第10回 ジャマダハル 竜の皮膚をも貫く刃
ジャマダハル
ジャ「ダ」マハルと言われることがあるが、これは間違いジャマダハルです。
そして、カタールと呼ばれる事もあるが、カタールは別の刀剣。
意外とこういう名前違いって多いですよね。
このジャマダハルは見た目がとても特徴的です。
通常刀剣は「十」の形をとっていて、持ち手の柄の部分、左右に伸びる鍔の部分、刃となる刀身の部分で作られます。
しかし、このジャマダハルは「A」の形をしており、この横棒の部分が2本になっています。
この横棒部分を握り、その左右から頂点に伸びる「Λ」部分が刃になっています。
ドラゴンの名を持つRPGにドラゴンの鱗や皮膚をも貫くとされている武器として登場する武器がありますが、形状はまさにこのジャマダハルですね。
さて、さっそく解説いってみましょう!
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使い方ですが、殴るように使います。
通常、刀剣類は握った時に腕に対して90度の角度になります。これはテニスのラケットでも、フライパンでも、包丁でも、ナイフでもそうなります。
このジャマダハルはボクシンググローブが刃になったような状態になるので、腕に対して180度の角度を取ります。
通常の切り付けよりも相手を殴るようにして、その先端を突き刺して使います。
突き技しかできなかった、そんなことはありません。
腕を振るようにすれば斬撃にもなります。
利き腕だけでなく、両手に装備すればボクシングをするかのように突きの攻撃、パリィするように斬撃をする。
両手が刃になったような物なので、相手の武器のパリィもそんなに難しくありません。
ステップを踏みながら、牽制のジャブを繰り出し、相手の剣をパリィ!
この一瞬のスキに踏み込んで、ジャマダハルのストレートパンチ!
刃が深く差し込まれた相手は助かることはないでしょう。
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少し残酷な解説します。
実はこのジャマダハルは連戦に向いています。
「A」の横棒部分は1本だと、滑って刃が回転してしまいます。ここが2本あることで回転しないで打撃のような刺突を繰り出すことができます。
これが前提ですね。
刃に全体重をかけて差し込む事も難しくないので、相手の肉体に深々と刃が刺さりますが、槍や剣などはあまり深く刺さると肉体から抜けなくなります。
これが原因で武器を手放してしまうケースがありますが、このジャマダハルはそうなることが比較的少ない剣です。
その刃の形状が横に広かったり、先端部分の内側に少し空洞が出来ている物がもありますが、殴るように刺した後は相手の肉体とジャマダハルの間に僅かに隙間ができます。
ボクシングのパンチを戻す要領で手を引くと、比較的容易に引き抜くことができます。
剣とかで、相手の肉体へ深々突き込んでしまうと、筋肉の収縮やら、肉体との摩擦で抜けなくなることがあります。
でも、ジャマダハルだとスルリと抜けるので、相手は出血も止まらず重症確定になりますし、自分は次の相手に攻撃をすることもできます。
ドラゴンの皮膚を貫いたとしても、抜けなければ丸腰になりますからね。
連撃をするためにも『抜ける』という事はとっても大事です。
傷口に剣が残っていたら、止血にもなっちゃいますからね。
内臓に刃が届いた状態で引き抜けたなら、それが致命傷となる訳ですね。
全体重を乗せた突きが刃に伝わり、ボクシングのラッシュのような連続攻撃もできるので、ドラゴンの皮膚をも切り裂く武器の形状となったのも納得です。
使っていたのは、インド、イスラム教徒で14世紀~19世紀にかけて使われていたそうです。
年代も長くに渡って使われていた武器ですね。
冗談抜きの必殺パンチ!
こんなんで殴られたら絶対死んでしまう。
次回はリクエスト頂きました、中国の双剣です。
ロマンあふれるアイテムですね!