第六話~彼女とキメラと王都とギルド~
うう………本当に行っちゃうの?…………もうちょっといない?………ずっとここにいない?………
「うん、ここでの生活は楽しかったけど、世界を見て回りたいから。」
何かあったら召喚してね…何かなくてもよんでね……何時でも来てね………行かなくてもいいよ?…
じゃあね、妖精ちゃんたち!また会おう!
{かっこつけですね。何ですか?また会おう(`・ω・´)キリッって、恥ずかしいですよね。}
そこ!つっこむな!しまんないじゃん!
ーそれから1時間後ー
あれ?おっかしいな~。何で抜け出せないの?
{貴女が壊滅的な方向音痴だからです。なんなんですか!?私、「こっちの道です。」って教えたのにどうして反対側に行ってしまうのですか?!}
うっ!いや~、アッハハハハハハ………。ごめんなさい。
{馬鹿は馬鹿なりに馬鹿に付ける薬を開発なさい。馬鹿。}
うう、馬鹿馬鹿いうな~。
{そこを右です。…………って、そっちは左!!!}
ーあれから3時間後ー
「あれ?ここ、通ったっけ?どこだ、出口?…………ハッ!まさか、………妖の仕業か!?」
なるほどな、どうりで抜け出せないと思ったぜ。
{貴女、好感度アップ(初期設定MAX)じゃないですか。}
……………………。ほら、人の妖とか。
{闇に属してますよね?ただ単に貴女が迷ってるだけです。グルグルグルグルと、同じところを何回も。馬鹿じゃないですか?失礼、馬鹿でしたね。}
うがー!はいはい!悪うございました!
{ほら、そこを先ほどとは逆に進んでください。}
さっきはこっちだから………こっちか。
ーさらに2時間後ー
{やっと、深部から抜けましたね。ほら、次は………}
ねえ、ミディア。
{なんですか?足が止まってますよ?}
マッピングの魔法って、ないの?それかカーナビみたいなの。
{!!どうして先に言わないんですか!?}
いや~、これも訓練かな~って、思ってですね。
{………………カルテ。}
あ、はい。すみません。忘れていただけです。すみません。
{はあ、先程の質問にお答えすると、今現在魔法はありません。ですが、無いなら作ればいいんです。}
おお!!そうだね!やってみよう!!!…………ふう。
魔力を広げて森全体を覆う。細部までしっかりと魔力が広まったら………「『オートマッピング』」
(『カルテ』がスキル『オートマッピング』を取得しました。)
マッピングしたものにナビ機能をつけて、「『オートナビゲーション』」
(『カルテ』がスキル『オートナビゲーション』を取得しました。)
よし!『オートナビゲーション』開始!目標到達地点「街に一番近い森の外」
〔了解しました。オートナビゲーションを開始します。〕
うおー!頭の中にゲームみたいなものが出てきた!
〔矢印に沿って進んでください。〕
おお!私好み!サクサク行ける!行けるぞー!
{はあ、ストレスで胃痛炎にならなくて良かった。馬鹿の相手は疲れます。}
ミディアさん?ポロッと本音をこぼすの止めてもらえます?
こう、グサグサッと心に突き刺さるんで。
{ふふふ…………}
ミディアさん!?ちょ、笑ってないで答えてえええ!!!
{出口が見えてきましたよ。}
やった!これで森の中とはおさらばだぜ!
{全く、貴女の方向音痴にはほとほと困りましたよ。どうして木々たちが正解の道を開けたのに別の道へ行くんです?ナビゲーションされても間違えるってある意味奇跡ですよ。わざとですか!?もう、ほんとおかしいですよ。はあ、胃薬頼みましょうか。}
ご、ごめんなさい。でも、なんか道が「こっちにおいで~」って言ってたから。
{言うわけないでしょう?まったく。}
うぐ、ま、まあ、出れたんだしオールオッケー!!終わり良ければ総て良し!ってね。
{はあ、もういいです。街へいきますよ。}
うん!新たな世界にレッツゴー!!!
