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読書感想文2

読書感想文 2年2組 鶴見マーガレット里歩


私が読んだ本は、大河原光秀さんの「戦慄の食卓」です。

この本は主人公の相模真理子の視点から描かれている1章から4章と、もう一人の主人公である相模ももの視点から描かれている5章から最終章で構成されています。

最初の主人公である相模真理子は、ごく平凡な家庭の専業主婦でその日も夕食の仕度に追われていました。しかし次第にある違和感に襲われます。そして、その違和感が確信に変わった時、彼女は走り出していました。


「うん。今度はちゃんと書けてるじゃないか鶴見」


「私だってやるときはやります」


「お前もやればできる子じゃないか」


「先生の日々のご指導の賜物です」


「鶴見…お前…。お、おい、やめろよー。照れるだろー?」


「キモっ…」


「鶴見、そのマジなトーンのキモっ…は先生の心がボドボドになるからやめて…」


「だが私は謝らない」


「元ネタ知ってんのかよ…」


「ヘシン!」


「こんなとこでターンアップすんな!あ、いけね、続きを読まなくては…」


もう一方の主人公、相模ももは「何か」から必死に逃げる描写から始まります。その「何か」に捕まればどうなるかなんて想像する余裕が無いほど、ももはとにかく逃げます。しかし、ももはその「何か」 に捕まってしまい背中を掴まれます。ももが振り返った先には真理子の姿が…。そして真理子はももに一言。「こら!もも!またお魚を勝手に持って行って!」そして、ももは 観念したように一言。「ニャー」。

私がこの本を読んだ感想はただ一言。


これ、サザエさんのOPじゃね?


「…サザエさんだな」


「サザエさんです」


「これおもしろかったのか…?」


「作者には悪いですが、クソつまらなかったです」


「でしょうね…」


「はい」


「よく最後まで読む気になったな」


「最初から終わりまでパラパラっとめくった後、ウィキで内容をかいつまんで書きました」


「現代っ子め…。それじゃ読書感想文として成立しないぞ?」


「先生。2つ上の台詞をよく見てください」


「ん?」


「最初から終わりまでパラパラっとめくってるんですよ。つまり一通り読んだってことになりませんか?」


「屁理屈を言うんじゃありません」


「分かりました。じゃあ、私がちゃんと読めば読書感想文として成立するんですよね?」


「まぁするだろうな」


「では今から読みます」


「え?あと1時間くらいで完全下校時刻だぞ?」


「大丈夫です。私、速読をマスターしてるので。少し時間を下さい」


そう言って鶴見はカバンから眼鏡と戦慄の食卓と書かれた小説を取りだしたかと思ったら眼鏡をかけ、立ったまま本を読み始めた。


「おい、鶴見。イスに座って読め。ほら」


先生が自分の座っていた椅子を差し出す。


「話かけないでください集中してるので」


「あ…はい。すみません」



~30分後~


「ふぅー。読み終わりました。」


「おう。終わったか」


「これで大丈夫ですよね?」


「はい。大丈夫です。確かに作文は受け取りました。」


「じゃあ私はこれで」


「あ、おい鶴見」


「なんですか?」


「先生、コーヒー飲むけどお前も一緒にどうだ?」


「いい歳してナンパですか?私、歳上は無理ですよ?」


「ちげーよ!誤解されるようなこと言うな!お前が珍しく頑張ってたから労ってやろうと思っただけです。他意はありません!」


「お菓子も付くなら頂きます」


「はいはい、付けるとも。ちょっと待ってろ淹れてくるから」


~しばらくして~


「ほれコーヒー。ミルクとシュガーはお好みで」


「すみません。頂きます」


「あ、菓子は…っと。いいや、美咲先生のクッキー貰っちゃお」


「美咲先生のクッキーなのに勝手に良いんですか?」


「ああーいいのいいの。引き出しにいっぱい菓子を隠してるから一個無くなってもバレないバレない」


「そうなんですか」


「おー食え食え。遠慮すんな」


「頂きます」


「なぁ鶴見、一つ聞いてもいいか?」


「何ですか?」


「どうしていつも先生達の予想の斜め上を行くんだ?」


「先生達の方が斜め上を行ってるんじゃないですか?私から見れば先生達の方が私の予想の斜め上を行ってますよ」


「俺達の方が…か」


「私は、常識的に。とか普通に考えて。とか実は自分の中の勝手な基準をあたかも世間一般の総意みたいな言い方をする人が大嫌いなんです」


「だから先生達にも反発すんのか?」


「反発はしてません抗議です」


「生徒指導の荒井先生のインプレッサのボンネットをカーボンのボンネットに変えてマフラーとエアクリーナーを勝手に取り付けた挙げ句、トランクにラリーカーみたいなウィング付けたり」


「あれは朝礼で私を寝てたって怒るからです。寝てないのに…」


「家庭科の橘先生のパソコンを初代マッキントッシュにしたり」


「調理実習のときに、こんな事も出来ないとお嫁に行けないわよって言われたからです。出来なくても結婚は出来ますし」


「よく考えるとお前のやることって結構金が掛かってるよな。どっからそんなに金出るんだ?まさか…お前、」


「はい。父親は鶴見物産の代表取締役ですし、母親は遊び半分で始めたエステ事業が成功して今では会社の代表取締役です」


「へ?そっち?援交じゃないのは一安心だけど…ん?お前の家ひょっとして凄いお金持ち!?」


「大した家じゃないですよ。家なんてこの学校より少し小さな手狭な家ですし、別荘だって5件しか持ってませんし」


「なんだそうなのか。…いやいや大した事あるわ!入学前の面談の時に初めて名前見た時からただ者ではないと思ってたけど、また予想の斜め上行かれたわ!」


「お金があっても幸せとは限りませんよ。さて、私はこれで。コーヒーごちそうさまでした先生。」


「おー。気をつけて帰れよー」


「あ…それとクッキー美味しかったです美咲先生。」


「え?なんで美咲先生?」


「いーえどういたしましてー。鶴見さん、気をつけて帰るのよ?」


「はい」


「あ…美咲…。」


「美咲先生…でしょ?それに学校では美咲って呼ばない約束でしょー?」


「あ……」


「今夜飲みに行きましょう?もちろんあなたの奢りで」


「はい…」

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