異世界で始まる騎士生活
どうも、笠間S☆A☆N☆E☆T☆O☆M☆O名義で初めて出す小説です!そして異世界ものデビューです!拙いところはありますが、今後ともお付き合い頂ければ幸いです。
駅によくある、人身事故を防止するポスター、あれって意味がないと私は思う。なぜって?見ていてイラつくから。
学生の頃、苦労を知らなかった頃はこんなこと思いもしなかった。けど、今は『お前に私の何が分かる!?』と唾を吐いてやりたくなる。ホームにある青いライトの方がよほど効果的だ。
私、黒木 玲音に居場所はない。特にあのリーマンショックのあとは。
大学生の時、就活に失敗した私は父のコネである会社に就職した。元々コネ入社の少なかったその会社で、父とその友人である今は私の上司の評判は悪く、私はすぐにいじめの標的になった。
子供の頃は大人は完璧で、みんなそれなりに仲良くやれているもんだとばかり思っていた。けど、それは間違いだった。社会人の当たり前のマナーであるあいさつをしても誰からも返ってこない。無視、罵倒は当たり前で、ただ言われたことだけやるに撤したとしても怒号は飛んでくる。自分のやり方が気に入らないのだそう。
父にも何度も相談したが、自分の面子を守りたい父に私の言葉は響かなかった。もうたくさんだった。品川駅の15番線ホーム、ここですべてを終わらせる。通過する特急列車に飛び込んで!
ホームを蹴って、ふわりと宙に舞った私の体は、特急のアルミ合金製の車体に打ち付けられてグチャグチャになった。如何に軽量なアルミ合金といえど、人間の命を奪うには十分すぎた。
………
「あれ…?目が…覚めた!?」
すっとんきょうな声を出すのも無理はない。なぜなら私は電車に轢かれて死んだのだから。目覚める筈など無いのだから。
(ここ…あの世…?)
そう思って辺りを見渡すけれど、真っ暗で何もわからない。むしろ自分の眼前の世界が真っ暗すぎた。
「ここ…海…?」
おそるおそる手を伸ばしたそこは、闇に慣れた目には、漆黒の中にも僅かな揺らめきが見てとれた。その手に感じた冷たさと、鼻に届く微かな潮の香りが、私にそこが海であると確信させた。
刹那、私の体の右側から何かに押される衝撃を感じた。
「キャ!?」
突然吹き飛ばされ、混乱する私は、私を吹き飛ばした力の正体を突き止めようと、もといた方を見た。
「おいおい、お前身投げか?それとも水飲もうとしたのか?どっちにしろやめとけ。ここは海だから塩水だし、人間いずれは死ぬんだから、とりあえず死ぬまで生きてみろよ」
「うるさいわね!見ず知らずの人間にそんなこと言われたくないわよ!」
「……」
私を吹き飛ばした張本人である騎士風の出で立ちの女性は至極男性的な口調で、そして今、私のことをどんよりとした眼差しで見ている。死のうとし手いたように見えた私が、そんなに卑しく見えるのだろうか?考えると、だんだん胃のそこの方からムカムカしてきた。
「なに?そうよ!私は確かに死のうとしたわ!けどだからなに?あなたには関係のないことでしょう!?」
「いや…俺はそんなこと気にしてなくてだな…」
「なに?なんなのはっきり言って!」
「…お前さ、なんで…良いのか?ほんとにいうぞ?」
「早く!私の気持ちが収まらない!」
「じゃあ言うけどさ」
騎士風の出で立ちの女性、もといボーイッシュ女騎士は、なにかバツが悪そうに頭を掻き、虚空に目を泳がせている。そしてしばしの瞬巡の後、睨んでいた私に負けたのか、重い口を開いた。
「なんでお前、男なのに女みたいなしゃべり方してんだ…?」
「………え?」
「いやいや!元々そういうやつなら俺はなにも言わないぞ!俺は個性を尊重するからな!ハハハ!…」
私は笑ったり気まずそうにしたり複雑な状況をどうにかしようと忙しいボーイッシュ女騎士を放っておいて、自分が自覚している通りの女か、それともボーイッシュ女騎士の言うように男になってしまったのか、もっとも簡単な確認方法を採った。
「……」
いやあ~参ったなーついてたよおー。ついに一度も触れることなく死んだ選定の剣が。たいそうご立派に。
こりゃあ巨チンかなあ?参ったな~ハ、ハ、ハ。
「笑えねえよおおおおおおおおお!」
居場所を失った私、黒木玲音は自殺した。そしてなぜか死後の世界(?)に飛ばされ男として前世の記憶を持ったまま生まれ変わってしまった。そしてこれから生きていくのだ。これからこのやたらと男勝りなボーイッシュ女騎士と。
孤城の雇われ兵団-了-
孤城の雇われ兵団いかがでしたでしょうか?
文章でお気づきの方もおられたでしょうか、ここでひとつお詫びがございます。
私笠間は昨年の12月まで、ゆっこんという名義で暗殺者達の五重奏という作品をこちらで連載しておりました。12月の休載以降も今年10月の再開を目標に準備を進めておりました。
しかし、昨年の8月、慣れない新しい環境に移ったことによるストレスから、このサイトのアカウントをはじめすべての作品を削除してしまいました。著作権を持ち、自らの著作物を皆様にご提供させていただく責任あるものとしてこれは絶対にあってはならないことであると深く反省しております。申し訳ございませんでした。
一時は小説を再び書くべきか悩みましたが、こうして再び復帰をさせていただくこととなりました。
暗殺者達の五重奏につきましては、このサイトにおいてかはまだ決めておりませんが、何らかの形でもう一度書きたいとは思っております。
今後も様々なご意見をいただくことになると思いますが、厳しくも温かく見守って頂ければ幸いです。
この度は皆様にご迷惑をおかけして大変申し訳ございませんでした。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。