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第101回 刺叉(さすまた) 現在も好評販売中

これで、捕り物三道具が揃った

刺叉さすまた・さすまた・琴柱ことじ琴柱棒ことじぼう


 江戸時代の捕り物三つ道具の最後の1つ、尖端が二股に分かれた突起を持つ長柄のぶきです。

 袖溺そでがらみ突棒つくぼうと並んで置かれている事が多くありますが、三つ道具の中で最も使い勝手がよかったと言っても過言ではない性能を持っています。


 江戸時代の刺叉は先端は尖っていますが、刃などは付いておらず、その代わりに柄の先端部分の周辺にはトゲトゲしたびょうが沢山埋め込まれています。

 相手に必要以上の怪我を負わせず、捕らえるために使われた武器なので、捕らえる相手に掴まれて外されたりしないように鋲をつけて握れないようにしてあります。


 タイトルにもあるように現在でも販売されています。

 もちろん鋲はついていませんし、尖端に突起もついておりません。U字型の先端にモップの柄を長くしたような柄がついており、不審者や危険人物から距離をとりながらも相手を押さえつけられるように設計されています。

 公共施設や警備会社などに防犯の物品として用意されていたりします。


 通販でも簡単に購入する事ができる上、1本あたり1万円前後というお手頃価格で販売されています。

 使い方についても動画で沢山公開されているばかりか、お願いすれば使い方の講習会なども行ってもらう事ができます。


 今日は現代でも使われている刺叉を見て行きましょう。





~由来と使い方~

 実は結構歴史のある武器で、最初に日本に登場したのは室町時代です。

 原型なのか、形はそのままだったのか、中国からこの武器が伝わってきたとのこと、尖端が二股となり鬼の角のような見た目から相手を威圧する効果もあったため、警備用具として取り入れられました。


 琴柱と呼ばれたのはこの頃の事、琴の糸を持ち上げて張るために使われていた琴の柱をひっくり返すと刺叉にそっくりだったんです。

 糸を支える先端と、琴の本体につく2本の足、まさに刺叉ですね。


 当初、この刺叉の2本の突起の間は刃になっており、尖端が二股に分かれた矢の先端のように仕上げられていました。

 突けば切断する事も、腕や首に突きつけて「動けば切れる」と脅しをかけることもできました。


 相手が刀などの獲物を持っていても、二股の間で受けて捻る事で絡めとったり、弾き飛ばしたりする事ができます。

 袖溺は相手の衣服を対象にして一本で足を止めさせる事ができます、突棒は相手を押さえる事に特化していますが、刺叉はこのどちらも行う事ができます。

 ただ先端が刃になっているばかりか、大きな突起を持っているので、他の2つに比べると殺傷能力が高くなっています。


 例え相手ば武装していたとしても、刺叉があれば対武器の扱いから、動きを止める所まで刺叉を装備した人物が2~3人いれば安定して取り押さえる事ができますね。


 現代の刺叉は突起も無ければ刃もありません、U字型の部分に相手の腕や足、胴体をはめ込むようにして壁や床に押し付けて無力化します。

 例え相手が暴れたとしても刺叉を3~4本使って腕と胴体、両足に胸と押さえつけてやれば、例え女性ばかりだったとしても不審者・危険人物を取り押さえる事ができます。


 例え1本を無理やり引っぺがそうとしても、他の刺叉で抑えられてしまえば、体に力が上手く入りません。

 特に両足を押さえる事が出来れば、上半身の力だけで力の入れにくい腰から下の刺叉をどかさなければいけないので、上手くやれば小柄な女性1人で大柄な男性を取り押さえる事も不可能ではありません。


 まぁ、過去も現在でも相手と1対1になる環境は危険なので、刺叉という装備で武力でも間合いでも相手より優位に立ち、さらに1対多数となる事で数的優位も確保。

 絶対的な安全で、味方への被害をゼロにして相手を捉えるという事が基本となっています。





 当時は怪我を負わせても命を取らずに捕らえるという事が基本でした。

 公の場で裁きをする必要性もあり、被害が出ていれば弁償もさせなければいけませんからね。


 現代では逮捕術という技術と考え方が浸透しており、犯人すらも無傷で押さえると言う事が基本となっています。

 もちろん、周囲の人々も取り押さえるための人員も怪我をしてはいけません。


 だれも怪我をせず、何の被害も出さず、不審者・危険人物すらも無傷で取り押さえるという事が基本となっています。

 そのためには、圧倒的優位を確保するための人員・道具に加えて、応援を呼ぶための通報・通信などの体制作りが必須となっています。


 刺叉が事務所の奥に数本立て掛けてあれば「不審者対策の練習をしているのかもしれない」と犯罪を企む人物に思わせる効果もありますから、抑止的な効果があります。


 当時も番所の入口には袖溺・突棒・刺叉が掲げられ、犯罪のやる気をそぐために見せつけていました。


 武器には見せるという使い方もありますが、この刺叉は今も昔も姿を見せる事で平和を守っていますね。

動くな!


 作品によっては、馬とか牛とかの頭を持つ鬼に持たせている描写を見た記憶がありますね。


 現代のならともかく、江戸時代の刺叉に捕まったら大怪我に繋がるから、やられたくないですね。

 こんなん持ってこられたら、即座に降参しますよ。

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