第91回 千鳥鉄(ちどりがね) 先端にコトリがとまる
動物の名前シリーズ
どっちかというとマイナーなのかなぁ。
ちゃんとカッコいい武器なので見てもらいたい!
千鳥鉄・南蛮千鳥鉄
正式には「南蛮一品流千鳥鉄」と言うらしい、南蛮一品流という流派でこれの扱い方が伝承されているとのこと。
40~80センチくらいの鉄の筒の先端に、日本の野山や水辺に訪れる小鳥たちの1種、千鳥のような形の金属で作られた分銅が取り付けられています。
筒の反対側には房にした紐が筒と同じくらいの長さで取り付けられています。
鳥の形の分銅を下に向けると、紐が鉄の筒の中に収納されて、分銅の重さで筒に隠されていた鎖がジャラリと姿を現します。
普段は紐の付いた鉄の筒として持ち運び、有事の際には鉄の筒と鎖分銅を平行して扱う、特殊な武器になるのがこの千鳥鉄です。
使われていたのは江戸時代、水早長左右衛門尉信正が中国に渡り研究した捕具の1種とされている説があります。
インターネットの個人の通販やオークションなどに古美術品として出品されて取引されている事もあるようです。
価格は2万円程度、ちょっと手が届きそうなのが怖いのですが検索には時間がかかります。
「千鳥 購入」
で検索をすると、鉄の網がヒットしてきたりしますので、色んなサイトで千鳥鉄で検索していく必要がありそうです。
かわいらしい千鳥という名前とは裏腹に、なかなかゴツイ武器、千鳥鉄を今回はとりあげます。
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~千鳥と千鳥鉄~
日本語はなかなか難しいもので、この千鳥には世界のあちこちに分布する小鳥でチドリ科チドリ亜目チドリ科に属する分類のコトリ達を千鳥と呼んだり、もう少し広いチドリ亜目全体で千鳥としたり……
沢山の小鳥達がいる姿や群れになって飛んでいる姿を千鳥と言ったりです。
千鳥とチドリで混乱が加速する!
日本人には馴染みが深く、俳句や詩に読まれていたり、家紋などに使われていたりとあちこちで野山や水辺にかぎらずあちこちで見る事ができます。
実は、かき氷の王道の広告。波を背景にして赤い文字で「氷」と書かれているあのイラストにもですね、こっそり緑色の千鳥が登場したりしています。
鳥が羽ばたいているような、シルエットのイラストや細工物は日本ではあちこちで見られます。
これらを見ると千鳥鉄についてる、鳥の形の分銅もイメージが付きやすいのではないでしょうか。
小さくて可愛らしい鳥でも、その動きは機敏です。
目にも止まらないような速度、急旋回などお手の物。懐かせて、エサを持った手の上に止まらせることはできても、宙を自在に飛び回る小さな鳥をつかみ取る事は至難の業です。
千鳥鉄についている分銅は、鳥の形を模した物ですが、これを使い手は本物の鳥のように宙を自在に飛び回らせて戦います。
鎖分銅ですが鳥の翼の部分がフックのようになるので、敵を打ち据えるばかりか、突き刺す事なども可能です。
例え、突き刺さり方がコトリの啄み程度だったとしても、そこに意識を向けることは、戦いの最中では致命的な隙にもなりかねません。
また、小競り合い程度であれば、この程度の傷でも「こいつマジでやりやがった」とか相手に思わせれば戦意を喪失させる事もできます。
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~扱い方~
鳥の鎖分銅の扱いは分かりましたが、本体の部分はどうなんでしょうか?
せっかく鉄で出来ているのですから、何か使い方がありそうと思った方は多いと思います。
まさに正解です。この千鳥鉄は鎖分銅を隠して持ち運ぶという事ができる隠し武器でありながら、鉄の筒と鎖分銅の連携攻撃ができる武器として扱う事ができます。
鳥の鎖分銅は遠心力を味方に付け、宙を自在に飛び回り、相手に傷を付けながら、その武器を絡めとります。
鎖分銅を振り回す力の動きを利用して、鉄の筒で殴ったり、突き込んだりする攻撃ができます。
それどころか、鎖で絡められないほど相手の獲物が大きければ、鉄の筒で受けながら懐に飛び込み、蹴りなどで相手の急所を攻める事ができます。
鉄の筒の長さが40~80センチと幅が広いのですが、40センチなどの小型のサイズでは格闘術とも組み合わせができるので、分銅で攻めて、筒で叩き、蹴り飛ばした後、鎖と筒で締め上げるということもできます。
インターネットでは演武も公開されている方がおり、ヌンチャクのように振り回したり。振りながら紐を引く事で鎖の出し入れすらも技として取り入れている様子が見られます。
特に背中を通して反対の手へと持ち帰る動作はカッコいいですね。これだけ自在に鎖の金属音を響かせながら振り回されると、戦おうなんて気は起きなくなります。
収納状態では、尖端に鉄の鳥が鎮座する鉄の棒。
有事の際は鎖についた鉄の鳥が飛び回る。
危険で有能な武器が千鳥鉄です。
飛び回れ!
見た目よりもずっと攻撃的な扱いができる武器ですが、扱いの難易度は滅茶苦茶高い。