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第108回 タルワール 支流から源流になった?

タルワール


 16世紀頃にインドで登場してきた刀剣です。

 だれでも名前くらいは聞いた事があるくらいの知名度は持っています。


 曲刀に分類される事もある、片刃で反りを持つ湾刀になっていますが、尖端の背中側は板状ではなく薄く仕上げて突き込みやすくする疑似刃にされています。


 長さは70~100センチ、重さは1.6キログラム前後と長さの割りにやや重めな重量を持っています。


 柄は十字型の鍔を持つキヨンと呼ばれる形になり、柄頭はお皿というか円盤状の細工が取り付けられています。

 鍔から柄頭までは一体型になるパンジャブ様式という形状が採用されているのがタルワールの一般的な形です。


 握りの部分も中央を膨らませてあったりして、握り込むと手にスッとおさまってくれるので、細部にまで手が込んだ作りになっています。


 タイプによっては握りをガードするための金具であるナックルガードが取り付けられたりして、手元を切られにくくされているものもあります。


 使い手の事を考えてくれている刀剣ですね。

 腰などに差した状態でも動きやすい長さ、切り付け易い湾刀という形状に加えて、刺突にも使える疑似刃の存在。


 防御面でも手元を切られないようにするためのキヨンとナックルガード。

 手に馴染む握りやすい柄の形状があることで、相手の武器を弾いたりする細かい動きにも対応してくれます。


 う~ん便利というか、かゆい所に手が届く仕様になっていることが分かりますね。


 また、インドは階級による差別が凄まじい文化が残っていたのですが、タルワールはどの階級にも広まっていった刀剣です。


 もちろん上位とされる階級や王族・貴族が使っていた物は動物などを模したレリーフや彫り物、細工などが見られ豪華にされているものがあります。


 中には現在では幻の金属とも言われているダマスカス鋼を使い、木目状の美しい文様が刀身に浮かび、強靭さと柔軟さを併せ持つ見た目的にも美しすぎるタルワールも存在しています。


 実際にちょっと検索してみると、めっちゃ豪勢なタルワールや、美しい形状のタルワールが沢山みつかりますね。


 アラブ・ペルシャ・トルコ・アフガニスタンにあった片手剣の影響を受けて、インド周辺でタルワールの形としてまとまってきたと考えられています。


 たしかに、ペルシャ周辺のシャムシールと比較してみると、似ているよう感じますね。

 切り付けて使うという用途に関しても同じですから、扱い方にも共通点があります。


 色々な刀剣の流れを受けて生まれて来たタルワールですが、この剣はその後ヨーロッパ方面にまで伝わっていったとされています。


 イギリスで騎兵が使っていたサーベルの中のにはタルワールと酷似している形状を持っている物が散見されています。

 芸術的な刀剣が好まれていた事も踏まえて、タルワールがヨーロッパの刀剣に影響を与えていたという説があがっています。


 ヨーロッパ地方の博物館とか行ったら『あれ? インドのタルワールが置いてある』と思う瞬間もあるのかもしれませんね。

使いやすい!


 インドの階級制度というのはかなりキッツイものなのですが……

 その階級をまたいで広まった刀剣なので、その威力や使いやすさといった性能の高さはすごかったんじゃないかなぁ。

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