第104回 釘バット 猟奇的な見た目が効果的
釘バット
古の武器とも言える。
一昔前のチンピラ的な存在が描かれる漫画などにも登場する他、最近のゲームでもネタ武器的な扱いをされています。
初心者でもバットでボールをぶっ叩いたら、ビューンと遠くまで飛んでいく威力になります。
これが大空の彼方までボールをふっとばす、プロの野球選手に使わせたら、バットのスイング速度は時速140キロメートルに達するそうです。
一般的なプロ野球選手のバットは1本900グラム程度になっているとのことですが、選手によってこの重量は微妙にかわり、それぞれの選手に絶妙に合う重さに調整されています。。
これが時速140キロメートルでぶつかる訳ですから、人間の頭蓋骨くらいなら砕け散るほどの威力になります。
悲しい事ですが、このスポーツ用品でボールではなく、人間をぶっ叩いてしまう事件は時々目にします。
スポーツに使いましょうね。平和利用が一番です。
凶器として成立してしまうほどの野球のバットに、多数の釘を打ち込んで怒った時のハリセンボンのような見た目にした物が釘バットです。
釘の尖った面ではなく、金鎚で打ちこむ平らな頭部がバットから出ている状態にしている物が多くあります。
何もしなくても凄まじい衝撃を生み出す事ができるバット。それを釘まみれにしているわけです。
こんなものを持つのは反社会的な行動をするような人物ばかりです。一般人が明らかに武器化した道具なんて持ち運びませんからね。
強烈な打撃のイメージをそのままに、猟奇的な印象を加えており、手にする人物の暴力的な印象も加わって恐ろしい武器に仕上がっています。
中には有刺鉄線を巻き付けて、外れないように固定している物。
釘の頭の部分1本1本丁寧に加工して、平らな頭ではなく、鋭い針状にしている物なども存在しているようです。
何気に手が込んでいますし、粗暴な人間が金属鋸で釘を1本ずつ尖らせる丁寧な作業をしていると思うと、シュールですよね。
今日はこの猟奇的な釘バットを見て行きましょう。
◇
~作った場合~
スポーツ用品店でバットを購入します。試合に使えるような高級品ではなく、安物でも十分でしょう。
ホームセンターで釘を購入します。太めで長めの釘が良いですね。数百本単位で箱で売ってますし、結構お安く購入できますから日曜大工にも使うのでまとめて買っておきましょう。
金鎚を用意して、バットにひたすらに釘を打ち込めば出来上がり……
と、思いきや実は結構難しいんです。
そもそもバットとは硬い木材を使用している上に、よく乾燥させてあるため木材が締まっています。しかも職人の手によってキレイな円に加工されています。
平面に釘を打つのは難しくありませんが、曲面に釘を打つのは結構難しいです。曲線の頂点に釘の先端がまっすぐに当たっていないと金鎚で打ったとしても曲面の上を釘が滑ってしまいます。
バットその物も上手く固定しておかないと、右へコロコロ、左へコロコロとなってしまうので、なおの事打ち込みにくいですね。
しかも、バットそのものはかなり硬いので、なかなか釘が刺さってくれません。
刺さったとしても乾燥した木材なので『ピキッ』という音と共に亀裂が入る事すらあります。亀裂が入ったバットは衝撃がバットその物に吸収されるようになってしまうので威力が大幅に低下します。
釘も浅ければすぐに抜けてしまいますし、深く打ち込めば亀裂が入る。ぶっ叩いても抜けず、亀裂も入らない絶妙な力加減が要求されます。
釘バットにするためには数本の釘を打ち込んだだけでは釘バットになりません。
絶妙な力加減で硬いバットに100本程度は打ち込む必要があります。
あ、釘を追加しようと思って、釘の中に釘を足す事は難しいですよ、他の釘が邪魔して手が入りにくいですし、最悪の場合は金鎚を持つ手を他の釘に引っかけてしまいますからね。
釘バットを作るには、職人レベルの熟達が必要になります。
しかも、ようやく完成した釘バットも街中で持ち歩いていれば、即通報からの即逮捕です。
釘バットなんて誰かを脅したり、傷つけたりする目的にしか使いませんから、持ち歩いているとなると計画的な傷害・殺意というヤル気の証拠になってしまいます。
手間暇かけて作ったのに、持っているだけで即逮捕案件になるのが釘バットです。
◇
~使った場合~
釘バットを実際に作ってしまうと警察の仕事を増やす事になってしまいますからやめておきましょう。
では、日曜大工で余った木材に、同じく半端になった釘を数本打ち込んで、釘バットをオマージュした角材を手にしてみましょう。もちろん、家のタンスをばらした時に釘が数本残った木材でも結構です。
その釘付き木材で、捨てる直前のクッションでも段ボールでも何でもいいのでぶっ叩いてみましょう。
ボフンという衝撃の後……
釘が引っかかって抜けなくなります。
確かに、釘バットで人体を殴ろうものなら皮膚を突き破り、肉を裂くすごい威力になりそうですが、抜けないということは2発目がでません。
1撃で仕留めるために急所を殴ろうとしても、釘が引っかかって適切に急所に当てる事が難しくなっています。
腕1本を犠牲にする覚悟があれば釘バットは止められてしまいますし、上着などを釘に引っかけるようにして絡めとることもできます。自分の荷物を釘バットにぶつけてやれば、荷物が邪魔で上手くふる事ができなくなります。
ぶっちゃけた話、威力だけを取るなら普通のバットの方がはるかに適切に武器として扱えてしまうのです。
威力が低下していることは分かりましたが、釘バットを効果的に使う方法はあるのでしょうか。
造っただけでも警察に目を付けられ、拷問に使うならまだしも確殺のための威力は低下している釘バットは、威嚇が最大の武器です。
冒頭に出したように、バットの威力・釘が多数刺さっている猟奇的な見た目・これを持つ人物の暴力性をまとめて見せつけることが出来ます。
怯えている相手の目の前で釘バットを軽く振ったり、ワザと釘を引っかけてやったりとしながら、うろちょろとしてやりましょう。恐怖を与えるには十分です。
威嚇し、脅し、威圧するときに釘バットは有効です。見せて使う武器ということですね。
あれ? 見せびらかしたら逮捕案件じゃなかったっけ?
うひひぃ! ひゃっは~!
持ってるだけでヤベー奴。