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〇 アルキメデス ~希代の天才~

ようやくリクエストにお答えできました。

大変お待たせいたしました。

 みなさん、お元気ですか?

 武器マニアのピーターです。


 普通に書こうか、幻想武器にいれようか、兵器としようか、どうしたらいいのか分からなくて、悩んでいる物があります。


 そう、タイトルにもあります。

 希代の天才、偉業と伝説の宝庫、『アルキメデス』大先生です。

 科学者、数学者、物理学者、天文学者、でありながら発明家でもあり、技術者でもありました。


 かの大先生が発明した武器を2種類とりあげてみたいと思っているのですが、どうやったもんかと悩んだ結果、番外編としてあげると決めました。

 ずーっとリクエストなどにもあげて頂いておりました、この2つをようやく出すことができました。


 そう『アルキメデスのかぎ爪』と『アルキメデスの熱光線』の2つです。


 それではまず、この武器の解説の前に、天才アルキメデスの人物像を見て行きましょう!





~天才・アルキメデス~

 紀元前287年頃に生誕、紀元前212年没とされているこの天才。

 彼はその生涯の中で多数の発見や発明をして、それを世に送り出し、多くの功績を残しています。


 数学という概念に極端な発展をもたらせた「ゼロ」という概念、これの対極である「無限集合」という概念にまで到達しており、現代の受験生が涙を流しながら格闘した数学の問題。

『放物線に対して1本の線を引いた図、曲線と直線によって作られた面の面積を求めよ』

 みたいな物の回答を真っ先に見つけ出して、それを定義付けし、放物線と直線で作られた面の大きさが変わっても計算によって正確な回答を導き出せるようにしました。


 私たちがお勉強で悩んでうなりながら、解いていた問題を解説書も無ければ、先生もいない頃に解答を見出した人物です。


 アルキメデスは様々な研究から得られた成果を、発明品として実用化しています。

 現代でアルキメディアン・スクリューと呼ばれる、筒の中にらせん状の板を設けて、回転させる事で、低い所の水を簡単にくみ上げる装置を作りました。

 これは空中庭園のような高い場所に水を送り、船底に溜まった水を簡単にくみ出す事が出来るようになる画期的な装置でした。


 アルキメディアン・スクリューは人類の歴史上で初めての螺旋構造を機械に組み込んだ発明品です。

 なんと現代でも、石炭や砂などの運搬に使われている事もあり、場所によっては地下水や用水のくみ上げにも用いられている事があります。

 これまでに無い物を考える『発明家』それを実用化する『技術者』という紛れもない天才です。


 他にも、比重の違いを用いて金の王冠を水に沈めたときの浮力、溶かす事なく、純金ではない事を見抜きました。僅かな比重の違いですが、流体静力学の考え方も用いることで、材質を見抜くという偉業も成し遂げています。

 金の王冠を作るときに純金を抜いて、別の金属を入れていた事がアルキメデスによって見抜かれたことで、王冠を作った職人が死刑に処されています。

 

 アルキメデスは没年齢とその理由だけはハッキリと残されています。

 紀元前212年、ポニエ戦争中。マルケッルス将軍がアルキメデスが住んでいたシラクサを占領したときです。

 将軍はアルキメデスの優秀さを聞いており、彼を殺さずに捉えるように兵士達に命令していました。

 アルキメデスの住む家を兵士達が訪れた時、アルキメデスは砂盤の上にかがみこんで考え事にふけっていました。アルキメデスと知らない兵士達は名前を名乗るように声をかけますが、アルキメデスは考え事を続けていました。


 この態度に怒った兵士達は剣を抜き、アルキメデスに近寄ります。砂盤を踏みそうになった兵士達を「図を壊すな!」とアルキメデスは怒鳴り付けます。

 その時には怒った兵士はすでに剣を振り下ろしていたようで、ここがアルキメデスの最後の地となりました。


 彼の墓は生前の取り組みから、数学的な証明を象徴するかのような、球と円柱のデザインが施されていたとされています。





~アルキメデスのかぎ爪~

 さぁここからが『武器マニア!』です。まずはかぎ爪からいきましょう。

 アルキメデスのかぎ爪、シップシェイカーなどと呼ばれています。


 現代でも試作が行われたり、テレビや本の題材として考察されたりしています。

 ぶっちゃけた話、詳細が分かっていないので、これだけあれこれ考察と空想がはかどっているという面もあったりします。

 いつもながらの『諸説あります』です。


 アルキメデスが作った海岸線に設置された巨大なかぎ爪。

 爪を伸ばした巨人の腕のような物が、城壁の上から海に向かって伸びています。物によってはフックが付いたロープなどで描写されていたりします。


 原理的にはクレーンやパワーショベルです。

 先端のかぎ爪を海を行き交う敵船に引っかけます。引っかかった所でアルキメデスのかぎ爪は敵船をそのまま持ち上げます。

 船首だろうが、船尾だろうが、思いっきり持ち上げられた船はバランスを崩してしまいます。


 船が水上でバランスを崩すというのはとんでもないことです。

 揺れているくらいなら自由に動き回れる船員でも、床が壁のように持ち上げられたとしたら真っ当に動く事はできません。この時点で無力化成功です。

 ですが、このまま持ち上げてあげればどうなるでしょうか。


 船はひっくり返ったり、水面に対して直立したりします。

 大きな船に至っては、水に触れている事で重量が分散されていた重さが、船の一か所に集中するので、ポッキリと折れてしまいます。大きな船の事故では船体がポッキリ折れている事が現代でもありますね。


