読書感想文
いつからだろうか?
世の中が生きにくいと感じるようになったのは。
いつの時代もそう思った人はいるかもしれない。だが最近はそれを顕著に感じる気がしてしまう。
生きにくいのは生きやすいようにしようと努力を怠った自分のせいと言われてしまえばそれまでなのだが、何だか皆が気持ちに余裕がなくて心が貧しくなってると思ってしまう。
例えばテレビ。
ちょっとした事でつまらない苦情が来る世の中になってしまった。つまらないと言われてしまっているのは本当に一部の冗談すら通じないお堅い人間の意見をあたかも大多数がそう思っているかのように情報操作されているのに気付くべきだ。
嫌なら見なきゃいい。その一言で片付かないのだろうか?
観たくない物を無理して観ることはないだろう。
観たくないと言いながら観て粗を探して苦情を言う。
こう言う輩はただの暇人なのだろうか?
嫌いな番組なら観ずにチャンネルを変えればいい。
嫌いな番組の視聴率に貢献をする事こそ時間の無駄であり愚の骨頂ではなかろうか?
人は自分の価値観と少し違う人間を嫌う。
人は自分より劣った人間を見て自分はまだ大丈夫と安堵する。
人は自分に優しい人間には優しい
人は「常識」と言う誰がいつ決めたのかも不明な勝手な基準を基に時には人を判断する物差しに使い、優劣を付けたがる。
人は心が弱ると何かにすがりたくなる。
だから宗教と言う物が存在するのだろう。
何かにすがり崇める事でそれを心の拠り所にしたいのではないだろうか?
もし私が誰かに人間とは何かと聞かれたらこう答えるだろう…
「じゃあ聞こう。鶴見、人間とは何だ?」
「欲の塊で愚かな生き物です」
「その理屈だとお前も欲の塊で愚かな生き物になるぞ?」
「もちろんです。睡眠、食欲、性…」
「あー。もういい、もういい」
「なぜです?」
「女の子がそんなこと言うもんじゃない。今は色々うるさいからな。コンプライアンスとかコンプライアンスとかコンプライアンスとか。この小説見てる人ドン引きすんぞ?」
「先生、ただコンプライアンスって言葉使いたいだけじゃないんですか?」
「あ、バレた?なんかカッコいいじゃんコンプライアンスって。言葉の響きがさ、こう…仕事のできる人っぽくて!」
「目を少年のように輝かせて言うほどカッコよくはないですね」
「いつまでも少年みたいで悪かったな」
「大丈夫です。先生がいつまでも子供っぽいダメな大人なんて1メートルも思ってませんから」
「お前ちょっとはフォローしてくれてんだろうけど、フォローになってないからな?しかも1メートルって思いっきり思ってんじゃねぇか!」
「間違えました。1ヤードの間違いです」
「ヤ、ヤード!?えーっと…1ヤードが確か約90センチだから…あれ?1メートルとあんま変わんねぇじゃん…」
「…フッ」
「鶴見、そんなゴミでも見るような目をしながらほくそ笑むのやめて…先生の心が持たない」
「大丈夫です先生の心の容量は300ヤード位はありますから」
「何だそのゴルフコースみたいな例えは。遠回しに広いって言ってくれてんの?」
「はい。ただしフェアウェイはガタガタです」
「ガタガタなのかよ…。って言うかさっきからちょくちょくゴルフネタを絡めてくるけど、ゴルフが好きなのか?」
「いえ特に。なんなら相撲にします?」
「いや…ゴルフで行こう」
「分かりました」
「それで?この作文はなんだ?鶴見。先生は読書感想文を書いて出せって言ったよな?」
「はい。」
「果たしてこれは読書感想文なのか?と言うか一体どんな本読んだんだよ」
「赤木功男のワクワクゴルフレッスンvol3~脱、ビギナー。プロへの階段まっしぐら~編です」
「そんな本に作文にあった現在の社会を風刺したような内容が書いてあるの!?最近のゴルフレッスン本てすげぇな!」
「最後は涙無しでは読めなかったです」
「泣けるの!?って言うかどういう内容!?」
「赤木功男のワクワクゴルフレッスンシリーズ、全8巻はヤンバルクイナ書房から定価1,800円+税にて販売されてます。求めはお近くの書店でどうぞ」
「いりません!8巻にも渡って何を書くんだよ一体。それに地味にたけーよ!」
「ダメですか?」
「ダメです。書き直して明日の放課後までに持ってきなさい」
「先生」
「ん?なんだ?」
「明日は土曜日ですけど」
「あ…」
「…フッ」
「鶴見、お願いだからその目やめて…」