね。
建築現場や資材置き場などで何者かに襲われてしまい、近くにあった木材を手に取ったら桧の棒だった。
こんな想定なら十分にありそうですし、当然、素手の人間よりも短い棒1本装備しているほうがはるかに強くなりますから、素手よりはマシになります。
あくまでも武器として常用するには向かないというだけで、使えないという訳ではありませんね。
桧の棒は建築に使う事がよさそうですが、神事などでは桧を100%使用した木製の鍬や鎌などの道具を作って使用する事もありますから。
鬼や悪魔には特別な効果もあるかもしれませんね。
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~もうちょっと武器にすることを考えてみる~
実は桧はとっても地域が限定されている素材です。
桧が分布しているのは日本・中国・台湾がほとんどで他の地域に行くと、この木材自体がほとんどありません。
武器として使えるほどの上質な桧を調達できるのはこの地域だけとなりますが、神社仏閣の建築材、温泉施設の浴槽や脱衣所、一般家庭でも床板など上質な桧が求められる場所が沢山あります。
そのため、棒状に加工することなどは職人達にとっては朝飯前、木目が際立つばかりか光沢すらも感じるほどに美しく仕上げる技術は十分に伝わっています。
建築に使う程ですから、長さも短い物から長い物まで多種多様。太さも極太の物から、極細の物まで用意することが出来ますね。
比較的柔らかい材質ですので、相手を叩いた時に致命傷に至らしめる可能性は低いと考えられます。
叩く分には問題なく使えそうな印象がありますが、摩耗する可能性は非常に高そうです。
建築につかった場合、傷付くのは表面です。荷物を運ぶときに引っかけたとか、金属道具でこすってしまったなどですね。
ですが、戦いによって傷がつくのはこの程度の傷ではありません、深い傷が入ってしまいます。この深い傷のダメージが武器としての性能を大きく落とす事に繋がります。
元々、木材には「割れる」という現象があり、木の乾燥具合などでパキリと割れてしまう事がありますが、建築の場合はこの割れがあったとしても、木の繊維がバッチリと建物の重さを受け止めてくれます。
ですが、戦いの場合はこの割れがある事で、木に衝撃などが吸収されてしまう事につながります。
ひび割れたバットでボールが飛ばないのと一緒ですね。
簡単に深い傷が入ってしまうということは、ひび割れたかのように桧の棒にはダメージが蓄積していきますから、受け止めるという事、叩くという事などを繰り返すうちに簡単に摩耗して行ってしまいますね。
叩くだけというならまだ効果的ですが、引っかけて転ばせるとか、相手の武器と打ち合いをするとかになると不安になってきます。
ダメージが入った桧の棒で相手の足を払った時にメキョっと折れてしまうかもしれません。
戦いの中で武器が壊れてしまうのは致命的なので、武器として用意するための材質には向かないということですね。
とっさの時に手近にあった武器になりそうな物を手に取ったら「桧の棒」だった。
ということであれば十分に武器としての選択になりそうです。
武術の棒術・棍術にて選択される棒の種類は十数センチ~数メートルまで様々あります。
素手でいるときに大勢に囲まれてしまったときに、そこに転がっていた桧の棒を武器にして全員を叩きのめすとか、そんなロマンを感じるシーンなどで活躍しそうですね。
そもそも、産地が限定されているので、世界的みれば……
「『ひのき』って何?」
ってなっちゃうんですけどね。
槍の柄としての選択肢に入る事がありましたが、急務で必要になった場合や、戦に慣れておらず軽くて動かしやすい槍が必要な場合など、限定的な場面だったようです。
結果、他になければ使うけど、他に武器があるならそっちを使うというのが、桧の棒みたいですね。
日本の心!
桧ってこの辺り限定だったみたいですね