 そうなったらかぎ爪を外してあげるか、船が落ちる所まで持ち上げましょう。

 バランスを失い、かぎ爪という支えを失った船はそのまま水の中に沈んで行ってしまいます。みごとなまでに撃退成功です。


 例え持ち上がらなかったとしても、そのままかぎ爪を動かしてやれば、船の中は大地震です。

 船体は軋み、ヒビが入り、積まれている物資は崩れて縦横無尽に転がります。船員も荷物と同じ運命になり、中には振り落とされて水に落とされる人もいたでしょう。

 船の中は大混乱、設備もぐちゃぐちゃになるので、無力化成功です。


 かぎ爪の動力についていくつか言われているものがあります。

 複数の人間で同時に紐を引いて動かしたとか、馬などを使ったとか、歯車や滑車などのカラクリをつかったりとか色々あります。もしかしたら投石機と同じように重石をつかったのかもしれません。

 現代でもクレーンの技術を応用して、ものすごい重い荷物を軽々と運べるようにしている工場などもあるので、1人の力で操作できる仕組みが投入されていたのかもしれません。


 なんにせよ、こんな危険なかぎ爪が存在していたら、そこを避けて通るしかありません。

 ただ、わかりますよね。そこを通らないと先に進めない、海峡などの近くに設置されていたことは明らかです。

 当然、通過するために敵はかぎ爪攻略として、ここを的にしますから、船による迎撃もやりやすくなりますし、例え味方の船が沈んだとしても、傷ついた敵船はかぎ爪を通過する余力はありません。

 防衛成功となります。


 たしかに、高層ビルの建設や大型貨物船の港などで使われる巨大なクレーンを見ると、こうした船を丸ごと釣り上げたり、押さえつけたりすることは十分にできると感じます。

 こんなものが紀元前に存在していたとしたら、無敵の防衛兵器となるのも納得ですね。



~アルキメデスの熱光線~

 またの名をソーラーレイと言ったりします。

 先に行っておきますが、これも諸説あります。


 現代でも太陽炉とよばれる設備があり、太陽の光を広範囲から一点に集中させることで高温を得る設備です。

 小さい物だと、ソーラークッカーと言って、太陽の熱で炒め物や焼き物ができる、災害時につよいエコアイテム。

 大きい物だと、焼いて作る耐熱煉瓦ですら焼き尽くす、数千度という超々高温を生み出す工業設備になります。


 アルキメデスの熱光線の原理はこれと同じ、海岸線に多数の鏡を並べて太陽光線を敵船に向けて照射し、火災を発生させて敵船を焼き落すという兵器でした。


 ですが、これは実用性が疑問視されていて、停船中の船であれば寸分違わぬ位置に光線を集中させて燃やす事は可能ですが、航行中だと同じ場所に光線を当て続ける事は難しく、火災を発生させるほどの熱量を与える事は難しいとされています。


 創作では、太陽光を反射する巨大な鏡が自在に動き、照らされた敵船は一瞬にして炭化し出火、焼け落ちた船体が海に触れてジュウジュウと音を立てながら沈んでいったそうです。

 この光は数キロメートルも届き、晴れた日しか使えないとは言え、魔術のような兵器として描かれたりしています。


 最近でも鏡を用いて、光をあつめて燃やす事ができるかという実験をします。一瞬で燃える訳ではなく、上手く行ったとしても数分はかかってしまいます。

 過去の実験で数秒で160メートルの距離でも発火した結果が得られたものは、対象の模型が黒く塗られていたり、タールが塗ってあったりして燃えやすくされていたと言われたりしています。


 発火まで数分かかるくらいなら、直接大砲や投石機で狙った方がほうが手早いですね。

 しかも、アルキメデスが居たシラクサは東海岸です。東側から陽が昇るため、十分な光線を放つ事ができるのは、晴れた日の午前中に限られてしまいます。

 ちょっと武器としては扱いにくいですね。


 継続して使われたという形跡や伝承も残っていないため、大規模な実験を行うくらいまでで留められ、当時でも実用性を見出さなかったのかもしれません。

 もしかしたら、光の反射や熱の収束、など別の観点の理論の実証だったのかもしれません。


 効率よく光を集めて照射するために必要な鏡の性質や、反射角度の調整など、これらを量産する体勢など、世が世であれば実在の兵器となった可能性は十分にあります。

 実際、現在に存在している太陽炉は数千度の高温を発生させるので、これが海岸から1キロメートルの射程を持っていたとしたら「近づく事ができるのは雨の日だけ」という伝説が生まれていたでしょう。


 アルキメデスの頭脳に、世界が持っていた技術が追いついていなかっただけかもしれません。





 いかがでしたでしょうか?

『天才アルキメデス』

『アルキメデスのかぎ爪』

『アルキメデスの熱光線』

 以上3点をとりあげました。

 かぎ爪や熱光線については諸説も所説も山盛りにあり、創作や想像にも取り上げられていたりしますから、どこまでも広がっています。


 ピーターはこんな感じでイメージと解説を集めてみましたが、あなたにとってはどのような物だったでしょうか。


 ただ1つ言えるのは……

『現実と空想が入り混じる!! これぞロマンだ!!』

真実はあるのか!


 ただ言えるのは、どっちも紀元前の兵器とは思えない程、複雑な理論を組み立てて作られたということです。

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― 新着の感想 ―
[一言] お初にお目にかかります。 「アルキメデスの熱光線」 ロマンかつ現実味がある兵器として物好きにはたまりません。 真に勝手ながら、不肖私この兵器について考察した事があり一説述べさせて頂きます。…
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