……………ま~だ~?街見えないし、同じ風景だし、もう飽きた~。
{駄々をこねるのはやめなさい。全くまだ10分しかたってませんよ。}
え~?だってさ~、人どころかモンスターさえいないじゃん。
{モンスターは近くに行きたいけど、行ったらほかの人間に勘違いされて、カルテが人間の敵になるからという健気な理由で、人間はこちらの道を通るのは急いでいる人のみですので。}
うわ~ん!え、じゃあ何?私、このまま何も変わらない景色を見ながら歩かなきゃいけないの?
{ですね。頑張ってください。}
……………そうだよ、脚力強化すればいいんだ。
{なるほど。}
…………よし、踏み込んで……GO!
ビューーーーーーーーーーーーーーー!
ぎゃあああああああああああああああああああ!
{馬鹿ですね。思いっきり踏み込んで行くなんて。}
あ、でも慣れると楽しいや。ヒャッホーイ!
{見えてきましたよ。街、いえ、王都が。}
ん?あれ王都なの?森と比べると結構小っちゃいね。
{森と比べる方がダメでしょう、森よりも小さいのは当たり前です。}
スチャッと、とうちゃ~く!
ん~?脆いね。私の龍級属性一発で壊れんじゃない?
{貴女の龍級属性って、ほかの人の神級属性じゃないですか。十分ですよ。}
え?そんなに人間弱っちーの?
{ええ、それはもう!あ、カルテ人間じゃないって、認めたんですね。良かった良かった。}
そりゃあ、エルフだし、人間じゃないでしょう?
{力だけでも人外級ですけどね。}
……ほら、早く街に入ろう?このために設定作って来たんだから。
{そうですね。(逃げましたね、カルテ)}
副声音が聞こえてくる!!ミディア、やるな。
「怪しい奴め!フードを取れ!」
チラッと見せておこう。スルッ
「なっ!エルフの方でしたか。どこの森の方……いえ、結構。出身を言えないんでしたな。」
コクリ
「仮身分証を発行します。銀貨2枚お持ちですか?」
コクリ チャリッ
「確かに受け取りました。こちらの水晶に手を。」
コクリ パアッ
「犯罪歴はありませんな。仮身分証は3日間で切れます。それまでに身分証を作ってください。」
コクリ
「では、ようこそ。王都へ!」
「………ありがとう。」
「い、いえ!」
作った設定いらなかったな。
ま、これで冒険者になればOKだね。
{あの門番、きっと貴女に惚れましたよ?}
あら、私ったらあ・く・じょ♡
{チッ、似合うのがムカつく}
ひどい!で、ギルドって、ここ?
{ですね。今度は迷わずに来れましたね(笑)えらいえらい(笑)}
馬鹿にしてるでしょ!それ!!
{ええ、そうですよ?}
もういい!入る!
バンッ ガヤガヤ
……うわー、酒場じゃん。
でも、意外と綺麗。えっと、登録のカウンター受付は……
{あそこでは?美人受付の人のところ。}
あ、ホントだ。登録受付って書いてある。
じゃあ、あそこに行こう。
カツカツ デンッ
んあ?影?……ああ。
「何?」
シーン
…ナニコレ!?新手のいじめ!?
フイッ ガシッ
「待てや!」
「何?」
「お前みたいな女が何しに来やがった!」
「冒険者になりに。」
「ガッハハハ、女が冒険者!?遊びじゃねーんだよ。てめえみたいな奴は帰ってブルブル震えてな!」
「遊び?まあ、確かに遊びだね。」
お?一気にギルド内が殺気立ったね。
「てめえ、冒険者なめてんのか!?」
「うん」
「なっ!土下座して「許してください」っていうまでボッコボコにしてやる!」
「嫌。」
「てめえ!?」
「てめえ、てめえ、うっさい。人間ごときが口を出すな。」
うわっ!ギルド内全員の殺気来た。
……なんか、テンプレと違くない?
{どう見ても、貴女が悪役ですね。}
こんなはずじゃなかったのにいいい!!!
次はギルドで俺TUEEEEEします。